モンスターハンター２次創作　～吹雪の覇者～　-覇者へ至る道-　最終話　吹雪

クワトロゾンビ @QZombie

「誰に物言ってる。完璧に決まってるだろ。」 「そらそうだ。おう、御剣も使うぞ。」 「なっ！しかしお前・・・いや、使い時か。持っていきな！！」 「おう。」

クワトロゾンビ @QZombie

３日経った。 大長老は大老殿を離れ、ドンドルマの広場に居た。 ドンドルマには珍しく辺りは銀世界。雪の降る、寒い日だ。 「静かだ・・・クシャルダオラがすぐそばにいるとは思えん。完全に天候を掌握しているのだろう。 ハンターが挑んでいい相手なのだろうか・・・？」

クワトロゾンビ @QZombie

「いいに決まっているでしょう。」 「おお！ヴァルムか。用意は――できているようだな。」 「えぇ、派手にいかせてもらいます。」 銀世界のドンドルマは珍しい、大長老様が広場に居るのも珍しい。 んで、大長老様がこんな安心したような顔するのも珍しいな。

クワトロゾンビ @QZombie

今、城門の前にいる。 あの日と同じだ。 この城門が上がれば吹雪の覇者が待っている。 あの日と違うのは、オールパーフェクトコンビとリュシオルがいないことか。 それと、俺の手には輝きの御剣、暁丸。 ――さぁ、行こうか！！ 「門を上げろぉー！！」 ｵｫｰ! 遂に運命の開門だ。

クワトロゾンビ @QZombie

気負いも焦りもない。 血が沸騰していても頭は冷え切っている。 最高の状態だ。 あの時の状態そのままに、大広間まで歩を進める。 しんしんと雪が降っている。まるで何事もないように。

クワトロゾンビ @QZombie

俺が大広間に着いた瞬間、突風が吹き荒ぶ。 天候は打って変わって猛吹雪だ。 そして、吹雪を従える黒き風が来る。 ――強敵が、吹雪の覇者が音も無く舞い降りた。 改めて前に立ったが…ま、言葉は不要だ。そうだろ？ 俺と強敵が同時に構える。

クワトロゾンビ @QZombie

さぁやろうか！ ｷｼｬｱｱｱｱｱｱ!!! まずは挨拶代わりにブレスか。 「甘い！」 見え見えの軌道だ、回避をしながら射程距離まで近づく。 そら、撃ち終わりが隙だらけだ！ 「おらぁ！」 抜き打ちの抜刀――手応え、なし。 流石だよ、綺麗に回避してくれやがって。

クワトロゾンビ @QZombie

距離を置いてイーブンの状態。 チッ、お互いに様子見か。 ジリジリと旋回しながら間合いを詰める。 静寂が狩場を包む。 ﾌｯ―― こい！ ﾌﾞｫｵｵｵｵﾝ!! 今度こそ捉えた！！ 「おおお！！」 抜き打ちの一閃。 黒き風を切り払い、吹雪の覇者を地に叩き落す。 ｸﾞｷﾞｬｱ!?

クワトロゾンビ @QZombie

「まだまだぁ！」 強溜め切りと強溜めなぎ払い、まとめて持っていきなぁ！ 「おぉりゃあああ！！」 命中！ 「シィイイ・・・！」 どうだ――ッ！ 雪の結晶が、割れる音、風に砕かれる音。 あの時の音がこだまする。 残心から構えに戻ると同時に強敵が立ち上がる。

クワトロゾンビ @QZombie

嵐が、巻き起こる。 ｷｼｬｱｱｱｱｱｱ!!! 雪が舞きあげられて何もみえやしねえ。 ホワイトアウトだ、さしずめ白い闇ってところか。 やってくれる、どうしたもんか・・・。 ･･･ｫｵｵｵｵﾝ!! 死角から白い闇を黒き風が切り裂く！ 「ガッハァ！！」

クワトロゾンビ @QZombie

・・・チッ、ストラトスに感謝せにゃならんな。 暁丸じゃなきゃ即オネンネだった。 ﾊﾞｽｩｰﾝ!! 「っとぉ！！」 クソが！早速ブレスで追撃かよ！ すんでのところで回避が間に合ったからよかったものの・・・。 だが、またホワイトアウトを起こされると流石にあぶねぇな。

クワトロゾンビ @QZombie

ハッ、だったらこっちのフィールドに持って行くまで。 接近戦だこの野郎！！ 「おおお！！」 牽制のブレスが連打されるが、んな見え見えのが当たるかよ！ 「甘いんだよ！」 そら撃ち終わり、がら空きだ！ 「セイッ！」 命中！ ｷｼｬｱ!

