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76. もはやほんまに俺のこと好きなんかどうかすらよくわからんくなってきた俺にとって、第三者からのその意見がどれだけ重大か。 とりあえず、これ以上他の社員にバレへんように俺からのチラ見は抑えなな… ***
2016-06-19 21:57:38![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
77. *** 「ヨコー、1本ちょうだーい」 「お前禁煙してんちゃうの」 「あー、明日からや明日から」 「OLのダイエットやないか」 喫煙所で休憩してたら、村上がガサツに入ってきた。 「今日メシ行かへん?」 「おん、ええけど…お前と2人で?」
2016-06-19 21:57:45![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
78. 「なわけないやんか。適当に空いてるやつ集めといて、こっちも何人か声かけとくし」 「わかった」 「ぷはー!仕事頑張った後の1本は沁みるわぁ…ってお前何やっとんの」 「何って、」 スーツに消臭スプレーかけてるだけやけど。 「自分の臭い気にする喫煙者がどこおんねん」
2016-06-19 21:57:51![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
79. 「何ぃ、女でもできたんか」 「でっ…きてへんし!」 「ほーん」 ちらりと俺に視線を寄越したゴリラは、庶務の女の子と違って鈍感力が強いんか、大して興味なさげに視線を煙に戻した。
2016-06-19 21:57:59![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
80. 何となく、やけど。 タバコとか嫌いなんちゃうかなーって思って。 実はこれでも本数減らしてたりする。 村上より俺のが先に禁煙成功するんちゃうか。 彼女にはタバコ吸ってることすら隠してるし。 あー、何か俺あっちにもこっちにも隠し事ばっかりやなぁ… ***
2016-06-19 21:58:04![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
81. *** 「横山さん、次何飲まれます?」 「え?あー、じゃあえっと…ハイボールもらおかな」 「承知しました」 "適当に空いてるやつ"を集めたら、意外と大所帯になってしまった村上発案の食事会。 そのメンバーには彼女もいて。 「村上課長は何になさいますか?」
2016-06-26 23:08:47![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
82. 「おー、じゃあ俺焼酎頼むわぁ」 「芋のロックでよろしいですか?」 「せやな、自分よぉわかってるやん!さすが俺の弟子や!」 「ありがとうございます」 何をデレデレしとんねん村上。 いつあいつがお前に弟子入りしてん。 てか、あいつもあいつや。
2016-06-26 23:08:54![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
83. 村上の注文は芋とかロックとか色々わかっとるくせに、俺には何飲まれますかーって。 俺いっつもビール2杯飲んだらハイボールやん。 お前彼女やん。それぐらいわか… …るはずないか。 車乗らな行かれへんような店ばっかり行くから、あいつと酒飲む機会なんかなかったもんな。
2016-06-26 23:09:02![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
84. …酒、強いんかな。 ビール党のオッサン達にお酌して回って、お返しに注がれたビールを顔色一つ変えずに飲み干す。 しかしお偉いどころがぎょーさん来とるなぁ。村上何者やあいつ。 こんな飲み会、酔えるわけないやんか。 「うぉーい、ヨコ全然飲んでへんやん!」
2016-06-26 23:09:07![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
85. 「お前飲みすぎやろ」 さっき焼酎ロック来たとこちゃうんかい。 噂をすれば村上が、ご機嫌に焼酎のグラス片手に近づいてくると俺の隣に座りやがった。 「すんませーん、ハイボールもう1杯!」 「お前口ん中めちゃくちゃやんけ」 「ちゃうやん、お前のんや」
2016-06-26 23:09:13![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
86. 「俺まだ二口ぐらいしか飲んでへん」 「ほな次が来るまでに飲んだらええやん」 うわー… めんどくさぁ… 誰かに助けを求めようにも、みんなそれぞれ盛り上がっとって誰もこっちなんか見てへん。 見たところで、腐れ縁の同期がじゃれてるようにしか見えへんやろうし。
2016-06-26 23:09:19![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
87. 「ほれヨコ、来たで!早よ飲まんかい」 「お前これアルハラやからな」 同期で部署違いとはいえ、こいつは課長。一応上司やから言う通りに飲むけど。 あー、何かわからんけど楽しなってきた。 これあかんやつや。 「すんませーん、こいつにハイボールもう1杯!」 おい村上。
2016-06-26 23:09:24![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
88. *** 「ヨコー、二次会行くでー!」 「…行かへん」 しんどい。 まだ飲む気なんかこのゴリラ。 バケモンやな。 「お前に拒否権はないねん。なぁ?言うたってぇや**」 「!?」 え? 今こいつ、下の名前で呼んだ? 俺の彼女を?
