鬼族の物語

霞の話
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@sorede2

10、決戦は巨人族の参戦で諸種族が勝利し世界に平和が。だが霞は予言された世界壊滅の元凶の成長した楓と最後の戦いをすることになる…。勝てないけどね笑 楓は霞を殺さず去る。そこまで。続きはパート2で…世界を破滅させる悪の帝国を形成してゆく楓と阻止しようとする霞の愛憎入り混じる戦い笑

2010-12-01 13:43:08
@sorede2

15、ある夜。山百合の香りを纏いそれは来た。かつての爆心地の脆くなった時空の壁は不定期に穴と成り。第四世代の子孫、魔族と呼ばれる種族の一人は人間の気配を感受してこの世界に来た。

2011-01-11 00:08:07
@sorede2

山百合の香る或る夜。それは空の闇の澱から来た。表皮一枚を残し眠るヒトの臓器と骨と肉と脳と内側の全てを喰い尽くした。表皮一枚の擬態であって別の生物となった。隠れる森はヒトの溢れる都市。住宅街のマンションに潜んだ。山百合の香りを除いて判別は不能だった。

2010-12-19 21:03:19
@sorede2

昼は肉体を奪ったヒトの記憶を遣い疑われもせず。夜は体内に養った幼虫を植え付けるヒトを探し眠らず街を彷徨った。それは女に擬態したゆえ容易く同じ種の雄を獲った。微かな山百合の香りに気づく頃には唇から移された幼虫に咽喉の奥深く侵入され法悦に似る快楽に堕ち意識の有るまま内蔵を喰われた。

2010-12-19 21:16:22
@sorede2

華奢なダークブルーのスーツを好んで纏い。知性滲む美貌に銀の眼鏡。それは男の淫らな欲動を擽る。狙った男の膝にグラスを放ち。前屈みに胸元を寄せ眼を覗き込み切なげに謝罪する。全ての男は欲動に屈服し誘われるままに従った。数時間後。幼虫の棲む別の生物となった。

2010-12-19 21:37:12
@sorede2

それが都市の闇に隠れ棲んだ同じ頃。僻地の山岳の村から更に遠い旧家に少女が辿り着いた。少女は乏しい言葉で解らないコトバを言った。「モモヤマ」老婆と少年にはそう聴こえた。解らずお菓子を与えた。此処に居させてほしいと懇願してるようだった。

2010-12-19 21:48:20
@sorede2

事情は解らなかった。老婆は亡くした娘に少女の面影を重ね解らぬ不憫を想い匿った。「誰かに虐められたのかい」少女は小首を傾げ無邪気に微笑みお菓子を食べた。少年は妹が出来たように歓んだ。分校は遠く年少にこれほど美貌の少女は居ない。少年は胸が熱くなり戸惑い少し恥らった。

2010-12-19 22:05:45
@sorede2

同じ頃。山陰の仙道寺院の老師は夢を観た。細身の美貌の女と幼女に近い少女の壮絶極る戦いの夢だった。都市を破壊し女と女に似た者達は殺戮し。護る少女は苦闘する夢だった。「…遂に遣って来たか」老師は繰り返し観た世の終りの戦いが迫りつつあると悟った。

2010-12-19 22:20:34
@sorede2

「…戦の仕度を成せ」薄暗い堂内の朱の蟷螂の炎に精悍な漢達の戦姿は揺れる。仙道衆は老師と共に死ぬる覚悟であった。数百万の民が死に都市は廃墟と化する夢。いかなる物理攻撃も通じぬ超絶の力を操る者達から護る業は仙術の他に無い。全てはこの戦の為の苦行だった。

2010-12-19 22:43:26
@sorede2

翳む上弦の月を背に老師は洞穴の奥の禁忌の蔵へ急ぐ。時を経て封印を解く為に。千年の古き世に跋扈した鬼の姉妹を放つ為に。「邪悪な者達を倒すには鬼を放つよりあるまい」蔵に眠る姉妹は歳を取ることも無く静かに美貌を横たえ千年の歳月のまま。「霞…楓…お前達の力を借りる時が来たのだ…」

2010-12-19 23:20:16
@sorede2

奇妙な都市伝説は街を被い始めた。人格が微妙に変化した者達の噂。人格変異者の数は数百人に及ぶ勢いだった。天文学的な拡大に向かいそうだった。非公式の国家情報部は解析に追われた。「何かが起こっている…この都市から発生した何かが急激に拡大している…」未だ誰にも解らなかった。

2010-12-19 23:37:56
@sorede2

国家情報部の地下。「藤堂さん…古い文献に異界の者達の伝承がありましてね…」研究室を訪ねた藤堂に珈琲を勧めた。また其れか…藤堂は研究員の西宮の戯言を聴くとベスター博士を想い出し憂鬱になる。「現在起こっている不可解な現象と古い文献に類似点が有るんですよ」意外だった。「人格変異が…」

2010-12-20 00:01:24
@sorede2

「千年前、異界の者達がいにしえの日本に来てるんですよ」話はこうだ…。異界には八種族の共生する世界が在り。魔族の謀略により大戦勃発。魔力複合に因りこの世界と異界を隔てる空間に不規則に場の薄い座標点が生じた。数百年の循環で其処は穴と化す。穴から異界の種族はこの世界に侵入するらしい。

