フィクション用文章、ノンフィクション用文章

フィクション言説で使用される文章とノンフィクション言説で使用される文章の違いについて かかる違いがオタク系論評が評価を得にくい原因となっていないか <関連まとめ> 続きを読む
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鳥山仁 @toriyamazine

(1)今日は軽い打ち合わせを電話でしている最中に、フィクションとノンフィクションで使用する文章の違いについての話になる。個人的にはメチャメチャ面白かった。

2011-03-10 05:55:05
鳥山仁 @toriyamazine

(2)決定的なのは、ノンフィクションでは出来る限り断定口調を避ける、という点だ。これは、複数の要素からなる現実の一部を、切り取る事によって成立するノンフィクションというジャンルでは必須の「お作法」といえる。

2011-03-10 05:55:24
鳥山仁 @toriyamazine

(3)たとえば、ある歴史的事件があったとして、それがAという理由のみで起こる可能性はほぼ無い。つまり、Bという理由も少なからず関与していれば、Cという理由も関与するのが現実だ。だから、断定は可能な限り避けた方が無難という事になる。

2011-03-10 05:55:42
鳥山仁 @toriyamazine

(4)具体的には「~であった可能性が高い」「~によれば~である」「一説によると~」「~に関しては2つの説がある」という感じて、主に伝聞調で書く。こうする事によって、「現実はもっと複雑ですよ」というエクスキューズを入れておくわけだ。

2011-03-10 05:56:09
鳥山仁 @toriyamazine

(5)これに対して、フィクションでは基本的に断定調を使う。何故なら、断定口調を避けた文章は、登場人物(特に主人公、もしくは作者)が迷っている事を意味してしまうからだ。

2011-03-10 05:56:24
鳥山仁 @toriyamazine

(6)つまり、断定を避けて伝聞調で文章を書かれても、フィクション作品の読者はこれを「現実が複雑である事のエクスキューズ」とは見なさない。むしろ、登場人物や作者の感情や決意が定まっていないと見なす。

2011-03-10 05:57:01
鳥山仁 @toriyamazine

(7)具体的な例を挙げて考えよう。たとえば、あるSF作品で「世界崩壊の原因はエントロピーだ」という結末が提示されたとしよう。これがフィクション作品、特に娯楽小説におけるスタンダードな文章だ。

2011-03-10 05:57:20
鳥山仁 @toriyamazine

(8)ところが、これをノンフィクション風に書くと、「一説によると、世界崩壊の原因はエントロピーであると言われている」になる。この文章が小説の結末に出てきたらどうだろう? 含みを残したエンディングだと解釈する読者は相当なお人好しだ。

2011-03-10 05:57:43
鳥山仁 @toriyamazine

(9)もう1つ例示してみよう。「世界崩壊の原因は、エントロピーだった可能性が高い」はどうだろう? どんなお人好しでも、この文章が小説のラストに来たら「あれ? 今までのお話はなんだったの?」となるはずだ。

2011-03-10 05:58:05
鳥山仁 @toriyamazine

(10)この文章作法上の違いが何をもたらすか? もう、お解りだろう。フィクションをメインに読み込んできた人間が、ノンフィクションや評論をやろうとすると、断定口調で書いてしまうというミスを頻繁にやらかすわけだ。

2011-03-10 05:58:53
鳥山仁 @toriyamazine

(11)オタク系の論評が学術的に、あるいは世間から高い評価を得にくい原因の1つがここにある。娯楽作品を断定口調で解説した場合、それを知らない人間が端から見るとどうなるかが客観的に見られない、ということだ。

2011-03-10 06:01:33
鳥山仁 @toriyamazine

(12)余談になるが、私はノンフィクションや批評のお作法に疎いので、その手の仕事は特殊な事情がない限り請け負わないようにしている。「何でそんなに自信満々に断定できるんだよ」と思われるのが関の山、というのが書く前から分かり切っているからだ。

