小林秀雄『ドストエフスキイの生活』読書メモ集

小林秀雄『ドストエフスキイの生活』(新潮文庫、1964年)の読書メモをまとめました。初版は創元社、1939年。
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荒木優太 @arishima_takeo

歴史は決して繰返しはしない。ただどうにかして歴史から科学を作り上げようとする人間の一種の欲望が、歴史が繰返してくれたらどんなに好都合だろうかと望むに過ぎぬ。そして望むところを得たと信ずるのは人間の常である。by小林秀雄『ドストエフスキイの生活』

2017-02-10 16:36:26
荒木優太 @arishima_takeo

歴史は人類の巨大な恨みに似ている。もし同じ出来事が、再び繰返される様な事があったなら、僕等は、思い出という様な意味深長な言葉を、無論発明し損ねたであろう。by小林秀雄『ドストエフスキイの生活』

2017-02-10 16:39:38
荒木優太 @arishima_takeo

次の事はどんなに逆説めいて聞えようと真実である。偉大な思想ほど亡び易い、と。亡びないものが、どうして蘇生する事が出来るか。亜流思想は亡び易いのではない。それは生れ出もしないのである。by小林秀雄『ドストエフスキイの生活』

2017-02-10 16:43:02
荒木優太 @arishima_takeo

小林秀雄が『ドストエフスキイの生活』のなかでなんどか「メカニスム」って言葉使ってるけど、これは数年前にあった形式主義論のことを意識してるのだろうか。

2017-02-12 11:49:07
荒木優太 @arishima_takeo

反省は自己と信ずる姿を限りなく拵え上げ勝ちであるし、そういう姿を、或る事情なり条件なりに応じて都合よくあんばいする事は、どうしようもなく人を自己告白という空疎な自慰に誘う。ここに現れる心理上の自己欺瞞ほど近代文学を毒したものはあるまい。by小林秀雄『ドストエフスキイの生活』

2017-02-12 15:21:56
荒木優太 @arishima_takeo

憎悪は、感情のものというより寧ろ観念に属するものなのだ。おのずから発する憎悪の情という様なものはないので、一見そう見えるが、実は恐怖の上に織られた複雑な観念であるのが普通であり、意志や勇気や行動に欠けた弱者の言わば一種の固定観念なのである。by小林秀雄『ドストエフスキイの生活』

2017-02-12 15:24:57
荒木優太 @arishima_takeo

これ、すげーアランっぽいな。内容がっていうより、文体というか、語のチョイスとか論理展開の仕方が。

2017-02-12 15:26:13
荒木優太 @arishima_takeo

思想の世界で、本当の病人、思想の毒を呑み、しかも癒される事を欲しない病人は極めて少いが、夥しい藪医者達の論争は絶えないものだ。by小林秀雄『ドストエフスキイの生活』

2017-02-12 15:27:30
荒木優太 @arishima_takeo

小林秀雄『ドストエフスキイの生活』読了。序文は期待させるけど…って感じだった。本編よりも個別作品論の方が光ってると思う。処で昭和十年連載のようだが、同時期に横光利一が「純粋小説論」(に先行する悪霊論)でドストを高く評価してる筈だけど、どれくらい意識してたんだろうか。先行研究あり?

2017-02-12 15:31:19
荒木優太 @arishima_takeo

あとは、「シェストフ的不安」(三木清)をどう受容してたのか、という疑問。シェストフの参照はあるあるかもしれないが、当時ハマってた(らしい)パスカルは、どういう経路でたどり着いたのか。もしや『パスカルにおける人間の研究』なのか? この辺が気になった。

2017-02-12 15:37:09