松沢呉一さんがつぶやいた「差別語」問題ダイジェスト

「松沢呉一の黒子の部屋」 http://www.pot.co.jp/magazine/matsukuro/ でさらに論じられるかとも思うのですが、とりあえずまとめました。 ※〈お部屋2179/差別用語とパンパン〉で論じられました。 http://www.pot.co.jp/matsukuro/20110310_181746493922655.html 【関連まとめ】 続きを読む
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松沢呉一 @kureichi
ここしばらくネットをほとんど見ていなかった。パソコンが壊れていたためでもあるのだが、昨年からあるプロジェクトを進行させていたためでもある。それが数日前にポシャったため、このところの動きをチェック。まだ「差別語」問題が続いているのね。ワシもちょっと書いておくか。
松沢呉一 @kureichi
この問題、前に書いたように、『「オカマ」は差別か』 http://amzn.to/hug49X を読めばおしまいだと思うのですが、自分の正義を疑いたくない人は読む気がしないでしょう。しゃあないので、そのダイジェストを書いておくとします。
松沢呉一 @kureichi
1)「週刊金曜日」が東郷健インタビューのタイトルに「オカマ」という言葉を使用。これに対して、同性愛者の団体である「すこたん企画」が抗議し、同誌はこれを謝罪。これに対して、同性愛者の中から、また、それ以外からも批判が巻き起こった。私もこれを批判した人間の一人。
松沢呉一 @kureichi
2)もっぱらオカマは男娼を意味する言葉。戦後間もなく警視総監を殴ったノガミのオカマが有名。蔑称としても使用され、昭和20年代でも、これを嫌う男娼が存在していた。蔑称として成立したのは、男娼が蔑視の対象だったためで、売春行為と女性性を強くもつ男たちであったことがその理由である。
松沢呉一 @kureichi
3)東郷健も古い著書ではオカマという言葉を嫌悪しているが、やがてオカマと自称。売春する男や女の何が悪い、男が好きで何が悪い、オカマの何が悪いと。クィアの用法と同じで、言葉を肯定的に使用することで、言葉を取り返し、言葉が指し示す自分のプライドをも取り返す闘いである。
松沢呉一 @kureichi
4)しかし、東郷健の闘いを決して同性愛者たちは歓迎しなかった。「ああいうヤツがいるから同性愛者が誤解される。オレらは女っぽくない」と。ゲイポーイと区別するために「ホモ」を自称した世代である。初期「薔薇族」を読むとわかるが、女性性を否定して、自ら使い始めたのが「ホモ」なのだ。
松沢呉一 @kureichi
5)彼らにとって、オカマは「女っぽい男」という意味を持ち、だから、オカマと呼ばれることを嫌悪し、そこに差別性を見いだした。東郷健の自称に対して「差別である」との抗議は、実のところ、トランス的な存在への嫌悪、女性性に対する嫌悪に裏付けられたものではなかったかというのが私らの提議。
松沢呉一 @kureichi
6)「すこたん企画」がそこまで考えていたわけではないにしても、東郷健の立場からすれば、再度、自分の存在を否定する行為であって、それをあっさり受け入れた「週刊金曜日」はなんなのかって話。東郷健の評価については微妙な点もあるにせよ、オカマと自称した点について私は敬意を抱く。
松沢呉一 @kureichi
7)今はオカマを自称する同性愛者が多数いる。ホモと自称する古い世代もいるし、ホモを差別的とみなす人たちもいる。言葉はいかようにも使える。それを一律に「使うな」とすることは差別の解消にはならず、時にその言葉が指し示す人々の存在を隠蔽する。「ここに触れるとまずいらしいぞ」と。
松沢呉一 @kureichi
8)ここで出てきた重要なテーマとしては当事者性の問題もあった。被差別者は時に差別者たり得る。在日であるために差別を受ける者が、自分に対する批判をする者の職業を挙げつらうのもその一例。被差別者という属性はその発言や要求が正当であることを保証するものではない。
松沢呉一 @kureichi
9)「足を踏まれた者にしか痛みはわからない」は思考停止である。在特会のヤツらは痛みをわかる能力が欠落していそうだが、多くの人たちはそれを想像できるはず。その痛みを共有する努力をしない限り、差別はなくなりはしない。何が差別であるのかを不断に論じ続けるしかないってこと。
松沢呉一 @kureichi
10)「差別語」なるものを消せば差別が解消すると思い上がる人々は、差別とは何か、何が差別か、誰が誰を差別しているのかを論ずることを放棄した怠け者であり、そのことによって「自分は差別者ではない」との錯覚に陥っているだけだと断じてかまうまい。てな話。
松沢呉一 @kureichi
以上を頭に入れて、もう一回議論の始まりを読み直していただきたい。 http://togetter.com/li/102921 さすがに「オカマ論争」を踏まえているkdxnさんはよくわかってらっしゃる。

コメント

Dr. RawheaD @RawheaD 2011年3月9日
例えば@kdxnさんはこの論争の中で「藁人形論法」というのを使われていますね。このコンセプトって重要だと思います。ネット議論では乱用されていますからね。そこで聞きたいのですが「「差別語」なるものを消せば差別が解消すると思い上がる人々」なんてどこにいるんですか?
anon@絵描きモード @pochi_go 2011年3月9日
これはしっかりと覚えておきたいこと。 RT @kureichi: 被差別者は時に差別者たり得る。在日であるために差別を受ける者が、自分に対する批判をする者の職業を挙げつらうのもその一例。被差別者という属性はその発言や要求が正当であることを保証するものではない。
santa_na @santa_na 2011年3月9日
実に鮮やかに整理されていてとってもわかりやすい。
松沢呉一 @kureichi 2011年3月11日
「すこたん企画」や「週刊金曜日」という具体名を出していますよね。なお不足だと思うんだったら、そう思うRawheaDさんご自身で探してみればいいんじゃないですか。