【コセン・ニンジャと失われた与太話】第二話 その1・その2

悪魔を倒し、ミヤコセンセイの力を取り戻すべく動き出したコセン・ニンジャは、古代遺跡が名物の観光町にやってきた。しかしそこは、悪魔に占拠されており…
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コセン・ニンジャ @kosn_ninja

「よかったな」「いや、良くないさ。あれを見ろ」ジャクソンが窓の外を指差した。その先には、山の頂上に建てられた白い石造りの城があった。ただの城ではない。城の中央塔のてっぺんに巨大な円盤状のレンズが取り付けられている。巨人がそれを覗けば、城の中庭が良く見えることだろう。 #kslst

2017-01-23 22:16:49
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

ジャクソンは苦々しげに言った。「あの城はこの町に存在した遺跡の一つで、町の誇りだったんだ。それを奴らは占拠した」「あの城で何をしようとしてるんだ?」「分からない。けど、時たま奴らは山から降りてきて、食料にするために人をさらう」バン、とジャクソンは机を拳で叩いた。 #kslst

2017-01-23 22:19:32
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

「肉が美味いって理由で、女からさらわれる!」コセン・ニンジャは空になった皿とコップを置いて、立ち上がった。「ごちそうさん。最後に聞いていいか?俺の前に、この町に来たやつはいるか?俺よりも背の低い女だ」彼は数日前に人探しの仕事を、魔術協会から受けていた。 #kslst

2017-01-23 22:23:17
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

ジャクソンは答えた。「ああ、居たとも。だが、城に行っちまった。止めたんだがな。あんたも城に行くのか?」「そうだ」「やめとけ。死んだら終わりだ」コセン・ニンジャは扉に手をかけて言った。「そう言ってるうちは、何も変わらないさ」そして、酒場を出ていった。 #kslst

2017-01-23 22:25:36
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

酒場を出た後、コセン・ニンジャはケバブの屋台を見つけた。客は居ない。観光客向けのその店には、目の死んだ一人の青年と回り続けるケバブ・タワー。「一つくれ」青年はケバブ・タワーから機械じみた手つきで肉を削ぎ、雑にパンとキャベツで挟んでコセン・ニンジャに渡した。 #kslst

2017-01-23 22:33:39
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

コセン・ニンジャはケバブをかじりながら、城を見上げた。月の光を使って栄えた、古代ソルティア。その王が住んだと言われる巨大月光レンズの城。今夜は満月だ。悪魔共がその技術を使う気なら、今日中にカタをつけるしかない。 #kslst

2017-01-23 22:36:27
こっぺぱん @tk4624panzar

屋台のケバブってなんか美味しいんだよな… #kslst

2017-01-23 22:37:01
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

悪魔に侵略された街、それを見下ろす城、さらわれる者を前に抵抗しない人々。ケバブをかじる。冷たい肉と腑抜けたキャベツ。それはどうしようもないほど、腰抜けの味がした。 #kslst

2017-01-23 22:38:11
こっぺぱん @tk4624panzar

街の実情が出てしまった味か… #kslst

2017-01-23 22:39:01
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

ソルティア城の地下には、牢獄がある。大昔、罪人をとらえておく為に使われた牢獄は、今では悪魔が、捕えた人間を閉じ込めておくために使っていた。しかし、ここに捕らえられている人間は一人だけで、他の人間は即座に食料にできるように上階の別室に居る。 #kslst

2017-01-23 22:42:02
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

「うへへへ、やっぱ女はいいな。喰っちまう前に、いろいろ遊べる」牢屋の一つを前に、悪魔は言った。現在、唯一使われている牢屋の中には女。いや、少女が居る。白衣を纏い、肩まで伸びた薄い茶色の髪を一つにまとめ、メガネ越しに悪魔に侮蔑的な視線を与えている。#kslst

2017-01-23 22:45:15
@hiiragi_r_t_d

このクソ悪魔め!許せないぜ! #kslst

2017-01-23 22:46:16
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

つめたい石作りの床に座り、少女は言った。「ほう、どうやって遊ぶんだ?腸で縄跳びか?目玉でお手玉か?それとも、その粗末な性器で欲望を発散するのか?興味深いな」もちろん、悪魔は怒った。「てめえ、死にてえのか?」「私を殺せるのか?この、メイ・スチュアートを?お前が?」 #kslst

2017-01-23 22:47:37
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

悪魔は牢屋の鍵を開けて叫んだ。「もう我慢ならねえ。殺ってやる!お前をファックしながら首を絞めて殺す!」「ハッ」少女は鼻で笑った。「確かお前のボスは、私を殺すな。と言ってたはずだが?人質にするんだってな?残念だ。お前のさぞかし粗末なモノを実際に見て、笑ってやれない」 #kslst

2017-01-23 22:50:38
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

「うるせえ!どうでもいい!命令なんてクソ喰らえだ!今からお前を殺す!顔が歪むまで殴って殺す!」「センスがないな。女には優しくしろ、と親から教わらなかったか?」銃声と共に、悪魔は倒れた。そして、その背後から自動拳銃『タロ・ピストル』を持ったコセン・ニンジャが現れた。 #kslst

2017-01-23 22:53:28
こっぺぱん @tk4624panzar

やはりこのピストル…なにがあったのか #kslst

2017-01-23 22:54:25
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

コセン・ニンジャは、牢屋を開けて中に入った。「全く、俺より背の低い女のお守りをすることになるとはな」それから、少女に手を差し出した。「俺はコセン・ニンジャだ。あんたを助けに来た」「ふん、チビのガキに心配されるほどじゃない」少女はその手を払いのけて、立ち上がった。 #kslst

2017-01-23 22:56:36
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

コセン・ニンジャは溜息をついた。「このクソガキ…」「ホムンクルスをよこすとは、協会も金が無いんだな」少女は言った。「その目、その髪、色素が抜けてる。あと一年以内にお前は死ぬぞ」コセン・ニンジャは黄緑の目を見開いた。「よく分かったな。確かに、俺はあと何ヶ月ももたない」 #kslst

2017-01-23 23:02:54
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

少女は白衣のホコリを払い、裾でメガネの曇りを取り除いた。「わかるさ。これでも主席だったんだ。紹介が遅れた。私はメイ・スチュアート。職業は教授で、専門は魔術工学だ。よろしくな、チビガキ」「俺も紹介が遅れた。名前はファッキュ・クソガキ。職業は背の低い女に唾を吐く仕事だ」#kslst

2017-01-23 23:07:48
こっぺぱん @tk4624panzar

強いホムンクルスってなんか良いな… 後、技術的に魔術協会結構すごそう #kslst

2017-01-23 23:11:21
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

ジトっとした目でコセン・ニンジャを睨んで、スチュアート教授は言った。「まあいい。とりあえず、私のMAWCを取ってくれないか?」「MAWC?」スチュアート教授が指差した先には、看守が使っていた机があり、その上には腕時計めいたコンピュータが置かれていた。 #kslst

2017-01-23 23:11:25
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

「あれか?」「そうだ。大切に扱えよ。私のすべての技術を注ぎ込んだ傑作だ」コセン・ニンジャはそれを取って、スチュアート教授の腕につけようとした。「やめろ低身長。自分でつける」「手が震えてるぜ。よほど怖い思いをしたようだな」スチュアート教授は黙り込んだ。 #kslst

2017-01-23 23:13:40