[2016年版]尾崎将也の脚本に関するつぶやきをまとめてみました

今年も終わりが近いので、twitterに今年一年間に書いた脚本の書き方・勉強の仕方についてのつぶやきをまとめました。書籍「3年でプロになれる脚本術」もよろしくお願いします。
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尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

物語の中で、二人の人物が一致団結して外敵と闘っている状況だけだと、二人の間に葛藤がないので、この二人のドラマにはならない。安易に外敵(人間だけでなく貧乏などの状況も含む)を設定すると、人物間のドラマがないのに物語が出来たと錯覚しやすいので注意が必要。

2016-04-08 13:09:43
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

長い原稿を細かく刈り込む時に、面白いけど切っても筋に影響ないというところを切ると、当然のことながら、筋は通っているけど面白くないものになって行く。それよりは説明が重複しているとか、言わなくてもわかるというところを探さなくてはいけない。

2016-04-05 11:04:58
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

「面白いキャラ」と「変なキャラ」は重なる部分もあるが、必ずしも同じではない。普通の人だけど面白いということもありうる。「面白いキャラ=変なキャラ」と思い込むと、ドラマが変なキャラだらけになってしまう(意図的にそうする場合もあるかも知れない)。

2016-04-09 12:29:02
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

脚本の初心者のト書きに関する間違いの多くは文字数と時間を混同することで起こる。例えば「レジで金を払う」と書くと5秒で終わる感じがするが、実際は財布を出してから釣りを貰うまで30秒くらいはかかる。この認識があれば無駄だから省略するとか会話しながらの動作にするとか適切な対応が取れる。

2016-04-22 12:09:05
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

物語の中で、脇の人物が「こうしよう」と提案したことに主人公が賛同して一緒に行動する場合、主人公は自分の意思で行動しているように見えて、実は人の意見に従っているだけ、ということになる危険性がある。物語は正しい方向に進んでいるので、主人公が主体性を失っていることに気づきにくい。

2016-04-30 11:07:11
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

先日ブログに書いた脚本のト書きの話(ozakimasaya.jp/blog/2016/05/0… …)の補足。ト書きはシンプルに、が基本だけど、同時に実感のある描写をする工夫も必要。例えば「水に飛び込む」だけでなく「ザバーン!と水に飛び込む」と書くとか。「映像が浮かぶように書く」ということ。

2016-05-08 12:21:51
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

前に「ドラマのテーマを考えたことがない」と書いたことがあるけど、物語の方向性を見失いそうになったときには、「この物語が到達すべき点は何だろう」と考える。それがテーマを考えるのとほぼ同じことかも知れない。

2016-05-16 11:46:42
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

脚本では説明的なセリフはダメとされるが、「どういうこと?説明してよ」とある人物が問われ、観客も答えを聞きたいと思えば、その説明は歓迎されるものになる(説明の仕方には色々ある)。他にも3行以上のセリフはダメとか回想は使うなとか色々言われるが、初心者は杓子定規に捉えない方がいい。

2016-05-20 15:47:19
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

自分のアイデアが正解かどうかわからなかったり、ベストかどうか自信がなくても、とりあえず文字にしてみる方がいい。「外部化」することで、客観視したり、批判的に見ることが出来て、結果として新しいアイデアが沸く可能性が出てくる。

2016-05-24 11:29:32
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

ある脚本指南の本を読んだが、間違ったことは書いてないのに、これを読んで脚本が書ける感じがしない。その理由は、この本は車に例えると「車の構造」を書いており「運転の仕方」を書いていないからではと思った。脚本においてこの両者は区別しにくいが学ぶ方も教える方もこの点を意識する必要がある。

2016-06-11 11:02:55
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

自分が脚本の生徒の頃は、特に取材を必要としない身近な題材ばかり書いていたが、思い起こすとどの作品も現実そのままではなく、何か妄想が加わっていた。「身近なことを書け」と言われて「自分の身近なところに面白いことなんてない」と思う人は、妄想をトッピングすることを忘れているのでは?

