悠久なる世界の欠片 第二部
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少女は少し考えた。 「それじゃ、1ミックくらい、その辺を回ってからまた来ます。私が来たことだけ伝えておいてください」 「解りました」 少年は胸ポケットからメモと筆記具を取り出すと何か書き込んだ。 「それじゃ、ひとまず失礼します」 #twnovels
2016-08-08 11:32:34その間に、少女はお辞儀をすると扉から出て行った。 「あ、ちょっと、名前は・・・ま、いっか。また来るって言ってたし。女の子が来たって言えば解るだろ」 少年は頭を掻くと、あまり考えずに内側の扉の中に入った。 #twnovels
2016-08-08 11:33:10第二部第四話より
「お前、どうやってここに入った?」 部屋に入ってきた人物は開口一番そう口をきった。多分、この塔の結界を張った魔術師だろう。 #twnovels
2014-08-04 12:03:22「こんな結界、私にはないも同じよ。娘は返してもらうわ」 その手に抱えた赤ん坊を二度と囚われてたまるものか、という思いも顕に、メルフィアは相手を睨んだ。 #twnovels
2014-08-04 12:03:44「穴も閉じた。それに、ここに来る途中で国境警備軍に通報してきたから、もうすぐに軍の一個大隊もくるでしょう。あなたたちが何をしていようとしていたか知らないけれど、もう何をやっても無駄よ」 その言葉を聞いた魔術師からはしかし、敵意も怒りも感じられなかった。 #twnovels
2014-08-04 12:04:11「すでに我らの計画は瓦解した。お前がどうやったのか知らないが、《神》に暴れられては、もう我が組織はおしまいだ」 「何?《神》?どういうこと?」 杖は手元にある。何のことだ?エクスが何かやったのだろうか。 #twnovels
2014-08-04 12:04:40その様子を見て魔術師は言った。 「外で暴れている龍はお前が仕組んだのじゃないのか?外では何頭もの龍が暴れている。考えにくいが、おそらく《神》だろう。街はもう半壊状態だ」 その言葉を聞いた直後、メルフィアはその部屋から消えていた。何の前触れも無く。 #twnovels
2014-08-04 12:05:24「・・・どうやった。見たところ、たかだか二級魔術師程度の魔力しか持っていないようなのに、一級魔術師たる我が結界をものともしないとは。まあ、いい。今はここから撤退するほうが先だ。残っている兵だけでも脱出させなければ」 #twnovels
2014-08-04 12:05:46眼下には塔の中で聞いたことが繰り広げられている。巨大な赤黒く透き通った六頭の龍が暴れまわり、兵士を薙ぎ払っている。いや、龍は六頭ではない。元は一つにまとまっているように見える。六ツ首の龍。 #twnovels
2014-08-04 12:07:16今までに見たことのない、レクリウスの剣の形の一つだろうか。けれど、龍を見たときに思わずそれをエクスかと思った。おそらくあれは剣の一つの形でなく、《神》でもなく、エクスの魂だろう。メルフィアは自分のその直感を信じた。 #twnovels
2014-08-04 12:07:45しかし、いくらメルフィアよりも大きな魔力を持っているとはいえ、魂がそれほど大きいとは考えられない。あれがエクスの魂としても剣の影響を受けているのは間違いない。しかも、逃げる兵士や建物も無差別に襲い掛かる動き、正気を失っているとしか考えられない。 #twnovels
2014-08-04 12:08:10あの龍の群れを掻い潜ってエクスに近付くのは至難の業だ。かといって、このまま暴れさせたらエクスの体が心配だ。せめて龍の動きを封じなければ。 メルフィアは自分の杖を前に差し出すと、杖に命じた。 「姿を現して!」 #twnovels
2014-08-04 12:08:36瞬間、杖はメルフィアの手を離れ、青白く透き通る巨大な龍に姿を変えた。その龍に重ねて要求する。 「お願い、あの六ツ首の龍の動きを抑えて」 青白い龍は首を巡らし、その方角へ向かおうとする。 #twnovels
2014-08-04 12:09:50「ちょっと待って!動きを止めるだけだからね!少しでも傷つけたりしたら、許さないから!」 龍はその言葉を聴く一瞬そこに留まったあと、赤黒い龍に向けて飛び去った。 #twnovels
2014-08-04 12:10:16今のうちにエクスのいる場所を特定しておかなければ。メルフィアは精神を集中し、魔力の手を伸ばした。あの、赤黒い龍の尾の先あたりにいるはず。 #twnovels
2014-08-04 12:10:44