ラン・スルー・フィールド・ウィズ・ザ・ストライダー #1

おゆはり @SSoyuhari

「差し詰めオヌシらは尖兵。だが、ニンジャのクローンは実際軽視できぬ。オムラと組み、クローンニンジャを率いてヨロシサンは何をするつもりだ。言え」ニンジャスレイヤーは死神そのものの声で問いただした。「語る必要無し」「なぜならば」「貴様はここで」「ケシズミになるからだ」　24

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「「「イヤーッ！」」」規則正しい処刑宣告を言うが早いか、ファイアイーター達の手から次々に火球が発射！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーはこれをニンジャ跳躍力で垂直回避！だが、発射された火球は三つだ。　25

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「バカめ、かかったな！」攻撃をしなかった一人のファイアイーターが、空中のニンジャスレイヤーを捉えた！「イヤーッ！」ナムサン！残虐な火球が死に体のニンジャスレイヤーを襲う！ガドゥーム！空中で火球は花火めいて爆発炎上！あぁ！ニンジャスレイヤー！　26

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「ヤッツケターキョウダイ！」「ワザマエ！」「キンボシ・オオキイ！」勝利を確信した残りの三人が口々に歓喜の雄叫びを上げる。だが、その愉悦は長く続くものではない。「グワーッ！」一人のファイアイーターが突如、顔面から血を吹き出して倒れた。彼の両目に刺さっているのはスリケンだ。　27

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「な……」あまりの展開に言葉を失うニンジャ達を目がけ、爆炎の中から赤黒の影が強襲！ニンジャスレイヤーはスリケンを投げて火球を誘爆させ、その直撃を避けていたのだ。「イヤーッ！」「グワーッ！」浮足立つファイアイーターの一人に、ニンジャスレイヤーは水平チョップを一閃！　28

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「サヨナラーッ！」チョップを受けたファイアイーターの首が上下に切り裂かれ、爆発四散！意にも介さずニンジャスレイヤーは、右後方のファイアイーターにダーカイ掌打！「イヤーッ！」「グワーッ！」　29

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「サヨナラーッ！」掌打を受けたファイアイーターの胴がトマトめいて潰され、爆発四散！「ざ、ザッケンナコラー！イヤーッ！」瞬く間に二人も仲間を殺され、取り乱した一人がニンジャスレイヤーに殴りかかる。だがニンジャスレイヤーは左手をその拳に添えるように当て、最小限の動作で逸らした。　30

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ウカツ！だが気づいた時にはもう遅い。「イヤーッ！」「グワーッ！」ナムアミダブツ……ジゴクめいた突きがファイアイーターの胴体を貫通！「あ、アバ……」虫の息となったファイアイーターを、文字通り虫ケラを見るように一瞥し、ニンジャスレイヤーは手を引き抜いた。「サ、サヨナラーッ！」　31

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「な、なぜだ……」両目にスリケンを喰らったファイアイーターが、ヨロヨロと立ち上がった。目はまともに見えていまい。「我々は、貴様の恨みを買うような事はしていないはずだ」「人に害を為す者に何故も無い。ニンジャ殺すべし」ニンジャスレイヤーは即答した。無慈悲！　32

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「インタビューの時間だ。貴様らの目的は何だ」「……い、言う！分かった、言うからどうか命だけは見逃してくれ！」ファイアイーターの必死の懇願を前に、ニンジャスレイヤーは構えを解いた。「わ、我々の……いや、我々のボスの目的は、ニンジャの軍勢による世界征服だ」　33

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「世界征服…」ニンジャスレイヤーは、呆れたようにため息を吐いた。「ほ、本当ダッテ！実際我々はそのための研究のプロトタイプだ」「……」組織に命を捧げるべき雑兵なのに命乞いをするのは、未完成である証拠か。「ゆくゆくは、もっと完成度の高いニンジャの複製だって夢じゃないはずなんだ」　34

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「ボスとやらの名は何だ」ニンジャスレイヤーが問い詰める。「そ、それは分からん……だが、我々の元となった人物の名なら答えよう」「言え」ニンジャスレイヤーの問いかけに、ファイアイーターは大きく深呼吸して答えた。「……ストライダー」　35

