悠久なる世界の欠片 第二部

エクスとメルフィアの物語。 不定期 & 虫食い 連載
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目次と設定

まとめ 悠久なる世界の欠片 目次&設定 「タイトル未定の物語」から、正式タイトルへ改題。 同時に、長くなってきたので第×部ごとに分割。 物語のあっちこっちを飛び飛びに呟くごとに更新。 更新は不定期。 ゆえに、不定期連載にして虫食い連載 なのは相変わらず。 3639 pv 59

第二部

第二部第一話 より ~寄り道~

夢乃 @iamdreamers

陽が高くなってきた。 「そろそろ昼食にするか?今ならまだ店も込んでいないだろうし」 「そうだなぁ。夜までには次の街に着きたいしな。朝飯も早かったし」 少し前に街に入った二人は、そんなことを話しながら街路を歩いていた。 #twnovels

2015-02-11 18:55:50
夢乃 @iamdreamers

突然、二人の前に停車していた馬車の、道側の扉が勢いよく開くと、中から一人の少女が飛び降りた。両手を手枷に拘束されている。勢い余ってそのまま道に転ぶ。 「痛っ」 けれどなんとか立ち上がり辺りを見回すと、その視線の先に二人の姿を捉えた。 #twnovels

2015-02-11 18:56:18
夢乃 @iamdreamers

少女は二人に向かって駆けてき、二人の前に立ち止ると 「お願い!助けて」 と懇願した。そう言われても事情も何も知らない二人は戸惑うしかない。 「いったい何があったのですか?」 クラシスが妙に丁寧に少女に尋ねた。 #twnovels

2015-02-11 18:56:36
夢乃 @iamdreamers

「そんなこといいから!」 その時、馬車が前に停まっていた店の扉が開いて、二人の男女が出てきた。二人とも、特に男のほうは見るからに柄が悪い。 「っ!」 扉の音に振り返って店から出てきた二人を認めると、少女は素早くクラシスの背に隠れた。 #twnovels

2015-02-11 18:56:55
夢乃 @iamdreamers

二人は何か言葉を交わしながら馬車に近寄り、男は御者台へ女は扉を開けて馬車に入ろうとした。 「ちょっと!娘がいないよ!」 「何だと!鍵をかけておかなかったのか!」 「かけたよ!ボロだから無理矢理壊しちまったんだ!」 「くそ、どこいった!」 #twnovels

2015-02-11 18:57:30
夢乃 @iamdreamers

二人は周りを見回し、そしてそれほど離れていないところにいたクラシスとエクス、それに少女に気付いた。 「・・・ここはやっぱり、この子を助けるべきかな」 「まぁ、そんな感じだね」 少女を背に小声で話していると、柄の悪い男女は三人の前まで近寄ってきた。 #twnovels

2015-02-11 18:57:53
夢乃 @iamdreamers

「その娘をこっちに渡しな」 男の方が予想どおりの言葉を吐いた。 「今この子に助けを求められたばかりなんでね。か弱い女性の頼みは断れなくてね」 「そっちがその気なら力ずくで渡してもらう。怪我しても自分を恨めよ」 二人は短剣を取り出し、構えた。 #twnovels

2015-02-11 18:58:20
夢乃 @iamdreamers

「!」 少女がクラシスの後ろで身を縮めた。 「ふぅ」 クラシスは小さく溜息を吐くと、エクスに言った。 「エクス、この二人、お前一人で片付けてみろ。剣は使うなよ。使うのは短剣だけだ」 「は、この程度なら短剣も要らないよ」 #twnovels

2015-02-11 18:58:44
夢乃 @iamdreamers

この言葉で二人は頭に血が上ったようだ。 「後悔はあの世でしろよ!」 男がエクスにむかって短剣を振り下ろす。エクスはその短剣を難なくかわして男の懐に飛び込むと、左手で手刀を作り男の右手を強打し同時に右手を拳に固めて男の鳩尾に力一杯叩き込んだ。 #twnovels

2015-02-11 18:59:04
夢乃 @iamdreamers

「うぐっ」 男は短剣を取り落とし、地面に倒れ落ちた。エクスは男の陰から素早く飛び出すと、女のほうの背に回りこんで右手を捕らえ、そのまま背中にねじ上げた。 「あう」 女は短剣を取り落として喚いた。 「痛いじゃない、離しなさいよ!」 #twnovels