2016-06-26 23:09:30![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
89. や、こいつは彼女って知らんのやけど。 「よこぁまさん、行かないんですかぁ…?」 名前で呼ばれた彼女は顔色もいつも通りやし、しっかり自分で立っとる。 ぱっと見、酔うてる風には見えへんけど。 「お前、酔うとんな」 「へ?だいじょぶですけど…」
2016-06-26 23:09:36![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
90. 微妙に喋り方おかしなっとんねん。 大丈夫ちゃうやろ。 「ええから、帰んで」 「だぁめですよ、よこぁまさんも行くんです二次会」 手を引こうと掴んだ腕を逆に掴み返されて、思いっきり引っ張られた。 「ぅおっ!」 力強っ!
2016-06-26 23:09:45![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
91. てか、酔っ払いが酔っ払い引っ張るってあかんやろ。 でも、少し前を歩く彼女が握る俺の手首からじんわりと体温が伝わって。 危ないってわかってても、その手を振り払う気にはなれへんかった。 ***
2016-06-26 23:09:50![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
92. *** 「てかさぁ、最近**ちゃん綺麗になったやんなぁ?」 お偉いさん方とは一次会で解散して二次会は若手だけ。 さっきよりずっとくだけた空気の中、自然とみんな口数が多くなる。 そんな中、彼女と同じ経理課の大倉が口を開いた。 「そうですか?ありがとうございます」
2016-06-27 23:15:04![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
93. 満更でもない顔して、やたら距離の近い大倉に注がれた酒を美味そうに飲み干す。 「お、ええ飲みっぷり♡ここはお兄さん達の奢りやから好きなだけ飲んで食べや?」 わかりやすくデレデレしとる大倉がまた彼女のグラスに酒を注ぎ足す。 「何何ぃ、恋でもしとんのぉ?」
2016-06-27 23:15:14![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
94. 今度は俺と同じ営業部のマルが面白そうに食いつく。 「こい…」 その言葉に顔を赤らめて、それを誤魔化すみたいにまた酒を飲む。 「うわ、その反応はしてんねや!♡ええなー、どんな奴?」 大倉も乗ってきた。 あかん、こいつら揃ったらほぼOLやんか。 「えーとぉ…」
2016-06-27 23:15:23![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
95. あいつ酔うてるから言うてまうんちゃうか。 そう思ったけど、よく考えたら隠したがってたんはあいつの方であって俺としては言われても全然問題ない。 むしろ言うてくれ。 そんな思いで、特に聞いてないフリをしながらちらりとそちらを伺う。 「…内緒です」
2016-06-27 23:15:32![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
96. 「うわー!何それめっちゃ気になるー!」 言わんのかーい。 まあええか。 隣で繰り広げられる村上の熱い仕事論に適当に相槌を打ちながら、意識はまだ隣のテーブルの男2人と女1人のガールズトーク。 「じゃあさ、彼氏の好きなとこ言うて!3つ!」 「へっ、」
2016-06-27 23:15:38![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
97. マル。 俺、お前のこといっつも空気読めへんとかアホとか散々言うてきたけどそれ今改めるわ。 お前ホンマは出来る奴や。実は前からそう思ててん。 何杯目かわからんハイボールを流し込みながら、全力で部下を褒め称える。心の中で。 「…あ」 「え?」 「や、何でもない」
2016-06-27 23:15:45![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
98. 思わず独り言が出て、気持ちよく熱弁ふるっとった村上が怪訝そうな顔をする。 (俺のどこが好きなん?) (手、ですかね) テーブルの上に置いていた手を、何となく掘りごたつの下に隠した。 いや、別に特に深い意味はないねんけど。
2016-06-27 23:15:56![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
99. 「ほーら、あと10秒で最初の1個な!じゅーう、きゅーう…」 悪ノリが始まった男OLに囲まれて、頭を抱えた彼女が涙目になる。 あかん、可愛い。 村上の話全っ然入ってこーへん。 まあ100回ぐらい聞いたことある話やから全く問題ないけど。
2016-06-27 23:16:01![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
100. 「あーーー!わかりました!じゃあ最初は…手です」 「「てぇ?」」 うわ。 ほんまに言いおった。 ぽかんとする2人を余所に、当の彼女は暑い暑いとつぶやきながら手で顔をぱたぱたと仰いどる。 「手、好きなんです」 「手フェチなん?女の子って多いよなぁ」
2016-06-27 23:16:08