「今の君、醜いよ…………嫉妬は良くないって教わらなかったの?(にこり、と静かに笑んで)」 “っっ!!き、さま……っ!!(勢いに任せて刀を抜き)” 「桜の中にいたのに、桜のことなんにも分かってなかったんだもんね……そりゃ、知らないか」
2017-02-22 19:55:57“…………対を諦めた貴様に言われる筋合いはないっ!!” 「見たことのない対よりも……僕にとってはここにいるこの子ほうが大事なんだよ。 ……桜が路、咲く花弁……魂の意、秘めたり盃……溢る前に……」 “出来損ないの髭切は言うことが違うねぇ……”
2017-02-22 20:02:32「……そう、僕は出来損ないさ。強くもないし、頭だって回らない……記憶すら曖昧ながらんどう。 写し身の夢、醒めぬを祈り……貫く鈍を……望むは……始(一瞬、辛そうに唇を噛んで)」 “…………そのがらんどうの髭切が僕に勝てるのかい?1度、君は負けていたと思ったけど?”
2017-02-22 20:07:51「ふふ、勝てる勝てないじゃない……君にだけは負けられないんだよ…………『鬼』にだけはさ! 出ずる鬼、遠き……意は全の壊。閉じし魂、ひらくは弐……」 “ひとを鬼、鬼、鬼ってさぁ……本当に腹立たしいよ、君(正面に刀を構え)”
2017-02-22 20:11:58「…………弟御、弑し弑し認む弟。伸ばす指かかる呪の理が業……(同じように刀を抜いて構え)」 “っ!?(がくん、と不意に膝が落ち)ねぇ、それなに……力が上手く扱えないんだけど……!?” 「桜がくれたおまじないだよ…………本当に、桜の何を見ていたんだい(悲しそうに相手を見やり)」
2017-02-22 20:18:00“ま、さか……それが呪歌……?あの部屋のどこにもなかったのに……あぁ!忌々しい!!またその歌で僕を抑え込むのかっ!!” 「抑え込む……?ううん、違うよ。僕は君を……(短い間、瞼を伏せ) 辿る願い……業、害しは光……真白が秘めし想いが……」
2017-02-22 20:22:15“くそっ!!終わらせない……!終わらせなんかしないっ!!(ぐっと足に力を入れて立ち上がり)僕は僕の夢を叶えるんだ!誰にも邪魔させない!!(ぶわり、赤黒い靄が鬼の姿を包み)僕はっ!!僕の弟に……!あの子に……!!逢うんだぁ……!!!(髭切に向かい駆け出し)”
2017-02-22 20:27:37「がらんどうの僕を受け入れてくれた弟がいる……僕を心配してくれるひとがいる……僕を認めてくれているひとがいる……!僕を……!僕を信じてくれた『髭切』がいる!!だから、僕は弱いままではいられないんだ……!!」
2017-02-22 20:32:03「……繋ぎし縁、我が身が断つは不浄の鬼!我が心が願うは始と弟……共にある未来……!! (呼吸を整えると最後の一節を朗々と歌い上げ、向かってくる鬼に見据え) やあやあ我こそは!源氏の重宝、髭切なりっ!!」
2017-02-22 20:37:15「……………………そうだとしても、僕は…………やっぱり君を斬りたくなんか……なかったよ…………(相手の胸を貫いた自身の鈍色を引き抜くと、力を失い倒れてくる体を甘んじて受け入れ抱き止め)」 “…………は、はは……何を、いまさら……き、みの……博愛、主義には……反吐がでる……”
2017-02-22 20:50:22「酷いなぁ……君も僕なのに」 “い、やなことを……いうな……っ!…………あぁ、でも…………ふ、はははっ……なんだか、からだが……楽だなぁ……” あ……にじゃっ……!! “(膝丸の声に重たげに顔を向け)…………なん、で……なく、の……うそつきの……くせに…………はは、ほんと……”
2017-02-22 20:54:59あにじゃ……いやだ…………貴方だって、俺のっ……!! “………………おまえの、その……なきがおだけは…………すきだったな……(がしゃん、とその手から刀が滑り落ちた)” 兄者ぁっ!!(引きつれた叫びが室内に響き)
2017-02-22 21:00:34「ごめんね…………ぼ、く…………っ!(不意に髭切の手からも刀が床へと落ち、鬼共々倒れ込みそうになり)」 あ、兄者っ!?(突然の事態に慌てた声をあげ)
2017-02-22 21:02:52…………な、あ、あにじゃ、の、しきっ!?いや、だが……あれは……童の姿を……!?(二振りの髭切を抱き止めたどこか憂鬱げな水干姿の青年式神に困惑の声をあげると式神は微笑んで) 【さぁ……帰ろうか、僕達のあるべき場所に……ね】
2017-02-22 21:11:35(青年姿の式神が膝丸や髭切達を抱えながら1枚の紙を取りだし) 【お知らせ】 なんとか無事に髭切と膝丸が見つかりました。これからこのば……げふん。これらを本丸に強制送還します。ぼろぼろになった刀の手入れをしたら『さいご』のお話をしましょう。それでは、少々失礼を。
2017-02-22 21:17:19始まりが語る終わり。足りなかったものはようやく満たされるのでした。
【本丸・桜の髭切手入れ部屋】 “(上半身を起こした桜の髭切が自身の足の上に覆い被さる緑と黄色の頭を撫で)…………まったく、静かに寝かせてはくれないのだから。よく眠っているねぇ……お疲れ様、ふたりとも”
2017-02-22 21:43:02“うーん……どこから話そうか…………あぁ、まずは折れたはずの『僕』がなぜ生きているか……かな?今日の出陣の前に虚が近侍から貰っていたもの……あれはお守りでね。『僕』の胸を貫くその瞬間に『僕』の本体へとひっかけたんだ。よくやるよねぇ……ほんと”
2017-02-22 21:49:26“僕は…………消えたって構わなかったのにね。その覚悟はもうあの夏の日に決めているんだから……(黄色の髪を撫で)…………そう、消えたって良かったんだよ……僕は”
2017-02-22 21:52:45“…………さて、少し昔の話をしようか。『鬼』がうまれる話だ。 あの夏の日……消滅するはずの僕の欠片が、鬼の器に触れ……宿った。最初はね、表に出てくるつもりはなかったんだ。あんな別れをしてしまえば会いにくいし、なにより新たな器は新たな『僕』のものだからね”
2017-02-22 21:57:23“けれど……ひとつ問題があった(撫でる手を止め)新たな器は検非違使が持っていたものだったということ……それのどこが問題なのかって?まぁ、虚も奴等から奪った刀だからね。通常なら問題など何もなかった…………そう、通常なら。あれには酷い穢れが宿っていた。魂を蝕むほどの強い穢れが”
2017-02-22 22:03:35“…………どこでそんなに強い穢れを貰ったのかは知らないけれど、本当に酷かったよ……あのまま本丸においておけばそれだけで災いになるくらいに……僕はそれを封じ込むためにこの器を乗っ取った。そして…………いつか浄化しきった時には、器の『僕』に返すつもりだったんだよ”
2017-02-22 22:10:51