モンスターハンター2次創作 ~吹雪の覇者~ -覇者へ至る道- 最終話 吹雪

新しいチラシの裏の最後
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クワトロゾンビ @QZombie

――そうか。 これが、強敵か。 見えて、理解したならやることは決まっている。 威風をいなして、お互いに距離を置く。 以心伝心のごとく、同時に構える。 「お前も、俺が見えているのか?」 問いかけるが、姿を消す。 そうかい・・・。

2017-03-10 22:17:00
クワトロゾンビ @QZombie

フッ・・・カシン、カシン! 今ならわかる。飛翔、ステップ、右に着地。 「あぁ、頭突きだよな。」 ガキィーン! いなして抜刀切りを叩き込む。 当然命中。そらそうだ、強敵は次の布石のために距離をつめたんだ。 今俺がいる場所に銀色の爪が飛んでこようとしている。

2017-03-10 22:17:22
クワトロゾンビ @QZombie

あぁ、そうだよな、回避しつつ納刀だ。 ――何なんだ・・・自分が何やってるのか考えが追いつかん。 頭だけ置き去りにして、体だけが、魂だけが先へ進む。 キシャアアアアアア!!! 咆哮と共に白い闇が周囲を覆いつくす。全方位が死角。 だが、大丈夫だ。もう、何も気にしなくていい。

2017-03-10 22:17:33
クワトロゾンビ @QZombie

バァーン!! 背後からのブレスを切り払う。 強敵の動きを、息遣いを感じる。 真上からの突進のために高く飛ぶ。 ・・・ィイイイイイン! そう、着地と同時に、白い闇も霧散する。 ゴォオオオン!! 束の間の晴れ模様だ。積もった雪も皆吹っ飛んだ。

2017-03-10 22:18:01
クワトロゾンビ @QZombie

「なあ、何でだ?」 俺は攻撃が来るよりも先に動いていた。 俺自身よくわからない。だが強敵はじっと俺を見つめていた。 「少しぐらい不思議そうな顔してくれよな。」 この狩りの結末がわかっているなら、どうして――

2017-03-10 22:18:12
クワトロゾンビ @QZombie

スッ、ドゴォオオオオオ!!! 動く竜巻か。もう、問題ない、切り伏せる。 グォッ ――分かっているのに、お前はどうして逃げないんだ。 ゴォオオオオオオオ!! 原初の風。 「終わりに、するんだな。」

2017-03-10 22:18:30
クワトロゾンビ @QZombie

正直泣けてくる。だがよ、寒くてな。 目元が凍って泣いてんだか、わかんねぇんだわ。 悪しき風を払う、輝きの御剣。 こいつの意味は、重みは、力は、今この瞬間のためにある。 キィイイイイイイイン!!!

2017-03-10 22:18:45
クワトロゾンビ @QZombie

吹雪の覇者の、天地開闢の風。 対するは、星の煌き。 結果はわかりきっている。 ただ、最高のタイミングで一閃をあわせてやればいいだけだ。 ――そこだ。

2017-03-10 22:18:55
クワトロゾンビ @QZombie

天地開闢の風の中を、星の煌きが駆け抜ける。 吹雪の覇者の渾身、自然の猛威を、人々の祈りが乗り越える。 ・・・友よ。 「なぜ俺たちは出会った!」 ――友よ。 「なぜ戦った!」 ――友よ! 「なぜ・・・」 究極を手にしたんだ。

2017-03-10 22:19:07
クワトロゾンビ @QZombie

星の輝きが振り抜かれた。 原初の風は払われ、空から光が差し込む。 雪の結晶が、割れる音、風に砕かれる音は、もう聴こえない。 頬に、一条の星が流れ落ちる。 「・・・やっぱ、泣いてたわ。」 討伐、完了。

2017-03-10 22:19:20
クワトロゾンビ @QZombie

━━酒場にて 「討伐が完了し、ヴァルムは歓喜に沸くドンドルマの街へと帰っていきました。」 「いやぁ!流石だよねぇちゃん!!最高に熱い狩りだったぜ!!」 「・・・おめぇよぉ、こんな泣ける話なのになんで、はしゃいでるんだよぉ。」

2017-03-10 22:19:41
クワトロゾンビ @QZombie

「あ!?お前こそなんで泣いてんだよ!?」 「・・・覇者だからだよぉ!」 やいのやいのと語り合う二人の狩人、その肩に手を回す者が一人。 「なんだかやけに盛り上がってるな。何の噺だ?」 「あん?!そりゃあもう聞くも語るも泣いて笑っての英雄譚よ!」 「おうよ!最後が泣けること…」

2017-03-10 22:19:56
クワトロゾンビ @QZombie

「おいおい、ばらさないでくれよ。なあ詩人さん、一丁謳ってくれないか?」 新たにやって来た狩人がテーブルに着く。 「もう一度となると・・・少し長くなりますが。」 「構わん構わん!もう一回一番最初から聞かせてくれ!」 「どうせ俺たち暇してるからよ!バーッと最初から語ってくれい!」

2017-03-10 22:20:12
クワトロゾンビ @QZombie

「やれ・・・それでは謳わせていただきましょう。」 これより謳うのは烈風を切り裂く者、嵐を超越する者、吹雪を蹂躙する鋼龍の覇者の物語━━ 吹雪の覇者前日譚 ‐覇者へ至る道‐完

2017-03-10 22:20:25