2011-03-10 06:01:51
鳥山仁 @toriyamazine

(13)でも、文章技法を勉強していないにもかかわらず、いい歳こいてまだ万能感が抜けきらない素人が、両方やろうとして大やけどするんだよねー、というオチでお話は終了。たまにはこういう打ち合わせがあるのは良い事ですヨ。

2011-03-10 06:02:14
たく様©終身名誉ステイホーマー @takustrongstyle

@toriyamazine オタクの存在自体はノンフィクションなのに、断定口調でオタク論を語るから違和感を感じるような物でしょうか? 恋愛関係になると特に目立つなと。

2011-03-10 07:27:45
たく様©終身名誉ステイホーマー @takustrongstyle

@toriyamazine 確かにコンプレックスも構成要素かも知れないけど、それだけじゃ成り立ちませんよ。 と言いたいけど、アホなので言葉を持ちません。

2011-03-10 07:29:03
鳥山仁 @toriyamazine

@taku_strongstyl ええ? 何がコンプレックスに? 単に見てきた物でついた癖じゃないんですか? オタク話までは分かるんですが……。

2011-03-10 13:07:30
たく様©終身名誉ステイホーマー @takustrongstyle

@toriyamazine 何と言うか、最近の森永卓郎氏のオタク論の結論によくある「現実で恋愛できないコンプレックスで逃避したから」断定されてしまうと、ちょっと違うよ…と、思ってしまう感じですかね。 事情は人それぞれだから、多面的に見ればもっと掘り下げれるのに…。

2011-03-10 15:14:50
鳥山仁 @toriyamazine

@taku_strongstyl あ、なるほど。それなら分かります。多面的に見たほうがいいというのは、おっしゃるとおりですね。今の若い子に恋愛コンプレックスがある人はそんなにいないんじゃないですかね? 戦前に至っては見合い結婚多数ですから、恋愛は「映画や小説」内の出来事ですし。

2011-03-10 16:04:59
たく様©終身名誉ステイホーマー @takustrongstyle

@toriyamazine ネットの普及もあり、随分と間口が広くなったので、新世代の人達には二次・三次元共に楽しんで欲しいですね。 宮崎勤事件の時のような、辛い思いをして欲しくはないです。

2011-03-10 17:16:45
鳥山仁 @toriyamazine

@taku_strongstyl うわー。懐かしい。あの時はロリ系サークルの連中が「ついに、俺達の中から逮捕者が!」と騒いでいたのをよく覚えてます。あの後、宅八郎がTVに出てオタクという言葉が一気に普及したんですよねー。

2011-03-10 18:41:31
たく様©終身名誉ステイホーマー @takustrongstyle

@toriyamazine 宅八郎か…この人も懐かしいw小学生に反応したりするギリギリの危ないキャラでしたっけ。 メディアに要らぬイメージを、リアルタイムで押し付けられた先輩方の苦労は、若輩者の私には計り知れない物があります。

2011-03-10 19:02:46
鳥山仁 @toriyamazine

@taku_strongstyl オタクという単語は、そもそも「少女漫画を読まない男のマンガ・アニメファンはダサイ」という論旨で現れた侮蔑語だったんで、「男のくせに少女漫画読んでる方がおかしいだろ。ホントは女になりたいんじゃないのか?」というカウンターが最初からありました。

2011-03-10 19:54:13
鳥山仁 @toriyamazine

@taku_strongstyl 言い出しっぺは知っての通り中森明夫ですが、PNからして中森明菜のもじりですから、どう考えても女性化願望ありでしょう。それが、どういうわけか同じ『マンガブリッコ』に連載していた竹熊健太郎の回想じゃ、あれは中森の自虐ネタって話になってますからね。

2011-03-10 19:56:42
鳥山仁 @toriyamazine

@taku_strongstyl 身内というか近しい人間が歴史改竄をやる典型で笑えます。あの当時、その中森が称揚していたのが岡崎京子で、まあ今となっては何もかも懐かしいですね。正直に「僕は美少女になりたかった!」って言っておきゃ良かったのにね(笑) 

2011-03-10 20:01:55