2016-06-18 11:16:18
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

ドラマを引っ張るのは、常に未来のことだ。「あいつに復讐してやる」「今夜彼女に告白しようと思う」「何か嫌な予感がする」など。生徒はなぜか脚本の中で過去にこだわる人が多い。「過去こんなことをしてしまった」とか「なぜ自分はこうなんだろう」とか。そっちに流れる方が楽なのだろうか。

2016-06-21 12:26:46
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

「『感情』から書く脚本術」(カール・イグレシアス著・フィルムアート社)は題名から受ける印象と違って、脚本の書き方についてこれでもかというくらいに漏れなく網羅した本。何しろト書きだけについて40ページも書いてある。お勧め。

2016-06-27 09:54:06
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

何かを自分の脳にインプットすることを表す言葉としては「理解する」「認識する」「記憶する」などがあるが、脚本の勉強においては「把握する」ということが力を持つ気がする。ある作品を見て「物語を把握する」とか「キャラクターを把握する」とか。それを積み重ねると何かが生まれるようなイメージ。

2016-07-11 12:37:50
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

「自分はテレビドラマの脚本家を目指すので、昔の名作映画を見る必要はない」というのは間違い。ドラマや物語の本質は時代で変化するものではないので、膨大な作品の中なら選び抜かれた名作を見ることが勉強としてむしろ効率的。(テレビドラマを見なくていいということではなく、優先順位の問題)

2016-07-18 12:18:03
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

何かを実現しようとするとき、登山に例えると「①頂上に向けて一歩ずつ進むこと」と「②頂上にたどり着きたいというモチベーション」の両方が必要。どちらが大切かと言えば明らかに①で、これがないと頂上には着かない。脚本の教室では②だけが旺盛で①は空回りするだけという人をたまに見かける。

2016-07-29 15:25:31
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

ドラマには「作用・反作用」がとても大事。「結婚なんか絶対許さん!」と言われるから「何としても愛を貫いて一緒になろう」ということになり、そこから物語が始まる。「いいんじゃない?お幸せに」「ありがとう」ではドラマは発生しない。

2016-07-31 11:17:17
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

ドラマの人物にはエモーションが必要だが、物語にもエモーションが必要。観客が抱くエモーションとも言える。「これからどんな展開になるんだろう」と思ったり、主人公を「頑張れ!」と応援する気持ちなど。脚本の打ち合わせで、物語の「推進力」とか「エンジン」とか言うことがあるが同じような意味。

2016-08-09 14:21:36
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

脚本教室で初心者がまず知るのは「ドラマは主人公が困ることが起こらないと面白くない」ということ。その次に「その困ることが解決するとき、単にこうすれば解決したという現実的解決法を示しても面白くない」ということを知る。しかし「ではどうすれば面白くなるのか」を知ることはものすごく難しい。

2016-08-19 14:53:24
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

町山智浩さんの映画ムダ話「映画のストーリーについて考える」①~②はシナリオ骨法とジョセフ・キャンベルの英雄神話研究について詳細に解説してくれている。脚本を学ぶ人は必聴。③はチャーリー・カウフマン脚本「アダプテーション」の解説。tomomachi.stores.jp/items/55a9f02f…

2016-09-21 11:18:12
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

脚本の初心者に「ドラマは主人公が困らないと面白くない」と言うと、「えっ、知らなかった!」という反応。普段、テレビドラマや映画を見ていても、そのことは意識化されないようだ。(ゴジラが出現したら、あんなに困ってるのに!)見るのと作るのでは使用する脳の回路が全く違うのだろうか。

2016-08-19 15:40:07
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

脚本に対して厄介な注文を出してくる人がいて、どうしたものかと考えるうちに、その注文をクリアするだけでなく、さらに作品がよくなる案が出ることがある。何事もプラスに転換してやろうという貪欲な姿勢が大切だなと思う。

2016-10-27 11:59:42
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

本を出します。「3年でプロになれる脚本術」(河出書房新社、11月29日発売)。これまでブログ(ozakimasaya.jp/blog/)に書いたことに大幅に加筆し再構成したものです。これまでの脚本指南の本のどれにも似ていない本になると思います。よろしくお願いします。 pic.twitter.com/VvCBq8Ds8s

2016-11-07 11:37:31
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尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

ストーリーをメモ書きしていて行き詰ったとき、見切り発車でプロットを書き始めると、さっき滞っていたところを突破出来たり、脚本を書いている途中でうまく進まないので印刷して紙で読むと新しいことを思いついたりする。こういうときの脳の働きは謎だが、とりあえず目先を変えると効果があるらしい。

2016-11-29 13:51:21
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

昨日、三宅隆太さんのお話を聞いて思ったのは、脚本の初心者でまだ技術のない人にもドラマを書くポテンシャルは眠っているのではないかということ。でも誰もが三宅さんのようにそれを引き出してくれる先生と出会えるわけではないので、インプットと同時に自分の心の中を探って行く作業も必要になる。

2016-12-05 12:06:45