秘密の飴玉

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あ阿々。 @rainbow_solara

1 「ごめんなさい」 校舎の中庭でぺこっと頭を下げた。 …あ、泣いちゃった…どうしよう。 『やっぱり好きな人いるんですか?』 オロオロして差しだそうとした手が止まった。 「え?」 ドクンと心臓が跳ねる。

2015-08-07 15:44:19
あ阿々。 @rainbow_solara

2 『…みんな言ってます…横子先輩には忘れられない人がいるんだって…』 「…」 『この間卒業した…先輩のことがずっと…』 涙目で見上げるロングヘアの彼女。 可愛いな…私もこんなんだったのかな…。 懐かしさに笑みがこぼれる。 『…先輩?』 「…そんなんじゃないよ」

2015-08-07 15:44:31
あ阿々。 @rainbow_solara

3 訝しげな彼女の頭を撫でた。 『…ほんと…ですか?』 「うん…でも…ごめん」 『どうしても?』 「…うん」 『…好きな人、いるんですか?』 髪の毛を撫でる手が止まる。 「…うん」 『…そう…ですか…』 「でも…嬉しかった…ありがとう」

2015-08-07 15:44:42
あ阿々。 @rainbow_solara

4 切なそうな微笑みに何も言えなくなる。 開きかけた唇をきゅっと結んで、ペコリと頭を下げて走り去った。 はあ…。 溜息をついた。 どこからか楽しそうな笑い声が聞こえる。 閉鎖された乙女の花園。 こんなことは珍しいことじゃない。 あそこへ向かう。 一人になりたかった。

2015-08-07 15:45:09
あ阿々。 @rainbow_solara

5 部屋の前まで来て気付いた。 あ…私今日鍵持ってないや…。 また溜息をついた。 わざわざ連絡して鍵を貸してもらうのも面倒。 何となくドアノブを握る。 カチャ …あれ…開いてる? 「誰かいるの?」 声をかけて中に入った。

2015-08-07 15:45:26
あ阿々。 @rainbow_solara

6 皆それぞれここで何してるのかは知らない。 いや…何となく知ってるからこそ、一応声をかける。 でも返事はない。 鍵かけ忘れたのかな? ぐるり中を見回すと、奥に人の気配。 ベッドの上に寝転んでるのは…村子、だ。 スマホを握りしめたまま安らかな寝息をたててる。

2015-08-07 15:45:41
あ阿々。 @rainbow_solara

7 女の子なのにちょっとガサツ。 スカートがめくれ上がって下着が見えそう。 「…もう」 しょうがないなあって直してあげた。 こんなのでもモテるんだよなあ…。 毎日のように色んな子とデートしてる。

2015-08-07 15:45:49
あ阿々。 @rainbow_solara

8 小さいころからずっと一緒にいた。 ずっと一緒にいたから何でも知ってる。 ずっと一緒にいたから何も言わなくてもわかる。 ずっと一緒。 空気みたいな感じ。 いないと変な感じ。 私の隣にはいつも村子がいた。 ずっとずっと一緒にいて…ずっとずっと村子を見てた。

2015-08-07 15:46:05
あ阿々。 @rainbow_solara

9 その寝顔は誰より可愛いし、ぱっちり二重のくりくりした瞳は世界で二番目に可愛い。 口に出したことはないけどずっとそう思ってる。 近すぎて何もできなくて…それを察して優しくしてくれたのがさっき言ってた先輩。 この部屋で、このベッドで、苦しくて泣く私を何度も慰めてくれた。

2015-08-07 15:46:19
あ阿々。 @rainbow_solara

10 卒業するとき、頑張れって励ましてくれてここの鍵をくれた。 今あの先輩はどうしてるのかな…元気だといいな。 村子の髪の毛を掬いながら思い出す。 少し身じろぎして唇が薄く開いた。 赤い舌が見え隠れする。 それから目が離せなくて…近づいて…気付いたらキスしてた。

2015-08-07 15:46:29
あ阿々。 @rainbow_solara

11 唇に触れる柔らかい感触。 漏れる呼吸を飲み込む。 (…ん) 眠る村子が小さく呻いて、ハッとして飛び退いた。 あ…私…。 心臓がドキドキ音を立てる。 触れてた唇が熱くて溶けそう。 寝返りを打ってまた寝息をたてる村子。 濡れた唇が妖しく光る。

2015-08-07 15:46:43
あ阿々。 @rainbow_solara

12 熱い顔を覆って部屋を飛び出した。 明日どんな顔で会ったらいい? ぐるぐる考えながら廊下を走る。 溢れ出した想い。 誰も知らない秘密のキス。 横子だけの秘密の出来事。

