ストーム・イナ・ユノミ #3

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
0
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ひととおりの破壊音、それから沈黙。やがて、トストスと音を立てて階段を降りてくる。タキは通信を打ち切り、携帯端末を奥に投げ捨てた。彼はカウンターの上でマナイタ上のマグロめいて仰向けに震えていた。実際、起き上がる気力ももはやない。店内には血の臭いが満ちている。死体の山だ。 23

2016-12-31 16:38:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「たいしたもの、無いなァ……」再び現れたアモクウェイブがタキに声をかけた。「だが、何も無いわけじゃないんだろ?」「命だけは助けてくれ」タキは呻いた。「何でも話す」「何も無いわけじゃないんだろ?」「わかってる。ウチはただのピザ屋じゃないんだ。秘密があるんだ」 24

2016-12-31 16:42:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そうだろ?じゃなきゃ、おかしいんだ」「秘密のUNIX室がある。それは、なんつうか、ゲホッ、隠し部屋で、そこでハッキングの仕事なんだ」「ご大層だな」「場所は……」「いや、いい、充分」アモクウェイブは再びノイズの人型を作り出した。「トイレの中だな。よし、お前はもう殺しておこう」25

2016-12-31 16:45:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「いや、後がいい!」タキがもがいた。「パスワードとかもあるし、そういうのは、後がいいぞ!な、頑張ろうじゃねえか。ニンジャスレイヤーを一緒に倒そう!全部教えてやるし、おびき出してアンブッシュしようじゃねえか。なあに、報酬は要らねえ、命あっての物種だからさ!殺さないでくれ!」26

2016-12-31 16:47:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「お前、プライドとか無いの?」アモクウェイブがタキのもとへ歩み寄った。彼は眉根を寄せていた。「ありません!」「プライドが無い奴はムカつく……何のために生きてるんだ。かなり不快だ」「あります!」タキが叫んだ。アモクウェイブは断頭チョップを振り上げた。「全く……」 27

2016-12-31 16:52:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハイヤーッ!」そのとき、カウンターの陰から突如オイランドロイドが跳びあがり、カウンターを跨ぎこえながら、アモクウェイブにドロップキックを繰り出した。コトブキだ。アモクウェイブは瞬時に反応し、手甲で防いだ。コトブキはカウンターに両手をつき、二段、三段蹴りを繰り出した。 28

2016-12-31 16:55:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハイハイッ!ハイヤーッ!」鮮やかな連続蹴りだ。アモクウェイブはそれを苦も無くいなし、カウンターにカワラ割りパンチを繰り出した。KRAAASH!コトブキは間一髪、横へ転がり降りて躱し、タキは悲鳴を上げて床に落下した。コトブキはアモクウェイブめがけ手近の椅子を滑らせた。 29

2016-12-31 16:58:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「痛てェ……!コトブキてめェ、生きて……」「結構聞いていましたが、お前は腰抜けですか!そういう時は、仲間は売らんぞ、って言うんですよ!」コトブキがタキを叱った。アモクウェイブが蹴り返した椅子がコトブキの顔の横をかすめた。30

2016-12-31 17:02:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

コトブキは階上で騒ぎを聞きつけ、当初は階段の中途まで降りて、一階の争い事を観察した。彼女はそのまま音を立てぬように階上へ戻り、二階の窓から地上へ降りた。そのまま……西部劇の偵察シーンめいて……店の外をしゃがみ移動で回り込み、アモクウェイブが上がったタイミングで入店した。 31

2016-12-31 17:04:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そのまま彼女は匍匐前進でカウンターの陰まで移動し、じっと反撃の機会を伺っていたのである。アンブッシュはしかし、防がれてしまった。コトブキは手近のスロットマシンに手をかけ、ミシミシと引き剥がして持ち上げ、アモクウェイブに投げつけた。KRAASH!アモクウェイブは蹴り払った。32

2016-12-31 17:08:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ンンン……人間ではないな。オイランドロイド?」アモクウェイブが首を傾げた。「なんだこれは。オイランドロイドに護らせているのか」「お店に来ていた人の命がたくさん失われました。みんな、ピザを楽しみにして、歓談していたんです。よくないですよ」コトブキが言った。ニンジャは嘲笑った。33

2016-12-31 17:12:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「人間めいた口の利き方をする」「自我があるんです」「自我。アレか。ウキヨとかいう。面白いな」「あなたはニンジャのファック野郎ですね?ブッ飛ばします」「ははは、無理だ」アモクウェイブは無造作に片手をかざした。「このジツがあるからな」片手を握り込むと、コトブキがふいに痙攣した。34

2016-12-31 17:15:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「さあ、ブッ飛ばしてみろ」アモクウェイブが言った。コトブキが瞬きし、身じろぎした。ミシミシと音が鳴るばかりで、棒立ちである。「どうした!どうなった。見えない」床でタキが呻いた。「動けません」コトブキが言った。アモクウェイブが頷いた。「ジョルリ・ジツだよ、無生物」「動けません」35

2016-12-31 17:18:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そういうジツだからな」アモクウェイブが嗤った。グイと手を動かすと、コトブキが歩き出した。「おい店主、せっかくだからこいつに殺してもらうといい。ウキヨらしくな」「勝手に動いています」「ヤメロ!来るんじゃねえ……!」タキが身じろぎした。コトブキは歩いてゆく。 36

2016-12-31 17:22:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そうだな、ファックしながら殺すのがいい」アモクウェイブが言った。彼は手近の椅子に腰かけ、足を組んだ。コトブキがうつぶせのタキを仰向けにした。「助けてくれ」アモクウェイブは携帯端末を取り出し、カメラを向けた。「またがれ」彼は言った。そしてコトブキの肩越し、戸口の影に気づいた。37

2016-12-31 17:27:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ん……」「イヤーッ!」KRAAASH!扉が吹き飛び、コトブキの真横を飛び過ぎて、アモクウェイブに衝突した。「ヌウーッ!」アモクウェイブは咄嗟のクロス腕で防御した。その手から砕けた携帯端末が落下した。彼は見た……燃えるような人影が戸口に立ちはだかっているのを。 38

2016-12-31 17:30:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オイ来たか!遅せえぞ!」コトブキにマウントを取られたタキがもがいた。「ファック・アンド・サヨナラされちまう!早くあのニンジャ野郎を……」「黙れ!」戸口の者がぴしゃりと言った。そしてアモクウェイブにアイサツを繰り出した。「ドーモ。アモクウェイブ=サン。ニンジャスレイヤーです」39

2016-12-31 17:33:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ。ニンジャスレイヤー=サン。アモクウェイブです」アモクウェイブはアイサツを返した。コトブキも立ち上がった。「このオイランドロイドは使わせてもらうぞ」「……おれを捜してここまで来たのか」ニンジャスレイヤーがジゴクめいて言った。「手間を省いてくれた礼だ。このまま殺す」 40

2016-12-31 17:40:45