2015-02-11 18:59:33
夢乃 @iamdreamers

やれやれ、という感じで、エクスは女を前に突き飛ばした。女は地面に倒れこむと、後ろを振り向いてエクスを睨んだ。エクスはそんな視線など毛ほどにも感じないように女に言った。 「懲りたら、その男を連れてさっさと立ち去るんだな」 #twnovels

2015-02-11 18:59:57
夢乃 @iamdreamers

「・・・そうもいかないのよっ」 女は、ちょうど目の前に落ちていた男の短剣を掴んで立ち上がると、エクスに突きかかってきた。エクスは素早く横に動いてその突きをかわして足を出す。女はエクスの足に引っかかってたたらを踏んだ。 #twnovels

2015-02-11 19:00:21
夢乃 @iamdreamers

そこへさらに、両手を組んだ拳を女の後頭部に叩きつけた。女は声もなく道に崩れ落ちた。 「・・・ったく、口ほどにもない」 戦いとも言えない戦いが始まってから、20ミテンも経っていなかった。 #twnovels

2015-02-11 19:00:43
夢乃 @iamdreamers

クラシスの後ろからこの様子を見ていた少女はちょっと感心した様子で言葉を出した。 「へぇ・・・私と対して違わないくらいなのに、強いのね・・・」 「さて、今度はお嬢さんですよ。両手を前に出して、目を閉じていてください」 #twnovels

2015-02-11 19:01:08
夢乃 @iamdreamers

「え?」 「その手枷をなんとかしないといけないでしょう?」 「あぁ、うん」 言われるままに少女は木でできた枷をはめられた両手を前に突き出し、目を閉じた。 「はっ」 気合と共にクラシスの左腰の長剣が一閃したとき、少女を縛るものはなくなっていた。 #twnovels

2015-02-11 19:01:39
夢乃 @iamdreamers

「・・・二人とも凄いのね」 少女は感心するように言った。 「さて、それでお嬢さん、どうしたのですか?状況から見ると、あの二人に攫われたようですが」 クラシスは、エクスにあっけなく倒された二人を見やって聞いた。 #twnovels

2015-11-03 14:58:31
夢乃 @iamdreamers

少女は暫く目を宙に漂わせて躊躇った後、クラシスの目を真直ぐに見て言った。 「お願いがあるんだけど。私を家まで連れて行って」 クラシスは少女の目をまじまじと見た。 #twnovels

2015-11-03 14:58:49
夢乃 @iamdreamers

「・・・それなら、衛兵に頼んだ方が良いですよ。どこの誰とも判らない私たちでなく。何なら、詰所まで案内しますよ」 「詰所がどこにあるのか判ってんのかよ」 エクスがクラシスの言葉に突っ込んだ。 「ああ、そうか。俺たちも来たばっかりだ」 #twnovels

2015-11-03 14:59:12
夢乃 @iamdreamers

クラシスは頭を掻いた。「でも、街の人に聞けばすぐ判るだろ。それで、どうですか」少女に向き直って言葉を継いだ。「詰所を探しますから、後は衛兵に頼っては」少女は激しく頭を振った。 #twnovels

2015-11-03 14:59:41
夢乃 @iamdreamers

「衛兵なんて当てにならないわよ。屋敷だって何人もの衛兵に守られてたのにあの二人の侵入を許したし、私を攫われるし。あの二人から私を守ってくれたあなたたちの方がずっと信頼に足るわよ」 「そうは言ってもですね」 クラシスは困ったように言った。 #twnovels

2015-11-03 15:00:10
夢乃 @iamdreamers

「見ず知らずの人をそんな簡単に信頼してどうするんですか。私たちがあいつらとグルであなたを安心させて改めて攫う手筈だったらどうするんですか」 「本当にグルならそんなこと言わないでしょう?それだけでも信用できるわよ。それに見ず知らずなら衛兵も同じでしょ」 #twnovels

2015-11-03 15:00:39
夢乃 @iamdreamers

「見ず知らずったって、衛兵はそれも仕事のうちでしょう」クラシスは困ったように天を仰いだ。その後ろではエクスが(面倒なことになりそうだ)という顔で二人のやり取りを見ていた。 #twnovels

2015-11-03 15:01:13

第二部第一話 より ~決闘~

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