#なつばる夢物語 ＿妖

ヘッダー必読 @nappe8_mousou

<0> この世界へ移り住み 幾つ歳を重ねただろう。 「こんな可怪(おか)しい世界にも… 幸せはあるんだな… そう思わないか…？」 〝そうでございますね…燈(あかり)様 …いえ、帝様…〟 「さぁ、仕事に戻ろうか」 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想 pic.twitter.com/9RpNpIos2x

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<1> 1学年に1クラスしかない ような田舎町で育ち、 もう高校3年の冬。 全員の進路が決まったところで クラスみんなで 卒業旅行に行くことになった。 その場所に選ばれたのは 山の麓にある有名なお寺で 一泊してから帰宅になる。 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<2> （よりによって、何でここ…） 楽しみな旅行のはずなのに 私はノリ気ではなかった 〈あかり、旅行の日誕生日やもんな〉 「え？あ、うんそうやで〜」 〈みんなでカウントダウンしてさぁ〉 カウントダウン…か 私にとっては…何の… #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<3> 「ただいまー」 《おかえりなさい》 〈あかり、おかえり！〉 夕飯の支度をしてる母と 先に帰っていた双子の妹､若葉。 〈そんで、あかりの誕生日さぁ！〉 若葉も母も私の事を想ってくれる… …それが辛くて仕方ない …私だけ… #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<4> 寝支度を済ませ ベッドに腰を下ろす。 広々とした自室も今は寂しいだけ… 高収入の母だから 仕方ないことなんやけど… 「血繋がってへんしな…」 〝あかり様…？〟 「や、ごめん…何もない」 〝何でも仰言って下さいませ？〟 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<5> 「たまには1人に…って無理か これが貴女の役目やもんな」 〝そうでございますよ。 貴女様がお生まれになった時から 仰せつかっておりますので…〟 見た目、ほぼ座敷童子の“彼女”は 私に頭を垂れた。 ｺﾝｺﾝｺﾝ 〈あかりー〉 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<6> いきなり部屋に入ってきた若葉は すぐに用を終え 目の前に居る“彼女”を見ることもなく 部屋を後にした。 〝妹様も大きくなられて…〟 「そりゃ同い年やからな… 見えへんねんな…貴女のこと」 そう…この世話係が見えるのは 私だけ #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<7> この世話係は…あやかしの世界の ……女帝の… 〝あかり様も、もうすぐ18…〟 「そうやな」 〝みんな待っておりました 特にあのお方…婚約者様は…〟 （会った事無いけどね） 『よぉ』 「あれ、すばる。いつ来たん」 『今』 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<8> 「あっ！幼なじみやからって 女子の部屋上がり込むな！」 『えぇやん別に』 「んで？また泊まってくん？」 『ん。自分家戻りづらぁてな』 「もう…しゃーないなぁ」 家に父が居ない我が家は 男もんの服なんて無い …はずやん？ #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<9> 部屋に置いてるすばるの服を用意して ベッドから離れた位置に 布団を敷いた。 『またこの距離か』 「あ、当たり前やろ！ほら寝るで！」 『ありがと』 布団に潜ったまま ゆっくり話すのも日課になってしまった。 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<10> 「すばるんとこの両親仲良いからな」 『いくつんなってもやな』 「そやなぁ…」 『卒業旅行…楽しみやなぁ』 …この初恋も忘れなアカン… それに頭がいっぱいで すばるが“彼女”を見たことを 知る由もなく、眠りについた。 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想 pic.twitter.com/YD2UGn9Bjp

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<11> 当日 お寺に到着するなり 高校生相手にはありえない程 仰々しく挨拶をされる。 （あ、見えるようにしてんのか… …なら無理もないな…） 存分に遊んだあと、 1日を終えて就寝時間がすぎても 部屋でワチャワチャと過ごす。 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<12> 〈あかり、スキーはダメなのに 乗馬上手すぎたよな(笑〉 「そんなことないって(笑」 （子供の頃特訓させられたからなぁ… 誰かさんに…） と、チラッと後ろを見ると もちろんいつもの“彼女”も居るわけで。 ｺﾝｺﾝｺﾝ #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<13> 〈はーい！〉 『あかり居る？』 「すばる？何しに来たん」 『ちょっと…ええか？』 「いいけど、何ぃよ…」 部屋の中から これからやのにぃ〜 とか若葉とみんなの声が聞こえる。 「んで、何？」 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<14> 『…明日誕生日やろ…？』「うん」 『俺と…付き合ってください』 「え…？」 『ずっと言いたかってん。 小さい時から好きやった』 そんなこと… …あってはいけない 「…ごめん。私明日…引っ越すねん」 『引っ越す…？』 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<15> 「誰にも言ってへんかったけど。 …えっと…1人暮らし。 そう！1人暮らしすることなって！ やから…ごめん。 すばるとは付き合えへん」 『……そうか。 俺の方こそごめんな、いきなり』 そうして すばるは部屋に戻って行った。 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<16> 女子の部屋までを 1人のんびり歩く。 〝……良かったのですか？〟 「うん… だって、もう会えへんくなるやん」 〝…。〟 部屋に戻り、みんなに祝われながら 運命の誕生日が幕を開けた。 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<17> 翌朝 帰り支度をするクラスメイト。 私も一応帰り支度を装う。 もう今日は誕生日。 …もう …住む世界も変わったんだ…… 〈あかり？〉 「…ん？あ！ごめん」 〈広間でお見送りしてもらったら すぐバスに乗るってさ〉 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<18> 「ごめん、先行ってて！」 〈急いでなー？〉 午後の儀式に向けて 最低限の準備を済ませ 広間に向うと すでに先生の話が始まってて こっそり紛れるように座る。 『あかり』 「すばるも遅れてきたん？」 『まぁそんなとこ』 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<19> 今日の儀式が終われば 【私はこちらの世界の頂点に立ち 人間の世界からは忘れられる】 幼い頃から、夜中の勉強 言葉や歴史の教養から乗馬だって。 婚約者に関して以外を教えられた。 …でも、 楽しかった生活も昨日でおしまい… #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<20> 『なぁ』 「…ん？」 『指血出てんで』 「え？…あ、いつの間に…！」 すぐにその指を隠す。 私は物心ついた時から 血の色が青い。 血が出てしまったら 絵の具って嘘ついて誤魔化して… 「え…今、血って…？」 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<21> すると何も言わず、私の手を取り 指の血を舐め取るすばる。 「ん…！」 『はい…血止まったな。 あ、絆創膏とかはしなや？ 儀式に障るから』 いろいろと頭が付いてかない… （すばるが血で…絆創膏が儀式で…） 〈…あかり？〉 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<22> 〈んも！何ボーッとしてんの！ はよ行かなバス乗り遅れるで？ あと、昨日と今！ すばると何話してたかも事情聴取！〉 嬉しそうに話す若葉 〈ほら早く…！〉 でも私はもう 着いて行くことは出来ない。 ここまで… 話すのも最後… #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<23> 「ごめん…先行ってて…？」 溢れそうな涙を必死に堪える。 〈あかん！一緒に帰る〉 「でも…忘れ物取ってこな」 〈…わかった。…あかり 楽しかった。ありがとう〉 「え…？」 若葉はいつもの優しい笑顔で バスに乗り込んだ #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想

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<24> 若葉は分かってるんかな… もう… …一緒には暮らしていけないことを。 「…あ！すばる…！」 そうや。さっきの…！ 何でそこまで知ってんの？ 儀式や血のことは “彼女”しか知らないはず。 〝あかり様！〟 #なつばる夢物語＿妖 #エイトで妄想