- yamigitune9
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昼頃に起きた時、玄関に買った覚えのないスーパーの袋が置かれていた。 買った覚えのないものであり、そして比較的貧しい私に取って ある程度の嗜好品であり、2週間は買い出しに行かなくてもいい程の物量だった。
2017-03-05 01:30:07そこへインターフォンが鳴る…… 画面に母と姉が映っていた。 買った覚えのないスーパーの袋だけでも大きな違和感があって恐怖したのに、あの2人がずこずこと部屋へ向かってきていることで私は戸惑っていた。
2017-03-05 01:30:16ーーならば、この食料を買ったのは自分ではないーー 大きなスーパーの袋を調べると、3つ折りにされた紙の束、玄関のポストに茶封筒が挟まっていた。
2017-03-05 01:30:28そうだ。 定かではないが、私は数日前にこれと似た手紙が届いたはず。 あまりにも図々しくて馬鹿馬鹿しい一方的な家族保護の申請……、私はぐだらない、こんなシステムがあるはずが無いと考えて、手紙を破棄したのを思い出した
2017-03-05 01:30:43そして……夢でも見ているのだろうか。 スーパーの袋の近くでしゃがむ私は、スローモーに開かれる二十鍵の玄関の扉を注視せざるを得なかった。 そして恐れる姉と母がこちらを見て笑っていた。
2017-03-05 01:30:582人はこちらを見て久しぶりと言うとスーパーの袋を持ち、ずかずかと私を通り過ぎて部屋へ入っていく この2人と同じ空間にいる事がこの上なく苦痛である 同時に、あのスーパーの袋をあたかも自分の物であるかのような……、つまりは私が寝ている間に既に買い物を済ましていたという事になるはずだ。
2017-03-05 01:31:16そして脳裏に過ぎる……たしか要家族保護のシステムには、保護する者が2万円程の保護受諾金を払うシステムになっていたはずだ。 あるいは、母から2万円を要求されていたはず。 後者の場合、母側の方が保護申請資金が足りないということになる
2017-03-05 01:31:25しかし、一時的支援金が支払われていることはこの食料の多さが証明している。 そして私はこの2人にも生活福祉の人間にも、要保護申請に関する金を払った覚えは無く、払うつもりもない。
2017-03-05 01:31:35つまり一時的支援金が確定した時点で、私は踏み絵を強いられているようなものなのだ。 家族を保護する事を断り養わなければ、その時点で晒しの対象となる。
2017-03-05 01:31:44今までの生活福祉課が負った生活保護者への恨みと、その福祉課並びに高齢者支援機関のトップに立った高齢者による理不尽な支援システム……それが身内の血筋の中で最も若い者に負担を押し付ける仕組み、要保護申請だった。
2017-03-05 01:31:53それは並びに、特に可笑しいのが一時的支援金である。 このお金は政府からの自立目的の支援金と称されているが、その条件は保護する内縁者への要保護申請の通知を送ることである。 通知を送るだけであり、送られた者の意思に関係なく一時的支援金が要請者に支払われるのだ。
2017-03-05 01:32:00そして母と姉は私の部屋でふんぞり返って寛いでいる。 まだ一緒に過ごしていた数10年前は、2人はかなりの肥満であった。 が、目の前に居る2人は顔は老けて入れど体の脂肪が不自然に減って腰周りにクビレができている。
2017-03-05 01:32:08私は母と姉に話しかけられた内容をよく覚えておらず、ただただ怒りとトラウマの渦の中で正常であろうと努めた。 いっそ犯罪者になってもいい。 包丁で肉塊にしてしまえばいいのだーー
2017-03-05 01:32:19「ーー〇〇。どうか、あの馬鹿野郎娘と君の姉を見てやってはくれないか。」 私の爺に言われた言葉を思い出し、不自然に構え損ねた右肩を元に戻した。 だが、その時の爺の顔はよく覚えている。 いつもののんびりとだらけた顔ではなく、どこか私を食い物にするような……予感、察知、警戒。
2017-03-05 01:32:27考えている間、私は母と姉に連れられて車の中に入ったが、俺はいいと言って加速をはじめた車から降りた。 卑しいような聞きたくもないような言葉が聞こえた……
2017-03-05 01:32:37逃げ出す子は追いかけて欲しいものです…… そんな言葉は比較的健全なものに対してしか適用されない。 私にとってこれは悪夢なのだ。心を蝕む殺人鬼なのだ。
2017-03-05 01:32:45私は気晴らしに電気街へ向かった。 その所で映画を見終わったであろう友人達と出会う。 少しの雑談の後、俺は自殺するかもしれない、死ぬかもしれないと弱言を漏らした。 友人達はよく聞いてくれた……が、友人達は余裕のある表情を浮かべて去っていった。
2017-03-05 01:32:54私はいつも友人達と遊ぶときのようにおしゃべりをはじめるが、はっきりと違和感を覚えられるような喋り方をした。 まるで罪を犯した時、大きな失敗をしたり恐喝された時のような奇妙なおどけさと共に私の意識は薄れていった。
2017-03-05 01:34:37