ナウシカは日本の国文法をどう眺めるのか

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uroak_miku @Uroak_Miku

国文法と英文法は、同じ用語を使うときもあれば違う用語を使うこともあるのが不思議だと、中学や高校のとき思ったことはないでしょうか。

2017-01-12 10:31:20
uroak_miku @Uroak_Miku

ほら、動詞とか活用形とか主語とか、同じ用語を使う。その一方で国文法では体言/用言、未然形とか、英文法にはない用語もたくさん出てきます。助詞もそう。また英文法にも目的語とか、国文法では見かけない用語がいくつも見つかるし。

2017-01-12 10:33:49
uroak_miku @Uroak_Miku

素朴な疑問ですが、実はここにこそニホンジンの英語嫌いの謎を解くかぎが隠されています。

2017-01-12 10:36:22
uroak_miku @Uroak_Miku

4)国文法のルーツといえば、江戸時代後期に活躍した本居宣長の研究が思い浮かぶところだけど、それは別に、オランダ語の研究者がオランダ語文法を応用した国文法を編み出しています。

2017-01-12 10:38:00
uroak_miku @Uroak_Miku

5)明治に入って、本居系つまり国学系の文法研究と、蘭学系の文法研究の二つが衝突した。英文法が入ってきたために衝突はさらに激しくなった。

2017-01-12 10:39:26
uroak_miku @Uroak_Miku

6)その後、今の文部科学省にあたる機関が、西洋列強をまねて国語辞典の編纂に乗り出し、語彙の整理のためにも明確な文法体系が必要となって、英文法をお手本にした国文法がある職員の手で開発された。

2017-01-12 10:41:21
uroak_miku @Uroak_Miku

7)「主語」「述語」の概念が取り入れられたのも、この日本初の国語辞典『言海』がきっかけです。本の冒頭に国文法の章が設けられて、これが評判になったので、後日それを独立させた文法書が発売された。

2017-01-12 10:42:48
uroak_miku @Uroak_Miku

8)伊藤博文も勝海舟も激賞した大事業でした。「これで我が国も、西洋列強に肩を並べる文明国だと世界に胸を張れる」と伊藤は出版記念パーティで宣言したほどです。

2017-01-12 10:44:02
uroak_miku @Uroak_Miku

9)この国語辞典は現在、国会図書館のおかげでネット上で閲覧ができます。文法章を眺めると、英文法を強く意識しているのがよくわかる。

2017-01-12 10:45:25
uroak_miku @Uroak_Miku

10)それでも国学系文法の研究成果も踏まえています。和魂洋才というのとはちょっと違うかな、折衷的な文法でした。

2017-01-12 10:46:25
uroak_miku @Uroak_Miku

11)編纂者の名にちなんで「大槻文法」と呼ばれています。これへの批判からまた別種の文法が生まれたり、発展系の文法がまた現れたりと、いろいろでしたが、昭和10年に橋本健吉による「橋本文法」が完成し、やがて学校国語に採用されて今に至っています。

2017-01-12 10:48:24
uroak_miku @Uroak_Miku

12)橋本文法は大槻文法の後継者的な研究でした。しかし外国人には使いにくい文法でもありました。

2017-01-12 10:49:24
uroak_miku @Uroak_Miku

13)日本は東アジアを「大東亜共栄圏」として大日本帝国の外延化をもくろみました。公用語はむろん日本語です。それで各地で日本語教育に力をそそいだ。

2017-01-12 10:50:24
uroak_miku @Uroak_Miku

14)期待したほどの成果があがらなかった。「知っている」はよくて「知っていない」はどうしていけないのだ?等の素朴な質問をされて、日本から派遣された国語教師は頭を抱えた。

2017-01-12 10:51:20
uroak_miku @Uroak_Miku

15)「国語」を教えるつもりだったのに「日本語」とは何かを問いかけられたのです。

2017-01-12 10:52:38
uroak_miku @Uroak_Miku

16)和洋折衷の国文法では「日本語」を教えられないことがはっきりしてきた。

2017-01-12 10:53:28
uroak_miku @Uroak_Miku

17)しかし、この難題を乗り越える前に日本は戦争に負けた。続きは日本国内に持ち越された。

2017-01-12 10:54:16
uroak_miku @Uroak_Miku

18)その一大成果が三上章による「三上文法」でした。これは現在、外国人への日本語教育におけるメソッドに昇華されて、今日も世界中で使われています。

2017-01-12 10:55:53
uroak_miku @Uroak_Miku

19)三上文法はとにかく実用性がずば抜けて高かったものの、弱点もあった。明治以前のことばは扱えないのです。

2017-01-12 11:01:26
uroak_miku @Uroak_Miku

20)学校文法は使い勝手が悪いけれど、春樹でも漱石でも清少納言でもとりあえずカバーできてしまう。

2017-01-12 11:02:40
uroak_miku @Uroak_Miku

21)これが何を意味するかというと、私たちが今使っていることばは、明治になって改造されたものだということです。

2017-01-12 11:04:47
uroak_miku @Uroak_Miku

22)しつこく引用します。まんが『風の谷のナウシカ』から。ナウシカたちは私たちの直接の末裔ではなく、改造人類だと本人が気が付く。 pic.twitter.com/DI9g1vF6bu

2017-01-12 11:06:17
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uroak_miku @Uroak_Miku

23)「自然に生まれた耐性ではなく人間が自分の意志で変えたのですね?」

2017-01-12 11:08:09
uroak_miku @Uroak_Miku

24)国文法に限らず、文法とはその言語のメカニズムを明らかにするという建前の裏で、ことばを規範化するという本音があります。

2017-01-12 11:10:59
uroak_miku @Uroak_Miku

25)音楽理論もそうです。「この音の重ね方は禁則」とか、理論書にはびっしり書かれているけれど、ビートルズもデイヴィスもそんなこと知ったことかと曲を作って世界を熱狂させた。

2017-01-12 11:12:26