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ストライダー……あのニンジャ犬、ストライダー＝サンが！？バカな！ネオサイタマで共に戦った高潔で義に篤い盟友が、ヨロシサンに屈するはずがない。では、自ら手を貸したのか？気高いニンジャドッグたる彼が…？訳が分からぬ。メンポに隠れたニンジャスレイヤーの口から、低い唸り声が漏れた。　36

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「言える事はこれだけだ、後は知らぬ」「そうか」ホッと胸を撫で下ろすファイアイーターを前に、ニンジャスレイヤーは構え直した。「アイエエエ！？ナンデ！？目的を言ったら見逃してくれるはずじゃ…！」「誰がそんな事を言った。そして、身の程を知れ。それが許されると思うのか」　37

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ニンジャスレイヤーの鋭い眼光が、鼠めいて縮み上がったファイアイーターを射抜く。「ハイクを詠め、ファイアイーター＝サン」「や、ヤメロー！イヤーッ！」ヤバレカバレの火球発射だ！無論、それを問題とするニンジャスレイヤーではない。「イヤーッ！」同様にスリケンを投げ、誘爆回避！　38

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間髪入れずニンジャスレイヤーは爆風に向かって突進！腰を深く沈め、繰り出すはヒサツの一撃、ポン・パンチだ！「イヤーッ！」……だが、ニンジャスレイヤーは突きを止めた。そこにいたはずのファイアイーターがいない。　39

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「……」爆風を目くらましにして逃げたか。自身の存在が奴らに知られては厄介だ。何より、殺すと決めた者をみすみす逃がすのは趣味ではない。確実に殺す。ニンジャ殺すべし……ニンジャスレイヤーは周囲を見回した。　40

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「アバーッ！」突如、遠くで誰かの断末魔が聞こえた。まず間違いなく、ファイアイーターのものである。その後に轟く爆発音。「……」ファイアイーターが、何者かに殺された……？　41

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「……」ニンジャスレイヤーことフジキド・ケンジは、声のした方へ駆けた。搾り取れる情報は全て採取した。死んだのなら、あのサンシタごとき、気に掛けるほどのものでも無い。だが、一体誰がヤツを殺したのか？胸に宿る好奇心めいた思いが、フジキドの足をかの方向へと進めたのだ。　42

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やがてニンジャスレイヤーは、廃ビルに囲まれた広場に出た。格差、汚染、治安悪化が進行したマッポーの世である。夜逃げか殺人か、ヤクザクラン同士の抗争か。所有者を失い、朽ち果てた建物は数多い。このようなゴーストタウンも、ネオサイタマにおいては珍しくないのだ。……が、今は違う。　43

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目を下に向けると、何かが爆裂したかのように大きくえぐれた地面。そして……ニンジャスレイヤーは顔を上げた。無論、分厚い雲に覆われた夜空を見るためではない。幾日も重金属を含んだ雨に曝され、老木めいて無残に錆び付いた照明灯。青い装束を着た正体不明のニンジャが、その上に立っていた。　44

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青装束のニンジャは、黙してこちらを見下ろしている。何たる餓獣めいた狂人的眼光か。モータルのみならず、サンシタニンジャであっても、アレを前に失禁は免れぬだろう。見かけは若くとも、どれだけの死線を潜り抜けてきたのかが伺える。決して油断ならぬ男だ。　45

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そして、あのカタナと思しきものでファイアイーターを殺したのか。だが、妙な違和感が残る。ただ斬っただけならば、なぜカタナに血がつかない？それに、斬った後であのニンジャは照明灯にわざわざ上ったのか？手負いのファイアイーターが、あの危険な男に自分から立ち向かうとは考えにくい。　46

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釈然としない思いを抱えながら、ニンジャスレイヤーはアイサツの姿勢を取った。繰り返すが、アイサツはニンジャのイクサにおける絶対の礼儀。何があろうと、どんなニンジャが相手であろうと、欠かすことは許されない。「ドーモ、はじめまして、ニンジャスレイ…」　47

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ズビュウッ！並々ならぬ衝撃波を察知し、ニンジャスレイヤーは即座に飛び退いた。だが回避しきれず、ニンジャスレイヤーの胸が斜めに裂かれ、鮮血が噴き出す！「グワーッ！」ナムサン！しかし、皮の一枚や二枚裂かれたところで問題ではない。真に問題とすべきは、アイサツ中に攻撃された事だ。　48