鬼族の物語

霞の話
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@sorede2

霞は事態が理解出来なかった。”あたしを楓と勘違いして…下衆が逃げた?” 「お前が楓か…」美貌が歪んだ。霞は一瞬を見逃さず高速移動し強烈な肘撃ちを腹に叩き込んだ。ぐはっ。「人間を護る振り…罠だったか…」血を吐き髪を地に這わせた。近づく藤堂の足音。女は呻いた。

2011-02-18 02:34:05
@sorede2

#twnovel 連邦軍壊滅。残党は密林の奥地へ。美貌の将校は戦いの女神と呼ばれたが部下は16歳の少年1人になった。戦闘術、サバイバル、救命術…全て教えた。決戦は明日だった。少年は真夜中に眼を覚ました。「起きろ。…お前に教えておく事がある」…月が観ていた。少年は秘密を知った。

2010-10-24 16:24:35
@sorede2

#twnovel 彼は酒が嫌いだ。深酔いの帰り路。足裏に軟体動物の背を歩くむず痒さ。空に屠殺場の肝臓が浮ぶ。「…雨だ」中年が見上げけらけら笑う。…あめ?月は…。酒が魅せる景色は俺の内側か…「あれは…俺だ」彼が哂うと中年も笑いながら吐いた。空っぽになりそうで彼は吐くのを止めた

2010-11-10 12:47:46
@sorede2

#twnovel 1、底冷えの摩天楼に夜の街は小さく観えた。その女は…”あたしに逢いたいならサウスバーンに来て”そう呟いたらしい。其処は氷の廃墟。地平線まで灰色の残骸が眠るだけ…。男は訝しく想いが纏まらぬまま吸殻を揉消した。「死んだ女が逢いに来てってか…」苦笑した。続く。

2010-12-01 21:12:03
@sorede2

#twnovel 2、記憶を辿る。確かに…女は死んだ。ビル群の谷間に閃光が煌き全て焼き尽したあの時。振り返り。俺を観て。微笑み…光に消えた何も残さず…。情報屋の話では伝言を頼み真っ直ぐに爆心地に向かった女。人々を救う為。「解らない…サウスバーンねぇ…」自嘲気味に哂った。続く。

2010-12-01 21:41:52
@sorede2

#twnovel 3、男はサウスバーン行きを決めた。繰言。これから死ぬって女が何故逢いたいなら来て等と伝言したのか?不死鳥でもあるまい…俺は馬鹿か?自嘲。溜息…「まずは装甲ジープを手に入れないとなぁ」男は強奪する事にした。崩壊した世界にそれしか方法は無い。続く。 

2010-12-01 22:06:24
@sorede2

路地裏の廃物置き場に潜む。3時間前に研究施設を脱走した。自分は人間だ。17歳までの記憶がある。そう想っていた。蘭は知った。アンドロイドだった。学園の体験も17年の歳月も…無かった。偽りの誰かの記憶。事故と入院の擬似記憶を信じた。検査と称する実験。…蘭の意識は3日前の起動だった。

2011-02-24 09:54:12
@sorede2

蘭は人間の美少女に観えた。郊外の施設から都市まで駆け続け下町の路地に辿り着いた。記憶では此処が生きた場所。…記憶の街は30年前の景色だった。煙草屋の美人は老婆に成っていた。「あたしは…誰の記憶なの…」涙が溢れた。蘭は怖くなり路地裏に潜んだ。蘭の家は無く雑居ビルになっていた。

2011-02-24 10:09:14
@sorede2

「君、何やってるの」男の怪訝な声。街燈に浮ぶ40代の男の顔に見覚えが…。「翔太?」男は驚いた。「俺を知ってるのか?」アニメ同好会の悪友、翔太の面影があった。「あたしは…」「誰?」言えなかった…。人間の蘭が実在しても…30年前の姿のあたしを誰も信じない…。いっそアンドロイドだと…

2011-02-24 10:32:41
@sorede2

「君…高校の時の同級生にソックリだ…」蘭の瞳が輝いた。「あ、あたし…」「蘭の娘さん?」言葉を飲んだ。「蘭はあた…似てる…その蘭さんはどこ?」「もう20年は逢ってないからなあ。この街に居るかなあ…でも良く似てるなあ」モデルは実在した。もう1人のあたし…人間のあたしに逢ってみたい…

2011-02-24 10:56:07