2010-12-20 00:11:58
@sorede2

小首を傾げた。小4の牧夫には意味が解からない。38…、96…其の紙には2つの長い数字が並ぶ。更に「18時。穴が開く。物体を入れ続け阻止せよ」とあった。? 牧夫ら探検クラブの3人は日曜の午後、今日の探検目標の神社裏の小山に潜入した。1枚の紙が落ちていた。牧夫らは気づかなかった。

2011-02-28 00:30:48
@sorede2

紙の傍の草叢の奥に変色した冬の枯葉。黒ずんだおびただしい血の痕。この物語の前述を覚えてる人はもう解かっただろう。時空の穴が開く。阻止すべく来た者は遺体さえ消滅したようだ。魔族に知られたのだろう。其の地に牧夫らは来ていた。近づく異形の刻。小4の3人は何も知らず…陽射は静かに傾く。

2011-02-28 00:42:50
@sorede2

血塗れた夕刻の死滅したような静寂に沈む無人の広場にダークブルーの女の翳は太古の壁画の悪魔を模した禍々しい輪郭を永く餓えた肉食獣の漁る肉塊の残骸に毒蛇の彷徨に似た血の痕跡を延々と広場の端まで刻印するかのように永い。←意味不明。

2010-12-21 00:43:48
@sorede2

天使の顔をして無邪気に邪悪な争いを引き起こす者ほど神々しく見分けのつかない者は居ない。天使に観えてしまう。彼はそういう人に恋をして全てを壊された。最強の邪悪は悪の様子じゃなく天使のように観えるから誰も気づかない。

2010-12-22 20:09:45
@sorede2

其の女は無邪気に戦争を引き起こす。同類の者達は哂いながら砲撃する。破壊し殺し争わせ全てを天使と正反対の方向へ引っ張る。同じ性質ゆえに。天使の顔の悪魔は無邪気に罪無く邪悪な争いを引き起こす。それが本当の魔性。

2010-12-22 20:03:01
@sorede2

1、廃墟と化した西新宿の一角。仙道衆の戦士と魔族の戦いは激烈を極めた。6人の魔族のうち4人は倒れ。仙道衆30名の内すでに26名が息絶えた。戦士は波動を籠めた秘奥義の機会を狙う。対峙する魔族が気を取られた刹那、戦士は咆哮した。「仙道秘奥義波動上段蹴刃!」魔族はかわした。「なぜ?!」

2011-01-23 03:22:22
@sorede2

「わしは若い日に魔族の女に恋をして罠に落ちた。魔族はしつように妨害し人類への貢献が出来ない状況が永かった。邪悪な権力者たちは世界を闇に落そうと必死だった…。我々光の戦士が彼ら闇の使徒に敗北すれば世界は災いに落ちる。急いで新天地を見つけるのだ」 老師は生か死の極限にあっても志強く…

2011-02-05 21:25:39
@sorede2

霞は駆けた。驚異の動体視力と常人にあらざる筋繊維の弾性と関節の柔軟を駆使して地面を蹴り肢体を押し出し強靭な鋭角の軌跡を描き瞬間移動の如くに降る雪をかわして駆けた。降る雪のひとつひとつをかわして駆けた。(ムリだろっ笑)

2011-02-11 15:52:24
@sorede2

「其処を退け…」両腕を重ね砲の態勢に立ち魔族の女は言い放った。既に全身の気を集め腕は淡い緑色の輝きに充ち強大な魔道砲を撃つ寸前だった。洞窟の前に立ち霞は対峙した。洞内深い暗闇に数十の人間が怯える。「退けばお前は助かるぞ」冷淡な微笑。魔道砲の直撃を受け無事の可能性は無い。

2011-02-18 01:46:51
@sorede2

「残虐非道の鬼族のお前が何ゆえ人間を護る?」美貌の魔族は訝しがった。「おかしな娘だ」長い髪を揺らし笑った。霞は懸命に考えた。”退けば人間らは死ぬ。退かねばあたしが瀕死の重傷を負う…どうしたらいい…” 午後の逆光を浴び森林を抜けた数十の黒い影は魔族の背に近づいた。

2011-02-18 01:57:24
@sorede2

魔族の郎党だった。”この状況で魔族がこんなに…” 霞は絶体絶命の洞窟に立ち尽くした。「お前、名は? まだ十代? その美貌と力なら非道に生きれば楽しめるのに」魔族の冷笑が広がる。「人間は我等を嫌い闇に葬った…助ける必要は無いわ…最強の鬼族のくせに馬鹿な子ね…」遠くに声がした。

2011-02-18 02:06:43
@sorede2

”藤堂? なぜ此処に?” 人間の力では魔族に殺されるだけ。森林を抜け藤堂は絶叫した。「霞、楓、大丈夫か!」楓は岩地で戦闘の真っ最中だ。…だが魔族は動揺した。「こ、こいつが楓…」恐怖が観えた。怯えて魔族は次々に高速移動した。「なに? お前ら逃げるな!」美貌の女の一喝は虚しく響いた。

2011-02-18 02:14:41