カラドクバラの森

十年前の後始末に参りました。
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トト@TYA中邪 @glnewto

【後/戦闘/戦功5】トト@中立は十年前の戦争の結果発生した魔境を訪れた。調査に留めるならばHP-4、SP+5。全力で魔境を治めるならばHP-7、SP+12。支援を受けた場合被害を軽減できHP+4。 appli-maker.jp/analytic_apps/… #GC茶

2017-02-04 00:34:22
トト@TYA中邪 @glnewto

(2/4診断分) →【魔境を治める】 十年前。 彼が向かった先も、この辺りだと聞く。 ……同じ場所なのか。 だとして、十年も時を経た魔境にむざむざ踏み込むのは賢明ではない。 死にたがり願望はない。けれど。 「返して、頂きませんと」 もしも彼がそこにまだ何かを残しているならば。

2017-02-04 00:47:15
トト@TYA中邪 @glnewto

茨の茂る霧の森は生暖かく、腐臭がする。 ただ予想に反して、中の構造はシンプルだった。 魔物が沸く気配もなく、木々は老い枯れて葉もくすんでいる。 根底を断てば思いの外どうにかなるのでは? 軽々しく希望的な捉え方はしたくないが、そうも思えてくる。 靴底に枯葉を踏みしめて奥へ進む。

2017-02-04 02:21:55
トト@TYA中邪 @glnewto

「とんだ不敬者よ。のう、小娘」 強い香りが辺りに満ちる。満ちた香りが一時的に、草木を潤す。 彼女が、森の主人ということらしい。 確かに彼女にしてみれば私は小娘だろう。否定しない。 敬意を払うべき、畏怖すべき相手ですらあるだろう。 「不敬を承知で、お尋ねします」 頭を下げる前に。

2017-02-04 02:37:37
トト@TYA中邪 @glnewto

「その銀の。……飾りは、どちらで」 左肩でストールを留めている、葉脈を象ったブローチ。 虚をつかれたような顔をさらした後、主人は口元を釣り上げた。 「屍にひっついておったのを拾うたのじゃ。鴉にやるには惜しい品であろう」 吐き気が込み上げる。 「枯薔薇が、殊更霞んで見えるのでは」

2017-02-04 02:46:36
トト@TYA中邪 @glnewto

「……それ以上は、聞き捨てならぬぞ、小娘」 芳香が強まる。噎せ返る程になる。 「……品のない」 遠慮なく吐いて捨てた。 主人の背で、ばさりと羽音が響く。 吐き気を強める薔薇の香りが風と共に吹き付ける。 毒々しい色の蝶の羽が一際大きな風を起こした。 一々行動に無駄の多い。

2017-02-04 02:53:08
トト@TYA中邪 @glnewto

枯れたままの森だったならたじろいだかもしれない。 けれど、主人が息を吹き込んだこの場なら。 水がある。 貴女は自らの首を締めた。慢心して。 「私は貴女への不敬を謝罪しない。貴女は、それに値しない」 獰猛に笑う、仮面の剥がれた醜態を見た。 日傘を広げる。暴風を受けてふわりと浮く。

2017-02-04 03:08:58
トト@TYA中邪 @glnewto

綿毛のような状態だ。握り潰そうと主人は荊の蔦を伸ばす。 風の中を滑り躱すも、棘が衣服ごと薄い皮を裂いた。 主人の頭上で一筋、一文字に混沌をなぞる。 中空の平面に、湯気の立つ熱湯の膜が張る。 指を下へ一振り。熱の雨が主人を焼く。 叫びを上げる主人の動揺に呼応して、蔦が暴れ回る。

2017-02-04 03:18:51
トト@TYA中邪 @glnewto

暴れる荊に片腕を取られた。 後一手踏み込めればいいのに。 煩わしさに苛立って、乱暴にそれを引きちぎろうとした。 鋸に手首を削られるようだった。 歯をくいしばる。 構わずその手で傘を閉じ、自由なもう片腕で柄を握りしめる。 先端を主人の喉元目掛けて。 がむしゃらに突き立てた。

2017-02-04 03:25:26
トト@TYA中邪 @glnewto

枯れた木々が暴風に擦れ合う。そんな金切り声だった。 腕に巻き付いた荊が緩んでも、熱は消えなかった。 じくじくと手袋や袖が湿る。 無傷な手でブローチに触れる。 動かない主人の肩から、それを返して頂いた。 少し後悔する。 もう少し、ワラキアの魔法師様の動きを見て学んでおくんだった。

2017-02-04 03:31:19
トト@TYA中邪 @glnewto

多少の無茶ができたのは。 苔むした石に腰掛けて、ティーカップを取り出す。 その上に薬草の葉を翳し、表面を指でなぞる。 いつもより緑色の深いお茶は、大分苦い味がした。 あの子を心配させた分だろうか。 舌が少しチリついたような。 ……戻ったらいい加減、着替えを見繕わなければ。

2017-02-04 03:37:51