2015-08-07 15:46:54
あ阿々。 @rainbow_solara

1 パタパタ足音が遠ざかる。 それを確認して体を起こした。 「あの子…」 唇に触れた柔らかい感触。 私の薄い唇を押し包む、熱くてぷるんとしたあの子の唇。 確かめるようにそっと触れた。

2015-08-07 16:02:12
あ阿々。 @rainbow_solara

2 ずっと一緒にいた。 小さい頃からすば子と横子と私と。 どこか浮き世離れしたすば子を二人で守りながら、当たり前のように同じ道を選んだ。 ここに来て、仲間が増えた。 庇護下にあったすば子にもどうやら大切な存在が出来たみたい。 二人で居ることも多くなった。

2015-08-07 16:02:17
あ阿々。 @rainbow_solara

3 恥ずかしがり屋で余り目も合わせてくれない横子。 二人きりでいるときは大体無言。 私以外だときゃいきゃい騒いでるくせに。 たまに目が合うと顔を赤くしてパッと反らす。 こっちから話しかけたことには一言二言答えるだけ。 でも絶対どこかへは行かないの。 同じ空間に無言で二人きり。

2015-08-07 16:02:26
あ阿々。 @rainbow_solara

4 そうやって、ずっとずっと一緒にいた。 「本当に…シャイなんだから…」 気付いてないとでも思ってるんだろうか。 あんなわかりやすい反応して、可愛いったらありゃしない。 この部屋の窓から見える中庭。 あの子が後輩と話してるのを見てた。 走り去って、そして歩き出す。

2015-08-07 16:02:35
あ阿々。 @rainbow_solara

5 ここに来る、そう思って部屋の鍵を開けた。 寝たふりしてる私に気付くかなって…ちょっとした悪戯心だったのに。 ていうか、据え膳目の前にしてあれだけだなんて…ほんとに意気地なし。 でもまああの子にしちゃ頑張った方かな…。 真っ赤な顔を思い浮かべてクスクス笑う。

2015-08-07 16:02:44
あ阿々。 @rainbow_solara

6 スマホが鳴る。 今日のデートの相手。 デートって言ってもお茶するだけ。 私はみんなのものだから誰のものにもならないの。 だから平等にお相手するのよ。

2015-08-07 16:02:49
あ阿々。 @rainbow_solara

7 でもね? もしあの子が望んでくれたら…私を欲しがってくれたら、一目散にあの子のことを抱きしめるわ。 それだけじゃない。 キスして触って愛して…全部私のものにする。 私のことも全部あげる。 私の全部横子のものにしていいのよ。

2015-08-07 16:02:55
あ阿々。 @rainbow_solara

8 まだ時間はたっぷりある。 これからもずっと一緒なんだから。 横子が触れた唇を舐める。 キュンって濡れた。 誰も知らない村子の秘密。 妖しく笑う、危ない秘密。

2015-08-07 16:03:08
あ阿々。 @rainbow_solara

「…私は?」 え? 「私は何もないの?!」 だって錦子は…ねえ? 「何よ!」 ねえ? 「何で…何でいつも私ばっかりー!!(号泣)」

2015-08-07 16:04:52
あ阿々。 @rainbow_solara

キャンジャニ∞、おしまい。(゚∀゚)

2015-08-07 16:05:09
あ阿々。 @rainbow_solara

1 真っ赤な顔で俯いて、下唇を噛んだままギュッと目を瞑るすば子。 M字に大きく開いたスカートの奥は裸のまま。 足もアレも、緊張と恐怖に縮こまってプルプル震えてる。 『閉じないように自分でちゃんと足押さえてて』 じゃないと危ないから。 言われるがまま太腿に回る手も震えてる。

2015-09-14 01:33:42
あ阿々。 @rainbow_solara

2 ハアハア聞こえる熱っぽい呼吸。 『すば子?』 頬に手を添えて声をかけると、一瞬私を見た。 眉を下げて潤んだ瞳。 ゾクッと何かが背中を伝う。 『怖がらなくていいからね』 チュッと、緊張で乾いた唇にキスをした。

2015-09-14 01:33:48
あ阿々。 @rainbow_solara

3 手のひらにプシュッと泡を出す。 それをすば子の足の間に丁寧に塗り拡げる。 くったり力ないソレを持ち上げて、全体に。 傍らに置いた容器の中の水で手を洗って、安全カミソリを手に取った。 『…いくよ?』 そっと刃を肌に乗せる。 頭上から息を飲む声。 ピクッと腰が引いた。

2015-09-14 01:33:53