〈再放送〉トーメント・イーブン・アフター・デス #3

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◇(何故だ!)ナラクは答えない。(何故おれを死なせなかった、ナラク!)ナラクは答えない!マスラダのまわりで現世の時間が流れ始めた。ストリングベンドは驚愕の眼差しを向け、身構えた。マスラダは燃える目で睨み返した。そして……アイサツした。「ドーモ。ニンジャスレイヤーです」◇

2017-04-21 22:01:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤー:エイジ・オブ・マッポーカリプス 第一話【トーメント・イーブン・アフター・デス】再放送 #3

2017-04-21 22:01:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ。ニンジャスレイヤー=サン」ストリングベンドはアイサツを返した。「ストリングベンドです」アイサツされれば、返さねばならない。アイサツの最中に攻撃を仕掛けてはならない。アンブッシュ(奇襲)攻撃を仕掛けた当の相手に対しても、それは同様。極めて重大な掟だ。破る非礼は許されぬ。1

2017-04-21 22:03:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

オジギを終えると、あらためて二者はカラテを構え、互いの間合いを測る。ストリングベンドは不可解を感じている。ニンジャスレイヤーは内臓を灼かれ、焼け焦げて沈んだ。立ち上がる事など出来ぬ筈だった。しかし彼は呪われたフェニックスめいて、禍々しい邪気の炎を纏って立ち上がったのである。2

2017-04-21 22:05:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ストリングベンドはやや腰を低く落とし、攻撃に備える。手の内がわからぬからだ。コオオオ……その右掌が再び超自然の光を帯びた。一方、ニンジャスレイヤーはこの敵を睨み、ジツを睨んだ。コウボウ・ジツ。このニンジャが自ら得たジツではない。サツガイが与えた力。彼にはそれがわかる。 3

2017-04-21 22:07:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

それは極めて恐るべきジツ。二度受ければ恐らく……。ニンジャ自律神経を働かせ、己が後どれだけ戦えるかを探る。多少の傷であれば、内なるナラク・ニンジャのソウルが、マスラダの執着、怒り、憎悪を触媒として超自然の火を熾し、かりそめに傷を塞ぐ。その力には限りがある。次は致命傷となろう。4

2017-04-21 22:10:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ストリングベンドの掌が陽炎めいて揺らいだ。二者はじりじりと間合いを維持して動く。椅子に固定されたタキが脂汗を浮かべて呻く。無残にも、サンダルからはみ出た右足親指があらぬ方向にへし折られている。つい先程やられた傷だ。ニンジャスレイヤーが倒れれば、長い拷問のプロローグとなるか。5

2017-04-21 22:13:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

タキは血走った目で二者を見た。ビクリと身体が痙攣した。それが合図となった。「「イヤーッ!」」二者は同時に床を蹴った。タキを中央に、彼らはワン・インチ間合いを保ち、木人拳めいて打撃を逸らしつつ、狭い室内を動き回る。ニンジャスレイヤーは幾度も打撃を受けながら、右掌の回避に集中した。6

2017-04-21 22:15:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ZGGGT!致命的な掌がオゾンの臭いを散らしながら繰り出され、ニンジャスレイヤーの側頭部を僅かに削り取った。赤黒の血が噴き出し、傷を塞ぐ。浅い。「成る程な」ニンジャスレイヤーは呟く。アンブッシュに頼ったのはジツの欠点ゆえか。万全の威力を確保するには一定の充填時間を要するのだ。 7

2017-04-21 22:18:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そしてこの傷を代償に、彼はストリングベンドの脇腹へチョップを叩き込む事に成功していた。更に、「イヤーッ!」捻じった腰のバネを戻し、逆の手で顔面に拳を叩き込んだ!「グワーッ!」ストリングベンドはまともに受けた!床をバウンドし、背中から壁に叩きつけられる!「グワーッ!」 8

2017-04-21 22:21:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは追撃を畳みかけようとする。だがニンジャ第六感が激しく警告した……飛びかかるニンジャスレイヤーにストリングベンドが迎撃の前蹴りを浴びせ、怯ませ、コウボウ・ジツでトドメを刺す、予知めいたビジョンだ!ニンジャスレイヤーは踏みとどまり、代わりに右腕を打ち振る! 9

2017-04-21 22:26:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」蛇めいてしなる右腕先から、赤黒い炎の縄が放たれた!それは手甲に巻き付いた奇怪な武器であり、縄の先端は禍々しい鉤爪になっていた。ストリングベンドは不意を突かれ、反射的に右手で打ち払おうとした。黒炎は無慈悲に巻き付き、鉤爪が手首を噛んだ。「グワーッ!」炎熱が苛む! 10

