ツイッター小説 お気に入りセレクト 2011/02/28

夕凪奏恵 @k_you_nagi

#twnovel 夜の雨が嫌いな私はテレビをつけっぱなしにする。夜の雨が好きな彼は窓の外の景色を眺めてる。朝が弱くて大嫌いな私は時間が許す限り布団の中でぐずぐずしてる。朝が好きな彼は早くから行動し始めて有意義な時間を過ごしてる。何かに付けて反対な二人。でも背中合わせで一緒にいる。

ゆず @nanakoro8

#twnovel 砂漠の果てにたどり着いた男が本を書いた「砂漠の中でオアシスを見つける100の方法」しかし時代はこの本に見向きもせず、なんと彼の死後50年が経過し地球が砂漠の波に覆われようとしていた折に大ヒットとなった。家族も親戚も居なかった男にはなぜか8人の子供が居た事になった

疾風卓司 @t_hayate

夜の動物園で見回りをしていた。何やら騒がしい場所があった。私は、そちらに向かった。そこでは、ペンギンたちが鳴いて踊っていた。突然、首元にひんやりしたものを感じた。空を見上げると、雪が降っていた。ペンギンたちは、とても喜んでいるみたいだ。#twnovel

夢名 七志 @mumei7c

ソースなら良かったんだろう。単純な話だ。譲れないのは育ちが違うのだと諦めるしかない。だからと言って、罵倒されるまま耐えるなんてできなかった。飛び出した時の怒りは、靴とサンダルを履いた足に気付いた頃には収まっていた。無言で帰ると、カレーの横には醤油が置いてあった。 #twnovel

@papekichi

「飛べると思っている」父は僕にそう呟くとダンボールで作った翼をパタパタとさせながら電車に乗り2度と帰ってこなかった。母に聞いても「お父さんはアレだから」と言うだけ。あれから20年、父はもう70歳だ。たまに非通知の電話がかかってくる。出ても「ピヨピヨ」しか言わない #twnovel

@hinoe000

#twnovel 頭上の碧霄に僅かばかりの月が浮かび、然しそれも蝉時雨に霞み女の気を惹く事は出来なかった。女は聴覚のみを頼りにし、慎重に歩を進めて往く。不意に女の傘に重苦しいものが落ちて来た。女は構わず歩く。碧霄からは胎児が降り注ぎ、無情に土瀝青の上で、絶える。女は盲目だった。

Takao Rival @takao_rival

#twnovel 子供の頃から遠足や旅行の度に雨に見舞われていた。いつしか雨男の異名が付き、アウトドア系のイベントに一切誘われなくなった。そんな僕にも彼女ができた。告白した時、雨男の話を正直に告げた僕に彼女はむしろ嬉しそうに笑った。「全然問題ないよ！だって私、一年中花粉症だから」

夢名 七志 @mumei7c

「ちょっと、もう少し協力的になれませんか。取材なんですから、あなたを責めてるんじゃないですよ。被災して大怪我をした体験者として、この惨状を伝える義務があるんですから。苦しんでるだけじゃ駄目です。テレビの前の人は納得しないですよ。あなたは被災者の自覚が足りない。」 #twnovel

layback @laybacks

「ゆか雨すき」「どうして？」「パパが家にいてくれるでしょ。まいにち雨だったらいいのに」「それじゃ仕事にならないじゃないか。ごはんが食べられなくなるんだよ」「おなかがすいてもがまんできるもん。ママだってきっとそういうよ。ね、ママ」写真立ての中で陽子は微笑んでいる。 #twnovel

Shimada Yuichi @chimada

「恐ろしいことに、本は本を引き寄せるのです」「わかります」「だから、放っておくと、ご覧の通りの惨状になるわけです」「はい」「私、これでも頑張ったんですよ」「もう、何も言わないでください」（ノーマン・アジェスティヴ『私が出会った愛すべき読書家』より） #twnovel

しーな@GO2完走 @xsheeenax

夕飯時、テレビに映し出される笑顔のお年寄りを見て僕は言った。「おじいちゃんもここに入れば？」途端、父親にものすごい勢いで張り倒された。「何てこと言うんや！」訳が判らず、ぼろぼろ泣きながら父親越しにテレビを眺める。老人ホームに入れば幸せになれるって言ってるの、に。 #twnovel

hua @hua_shancha

営業先への電車の中、不覚にも疲れて眠ってしまった僕。起きればそこは遠足だった。小４がいっぱい。見たことある顔、名前は浮かばない。ぷしぃ。この駅で降りるのか。しおり読んでないのー？って女子に言われて和む。電車の中には大人の僕がいた…わけないか。あ！弁当持ってない！ #twnovel

泥辺五郎 @dorobe56u

#twnovel 女に導かれて俺は小説を読む。それは本の中にはなく、町のあちこちに散らばっている。かつては野球場の外壁だけに記されていたというその断片的な文章は今や道路に、ガードレールに、看板の裏に、通りすがる人のシャツの袖に、見つけられる。俺達の話もあり、俺達のでない話もある。

(T-T) @Kyota_WJ

兵器として開発されたと思っていた。堅固な建物を消しとばし、山を崩し、土をえぐり返し、強固な機械を粉砕する。でも、そこにはいつも人間がいなかった。私達が通った跡には農地や道路や住居ができた。しかし、今日の仕事場には爆煙と砲声と人影がある。私達は今、兵器になる。 #twnovel