Un deux

竹村京さん(@kyou_takemura)の書いてくださった、落ちぬい二次です! 今回は響と雪風、この二組のお話です。 タイトルの「Un deux」の ぜひぜひおたのしみください! 続きを読む
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はじめに

竹村京 @kyou_takemura

#落ちぬい二次 、はじまります。本作は #不知火に落ち度はない の二次創作であり、オフィシャルではありません。指摘、意見などは #落ちぬい タグへお願いします

2017-01-18 18:54:43

本編

竹村京 @kyou_takemura

「響!朝ですよ!」 雪風がルームメイトの体を布団越しに揺すっている。 「今日は休みのはず……あと三時間……」 「お出かけの約束です!ご飯食べてお出かけの準備しましょう!」#落ちぬい二次

2017-01-18 18:55:39
竹村京 @kyou_takemura

「ん……そうだった。起きる」 布団がもぞもぞと動き、空の酒瓶が転げ落ちてから銀髪の少女が顔を出す。 「むー、お酒臭いです。顔洗いに行きましょう」 「おはよう雪風」 目をこすって起き上がり、伸びをする。 「おはようございます、響!」#落ちぬい二次

2017-01-18 18:56:43
竹村京 @kyou_takemura

二人はパジャマから普段着に着替え、雪風は机の上からネックストラップ付きのパスケースを取って首にかける。響もそれに倣うが、こちらはストラップをケースに巻きつけてポケットに収めた。パスケースにはICカードが入っている。この部屋の鍵だ。#落ちぬい二次

2017-01-18 18:57:28
竹村京 @kyou_takemura

通常の軍人の様に常に居室の扉を開けておかなければならないという規則はプライバシーを強く保護される艦娘には適用されないが、それでも迅速な対応のため原則的に施錠はしない。そもそも大部分の居室には錠そのものが存在しない。#落ちぬい二次

2017-01-18 18:58:44
竹村京 @kyou_takemura

しかし響と雪風の部屋だけには錠があり、常時施錠されている。しかも普通のシリンダー錠ではなく、ICカードと生体認証を組み合わせた厳重な電子錠だ。#落ちぬい二次

2017-01-18 18:59:50
竹村京 @kyou_takemura

新たに着任した艦娘はこの特別扱いに不平を言うが、もちろん止むを得ない理由がある。この二人は日本人ではないのだ。響はロシアからの、雪風は中華民国からの亡命者である。#落ちぬい二次

2017-01-18 19:01:11
竹村京 @kyou_takemura

洗面台に向かう。大所帯だけに洒落たものというわけにはいかず、まるで学校のような横長の流しに蛇口と鏡が並んだ物である。朝から勤務の艦娘たちはとっくに身支度を済ませているため、随分と広く見える。#落ちぬい二次

2017-01-18 19:02:28
竹村京 @kyou_takemura

蛇口をひねるとしびれるほど冷たい水が勢いよく迸る。それを手に受けて、意を決して顔にかける。響は冷たい水で眠気が払われる感覚が好きだった。#落ちぬい二次

2017-01-18 19:03:34
竹村京 @kyou_takemura

洗顔を終えて食堂に行くと、朝食のピークは過ぎているので人はまばらだった。 この基地の食堂は民間で経営しているものなので、普通の基地のような一律メニューではなくある程度選ぶことができる。雪風は焼き魚の朝定食を選び、響もそれに倣った。#落ちぬい二次

2017-01-18 19:04:34
竹村京 @kyou_takemura

「おはよう、二人とも今日は休みかい?」 配膳カウンターの奥から調理服の男が声をかけてくる。陽気な厨房ガイズの一人だ。 「はい、響と一緒にお出かけです」 「響ちゃんが休みの日に早起きとは珍しいな。ちょっと待ってな、こいつは早起きのご褒美だ!」#落ちぬい二次

2017-01-18 19:05:39
竹村京 @kyou_takemura

男がそう言って二人のトレイに載せたのは乳酸菌飲料の小さなボトルだった。 「わあ、ありがとうございます!」 「スパシーバ」#落ちぬい二次

2017-01-18 19:07:14
竹村京 @kyou_takemura

二人は向かい合って朝食を摂る。ご飯とみそ汁、アジの開き、おひたし、しば漬け、味付け海苔。そこに朝食には定番のパック牛乳とおまけの乳酸菌飲料。軍隊だけあって結構な量だが、二人は自分でよそうご飯を少なめにして全体の量を調整していた。#落ちぬい二次

2017-01-18 19:08:19
竹村京 @kyou_takemura

「「いただきます」」 日本式の食膳の挨拶も慣れたものだ。 「うん。今日もおいしい」#落ちぬい二次

2017-01-18 19:08:35
竹村京 @kyou_takemura

雪風が日本に来てしばらく大変だったのが朝食の違いだったそうだ。中華圏では朝からしっかり食べるが、日本では朝は軽いものが定番だ。この違いに慣れるまで、朝食から昼食までお腹が減っているような気がしていたと、響は聞いたことがある。#落ちぬい二次

2017-01-18 19:10:30
竹村京 @kyou_takemura

響の家では朝は軽めのカーシャが定番だったので、響は逆に朝から食べ過ぎているような気がしていた。 ゆっくり食事をして、食堂を出たのが八時半。洗濯をしてから基地を出ると、ちょうど店が開く時間だった。#落ちぬい二次

2017-01-18 19:12:54
竹村京 @kyou_takemura

二人が買い物に向かったのは鎮守府の近くにあるデパートである。クリスマス会に持ち寄るプレゼントを探すためだ。#落ちぬい二次

2017-01-18 19:13:15
竹村京 @kyou_takemura

兵頭司令官の方針で、多少日取りがずれたとしても季節のイベントを行う事が推奨されている。制度上は軍人であるとともに艦娘という防衛装備、つまり兵器であると規定されている彼女たちの精神衛生のためだ。#落ちぬい二次

2017-01-18 19:13:59
竹村京 @kyou_takemura

とはいえ任務の都合で全員揃ってというわけにはいかない。業務を調整して仲がいいグループごとにまとまって休みを取れるようにし、各々で企画し実施する。#落ちぬい二次

2017-01-18 19:14:30
竹村京 @kyou_takemura

過ごし方は様々で、外の遊園地やレストランなどに出かける者もいれば宿舎内でパーティをする者もいる。今回の響たちは後者だ。比較的年齢の低い艦娘を集めてクリスマス会を行う予定である。#落ちぬい二次

2017-01-18 19:16:05
竹村京 @kyou_takemura

持ち寄るプレゼントは交換する時まで秘密という約束に従い、二人は別の店に入る。雪風は雑貨屋へ、響はぬいぐるみ屋へ。#落ちぬい二次

2017-01-18 19:16:34
竹村京 @kyou_takemura

響とて年頃の女の子である。人並みにはぬいぐるみが好きだ。大きな熊のぬいぐるみに目を引かれたが、今日買うのは自分用ではないし、あまり大きくてはスペースに限りがある寮では邪魔になると思い直して、高さ20センチほどのものを購入した。#落ちぬい二次

2017-01-18 19:17:44
竹村京 @kyou_takemura

大きさでは妥協したが、その分手触りにはこだわった。小さいから抱くのではなく撫でるのがメインになるだろう、だから短毛で艶やかな毛並みのものを。これなら誰が引き当てても満足してもらえるだろう。#落ちぬい二次

2017-01-18 19:19:11
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