脳科学者・茂木健一郎氏(@kenichiromogi)が語る「アデ」(アカデミー賞)
- toshihiro36
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アデ(1)学生の頃、アカデミー賞をバカにしていた。「あんなもん、一貫してひどい作品を選んでいるじゃないか」。アカデミー賞のニュースを後追いで報じて騒ぐ日本のメディアもバカだと思っていた。
2011-03-01 06:22:13アデ(2)少し考えが変わったのは、フロリダでユニヴァーサル・スタジオを訪れた時である。インディアナ・ジョーンズのセットがぐるぐる変わって、「そうか、こんな大規模のシステムで撮っていたのか!」と驚嘆した。
2011-03-01 06:22:57アデ(3)ハリウッド近くのホテルに泊まった時のこと。なんだか、ウェイトレスやウェイターがみな美男、美女である。どういうことか、と思っていたら、俳優志望の若者が全米から来て、アルバイトをしているのだという。
2011-03-01 06:23:49アデ(4)ビバリー・ヒルズを車で走ると、一つひとつの邸宅の大きさに驚嘆する。美しい緑の生け垣に囲まれた家々。アメリカン・ドリームというのは、まさにこのようなことを言うのだなと思った。
2011-03-01 06:24:48アデ(5)アカデミー賞の質が必ずしも高いとは思えない。しかし、それは、「市場」との関係で生まれたきた一つの現象だろう。タルコフスキーやキアロスタミなどの芸術映画は、市場が小さい。ハリウッドは市場そのものであり、その作品が薄くなるのは仕方がないこと。
2011-03-01 06:26:22アデ(6)アカデミー賞のすぐれた点の一つは、その対象が実はアメリカ映画に限らないこと。今回受賞の英国王のスピーチもイギリスとオーストラリアの映画。スラム・ドッグ・ミリオネアもイギリス映画。つまりは、英語で制作された映画ならば、すべて対象となる。
2011-03-01 06:29:22アデ(7)日本アカデミー賞の規定がどのようになっているのか知らないが、「日本語で制作された映画」として、世界のどの国で作られたものでも対象にするという考え方はあり得る。
2011-03-01 06:30:26アデ(8)アカデミー賞、ハリウッド映画が依拠している「市場主義」は、必要なことだけれども、それがすべてではない。興行的に成功することと、批評的評価が分離されていない日本においては、その弊害が特に強い。
2011-03-01 06:32:12アデ(9)必要なのは多様性。資本主義は、どんなに先端的な取り組みも必ず貪欲に取り入れてしまう。アカデミー賞を有り難がって表層的、大げさに報道する日本のメディアよりも、背を向けて勝手にやっている人の方が、むしろハリウッドの心に近い。
2011-03-01 06:34:23