クワトロゾンビ @QZombie

前脚の反撃はおり込み済みだよ、納刀しながら回避でフォローできる。 前脚が伸びきった、そこが隙になるんだよ。食らいなぁ！ ｶﾞｷｨｰﾝ! 「ぐ、ぬ！？」 頭突きだとぉ！？ チッ、鍔迫り合いになったか！ ﾌｯ 「っと！！」 急に頭を引いて飛翔。 やるじゃねえか、対策済みってワケかよ。

クワトロゾンビ @QZombie

ｷｼｬｱｱｱｱｱｱ!!! 再びホワイトアウト。 野郎、味を占めやがったな。 だが甘い、続けて同じ攻撃を繰り出すのは悪手なんだよ！ 目に頼るな、耳を澄まして集中しろ。 ･･･ｫｵｵｵｵﾝ!! そら！死角から音が聴こえてきた！！

クワトロゾンビ @QZombie

音と同時に回避！ 白い闇を黒き風が切り裂くが、不発だったなぁ！ ｸﾞﾙｩｳｳｳ･･･! これでタイミングは盗んだ。 次、突進なら間違いなく合わせられる。 ブレスも音で判断がつく。 「小細工なんざ通じねぇんだよ！そら行くぞぉ！！」 ｽｯ、ﾄﾞｺﾞｫｵｵ!!!

クワトロゾンビ @QZombie

チッ、あの時のでけぇ動く竜巻か！ だが、それだけなら――野郎、どこ行きやがった。 ｶｼﾝｯ 後ろ！？ ・・・一か八か、やるしかねぇか！！ ﾊﾞｽｩｰﾝ! 「おおお！！！」 ブレスも竜巻もまとめてなぎ払う！ 悪しき風を払う御剣だってんなら、やってみやがれぇ！！

クワトロゾンビ @QZombie

「くぉおおお、だらぁ！！」 間一髪、なんとかなりやがったか・・・！ 「シィイイイ・・・！」 ・・・おかしい。 残心の間も油断無く様子を伺っていたが、追撃がこねぇ。 ――強敵は、黙って俺を見ていた。 そして、一つ頷いた。 俺を、強敵として認めたかの様に。

クワトロゾンビ @QZombie

さぁて、こっからよ。 同時に構える。 行くぜおい！！ ｷｼｬｱｱｱｱ!!! 再び嵐が巻き起こる。 さぁて、ここからよ！ ﾌｯ ハン、まずは飛んで様子見か。 分かってる、お前が一番得意な技、風に乗っての滑空―― ｽﾞﾊﾞｧ!! ッ！？んだその速度は！！

クワトロゾンビ @QZombie

ｶｼﾝ、ｸﾞﾜｯ! 右か！頭を振りかぶって――間に合わん！防ぎきれぇ！！ ｶﾞｷｨｰﾝ! 「つぁああ！！」 クソが！ 野郎、ギアを上げやがったな。上等だ、かかってこい！ ﾌｯ、ｶｼﾝ・・・ｶｼﾝｯ! 速い・・・見えやしねぇ。 ハン、ステップでのシャッフルか。味なマネしやがるぜ！

クワトロゾンビ @QZombie

だがな、姿が目で追えなくても――音はある。 ｶｼﾝ 聴こえた、左だ！ ｸﾞﾜｯ、ｶﾞｷｨｰﾝ! 「おらぁ！！」

クワトロゾンビ @QZombie

再び鍔迫り合い。ミシミシ鳴っているのは奴の鱗か、俺の鎧か。 それとも・・・俺の体かも知れねぇな。 しかし野郎、力と圧のかけ方がさっきとダンチだ！ こっちも全力以上でやらねぇと押し負けるぞ・・・！！

クワトロゾンビ @QZombie

ｽｯ っとと！いきなり頭を引くとは、体制が・・・。 ｸﾞｫｯ! 引いただけじゃねえ、溜めてる！？やべぇ！ガードか？――否、切り落とす！ ﾄﾞｺﾞｫｵｵｵｵ!! 「ぬぉおおおお！？」 あ、あぶねぇ・・・なんとかなったか。

クワトロゾンビ @QZombie

ｸﾞｵｯ んな、竜巻を足場に全速で飛翔？ ｺﾞｫｵｵｵｵｵｵ!! あんな上空に行って・・・まさか！ ｷｨｲｲｲｲｲｲﾝ! 全力の体当たり！ ――黒き風が真白の天地を切り裂く。 それは、正に天地開闢にも似る光景だった。 奴は本気だ。これが吹雪の覇者の、全力全開か。

クワトロゾンビ @QZombie

何というか、正直逃げちまいたい。 だけどよ、だがよ、俺がやらなきゃ誰がやる！ 「くぉおおおお・・・！！」 お前が本気だっていうなら、こっちも本気だ。 最高の一閃で迎え撃つ！ 「こい！！」

クワトロゾンビ @QZombie

衝突―― 人々の祈りが鍛えた神剣と天地開闢の威風。 星の煌き、原初の風。 俺と強敵の意地が、ぶつかり合う。 瞬間、周りの景色がすっ飛んだ。 俺と強敵以外に何も無い、音すらも置き去りにした世界。 目の前に居る、吹雪の覇者のすべてが見える。 体の動き、息遣い、思考に至るまで。