第二回twitter小説大賞応募作品

応募するかギリギリまで迷って、結局応募しました。選ぶほどついのべを書いてないので、まぁ大したものはありませんが。
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佐木ささめ @sakiandu

#twnovel 眠れないと訴える4歳の娘の手を取り、深夜の散歩にでれば夫と瓜二つの男と会った。「パパだ!」と娘が懐く彼とは夜しか会った事がない。娘が二十歳になった年、私は彼に別れを告げた。「ありがとう、あなた。私もう大丈夫よ」と笑って、十七回忌を済ませた夜に、彼を解放した。

2011-03-09 11:22:28
佐木ささめ @sakiandu

#twnovel 土筆が大好きな彼の為に、袴を剥がす作業で私の親指と人差し指は真っ黒になる。石鹸で擦っても落ちない色に悩んでいると、「悪いね」の声と共に彼が指を銜えるので驚いた。汚いわと言っても粘膜が絡む動きは止まらない。言葉よりも嬉しいご褒美に、来年も指を黒く染める予感がする。

2011-03-06 07:55:33
佐木ささめ @sakiandu

#twnovel 「絡める」の単語が好きだ。指を絡めたり舌を絡めたり、何も纏わない素肌の接触は言葉を交わすよりも多くの感情を知覚出来る。今夜も衣服という名の鎧を外して生まれたままの姿になって、腰に脚を絡めて体液を絡める。蛇の様に躯を絡める25時には、絡みすぎた愛情はもう解けない。

2011-01-07 15:34:40
佐木ささめ @sakiandu

#twnovel 「それ食べないんですか?」と彼女が僕の皿を指す。この台詞の裏の意味は「食べないなら私に下さい」か「勿体ないから食べて下さい」のどちらかなんだよなぁ。でも今日はどちらの意味か本気で分からないのは、僕の愛情不足なんだろうか?とエビフライの尻尾を見ながらマジで悩んだ。

2010-12-21 12:19:40
佐木ささめ @sakiandu

#twnovel 「ママ!車の窓が真っ白!」この地域にも初霜が降りた。屋外に停めてある車の窓が白く、このままでは外出もままならない。しかしペットボトルに水を入れて車に戻ると、何とガラスの半分は霜が無くなっていた!「これどうしたの!」「え?美味しかったよ!」 #twnvday

2010-11-14 23:23:11
佐木ささめ @sakiandu

#twnovel 有らん限りの大声で泣く真っ赤な君を、初めて胸に抱いたこの瞬間を私は生涯忘れない。ああ、泣かないで。君の『誕生』の旅は終わったけど、これから沢山の楽しい事や嬉しい事、ちょっぴり悲しい事もある『成長』の旅が始まるよ。生まれてきてくれてありがとう。 #twnvday

2010-10-14 14:15:00
佐木ささめ @sakiandu

#twnovel いつからだろう?私が抱きしめるだけの体が細い腕が、きゅっと抱きしめ返すようになったのは?どうせ遠くない将来、私の手を離れて他の女の手を取るであろう期間限定の恋人は、今はまだ私だけに抱擁の温もりを与えてくれる。「ママ大好き」あら、私なんか君を愛してるのよ?

2010-10-05 21:16:36
佐木ささめ @sakiandu

#twnovel 幼い弟の口の端に付いたクリームを兄が舐め取っている。あれは私達夫婦の真似をしてるんだな、なんて微笑ましく思ってたら、幼稚園のお便り張に「お子さんが『昨日パパがね!ママの上に乗っかって遊んでるの~二人とも裸なの~』なんて話してくれました。ご注意下さい」との苦言が…

2010-09-24 16:19:42
佐木ささめ @sakiandu

#twnovel 二泊三日の出張から帰って愕然とした。2DKの狭いアパートはガランとした空間に変わり服や物が散在している。ベッドや箪笥、冷蔵庫等大型家具の全てが消えていた。妻の姿も無い。空き巣?しかも妻を拉致?混乱する俺の足元には『家財道具は慰謝料に頂きました』のメモと離婚届。

2010-09-05 08:56:43
佐木ささめ @sakiandu

#twnovel 唇を薄く開ける無防備な幼子の寝顔は私に寄せる絶対の信頼。一時の安息。しかしこの静寂を破る大音声の選挙カーが公道を走ると子供の至福は破壊される。絶対にお前には投票してやらん…!と選挙カーが走る度に思っていたら、この選挙区全ての立候補者に投票できなくなってしまった

2010-07-10 14:56:31