2017-04-21 22:29:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」燃える目を見開き、膂力を込めた。縄めいた筋肉が背中に浮き上がり、足下の床に亀裂が生じた。ストリングベンドは一瞬堪えたが、次の瞬間にはその両脚が宙を離れ、ロケットめいた勢いで引き寄せられる!「イヤーッ!」「グワーッ!」回し蹴りがストリングベンドの顔面を捉えた! 11

2017-04-21 22:32:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

メンポが破砕し、よろめくストリングベンド!ニンジャスレイヤーは間髪入れず襲い掛かる。敵にはもはや、コウボウ・ジツを絡めたカウンター攻撃を行う余裕は無い!黒炎の鉤爪が獲物を離れ、右腕に戻った。「イヤーッ!」「グワーッ!」破砕した顔面に渾身の右拳が叩き込まれた!ナムアミダブツ! 12

2017-04-21 22:35:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエエエ!」タキが椅子の上で恐怖に叫び、暴れた。ニンジャスレイヤーは致命傷を受けたストリングベンドの首を掴み、床に叩きつけた。「グワーッ!」手を離さず、睨み下ろす!「き、貴様、何故我がヤクザクランを、何故ここまで……どこのテッポダマだ!」「サツガイという男を知っているか」13

2017-04-21 22:38:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「サツガイ……」「イヤーッ!」「グワーッ!」「サツガイという男を知っているか」「待て。取引を」「イヤーッ!」「グワーッ!」「貴様は知っている」「……」「貴様はサツガイを知っている」「……!」彼の目に異質の恐怖がよぎる。「奴がお前に何をしたのか知ら」「イヤーッ!」「グワーッ!」14

2017-04-21 22:42:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「おれは生かされた。奴が全ての始まりだ」ニンジャスレイヤーは瞑想じみて呟いた。そして目を見開いた!憤怒!「サツガイという男を!知っているか!」「か、関わりは!関わりはした!……だが、し、知らぬ……奴の事は……」ストリングベンドの瞳孔が収縮した。嘘は言っていない。15

2017-04-21 22:45:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ならば一人、ニンジャを売れ」ニンジャスレイヤーはジゴクめいて言った。「サツガイに繋がるニンジャの名を言え。そうすればカイシャクしてやる。さもなくば!」「アバーッ!」熱によってストリングベンドの目が白濁した!「ナハト……ローニン……」瀕死のニンジャは呟いた。「ナハトローニン」16

2017-04-21 22:48:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはチョップを振り下ろし、首を刎ねた。「サヨナラ!」ストリングベンドは爆発四散した。「……!」タキは椅子の上で痛みと恐怖に震えながら、そのさまを耳で追った。ニンジャスレイヤーは暫し立ち尽くしていたが、やがて、決断的足取りで奥の事務室へ突入した。 17

2017-04-21 22:51:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KRAASH!KRAAASH!やがて、破壊活動の音が奥から聴こえてきた。ニンジャスレイヤーがファイル類やデータを収奪しているのだ。「マジか……どうしようもねえ……!」タキは首を動かしてそのさまを見ようと苦闘する。KRAASH!破壊音!KRAAASH!破壊音……! 18

2017-04-21 22:54:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

やがて喧騒が止み、タキが数度呼吸する間に、ズカズカという足取りが戻って来た。ニンジャスレイヤーが現れた。タキを一瞥し、そのまま去ろうとした。「待て!」タキは叫んだ。ニンジャスレイヤーは足を止めた。タキは唾を呑み、乾いた唇を舐めた。「と……取引だろ。話が違う。オレ殺されちまう」19

2017-04-21 22:57:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

タキのニューロンは火花が散るほど高速回転していた。生と死の瀬戸際だ。ニンジャスレイヤーはタキを見た。そして言った。「ニンジャは殺した」「生き残りがいるかもしれねえ!オレはおしまいだ。こんな椅子に縛られたままじゃ逃げられねえ、ドラッグもやれねえ、違う、水も飲めねえ。餓死だ!」20

2017-04-21 23:01:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは去ろうとした。終わりだ!人口ゼロ地帯!ヤクザ!屑漁り!絶望が待つ!「サツガイ!」タキは叫んだ。足が止まった。「……」「ア……アンタの……探す男はサツガイ」タキは言葉を絞り出した。ニンジャスレイヤーは無言。タキは続けた。「オレはサツガイを知ってるぜ。マジに」21

2017-04-21 23:07:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはタキを見た。「本当か」「マジだ。なあ、俺をほったらかして殺したら俺の価値はゼロ。違うか?」「……」「頼む。親指を折られて、脂汗がダラダラ出てる。歩けやしない。独りでここを這って出ろって?ヤクザがいなくてもモーターマサシに殺られる。恨むぜ。夢枕に立ってやる」22

2017-04-21 23:10:50