- eighter_rieko83
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【はじまりのとき】 1 卒業式も終わり、髪型も変えた。 家族はそれをなんか変とか笑って…失敗したのかなぁ…って、ちょっと凹み気味。 「もーすぐ社会人ってやつかぁ…。」 なんて呟きながら駅への道をトボトボ歩く。 新社会人の為の準備。 何が必要なんだっけ…。 「ゆーゆっ♪」
2017-03-28 00:08:192 後ろから大好きな人の声がしてドキッとする。 『章大にーちゃん…。』 幼なじみの近所のお兄ちゃん…あたしの大好きな人。 振り返って自分に追いついてくるのを待つ。 「髪型変えたんやぁ?」 そりゃ気付くか…。 並んで歩き出す。 「ええやん♪」 『えっ?変じゃない?』
2017-03-28 00:08:243 「変ちゃうよ~!似おてるし、かわええで?」 『ほ…ほんと…?』 「ほんまやって!うん…かわいい♪」 そう言って、頭をポンポンってしてくれる。 章大にーちゃんにそう言われると…お世辞だとしても素直に受け止めたくなるな…。 「どこ行くん?まさか、デート?」
2017-03-28 00:08:284 『そっ、そんな人いないもん!お買い物!色々準備しとかないと…社会人になるから…。』 あたしがデートしたい人は章大にーちゃんだよ…。 駅までのこの時間だけでもドキドキしてる…。 「そっかぁ…。」 『章大にーちゃんは?今日お休みなんでしょ?…デ…デート…とか…?』
2017-03-28 00:08:325 「デートちゃう~俺も買いもん…あっ!!」 『えっ?』 「デートするか?」 『へっ?!』 「就職祝いまだしてへんし、ちょうどええやん!必要なもん、買うたるで♪」 『えっ…!!』 そっ…そんな…そんなことあっていいんですかっ?! 「あっ、もしかして、友達と約束しとるん?」
2017-03-28 00:08:366 『しっ、してないっ!!』 してたとしてもそっちキャンセルするし! 「ほなえーやん♪なんで~も付き合うで?」 『ほ…ほんとに…?』 「ほんまやって!よし!いこっ!」 駅までと思ってたのが延長された! 嬉しいよぉ~! 「おっ、ちょうど電車来てるで!」
2017-03-28 00:08:417 一緒に飛び乗る。 「この時間でも結構人おるな?」 そのまま入口近くに2人で並んで立つ。 わー、緊張するなぁ…。 こんなに長くお話できるの、久しぶりだし…。 「2人で出かけるとかって、もしかして初めてやない?ゆゆの兄貴と3人で遊園地は行ったことあったけど…。」
2017-03-28 00:08:448 『あったね!でももう10年以上前だよ…。』 「そーんな前かぁ!そやなぁ…ゆゆ、まだちっちゃかったもんなぁ。」 今でもあの時みたいな接し方…やっぱり近所の妹みたいに思ってるんだろうなぁ…。 そんなこと考えてたら、次の駅で降りる人があたしの肩にドンと当たってきた。
2017-03-28 00:08:499 『った…!』 「おぉ!大丈夫かっ?!」 よろけたあたしを両手でガッシリと支えてくれる。 『だ…大丈夫…。///』 「なんやねん、あいつ…謝りもせんと…ほんまに大丈夫?」 『うん…。///』 「危ないで、こっち立っとき?」 背後から伸びた彼の腕の中に立つ。
2017-03-28 00:08:5310 向きは逆だけど…なんか壁ドンされてるみたい…! こ、これはまさに少女漫画の世界では…こんなことが自分の身に起きようとは…。 「よし、降りよっか♪」 自然に背中を優しく押された。 うぅ…章大にーちゃんが…すごく大人な男の人…ますます拗れちゃうな、これは…。
2017-03-28 00:08:5811 「どっから行くぅ?何買うんやっけ?」 『えっと…なんだっけ…。』 しまった、電車の中で買うものまとめようと思ってたのに、それどこじゃなくて…。 「あはははは!なんや、ゆゆらしいなぁ…買うもんあるから来たんちゃうのぉー(笑)ほんならとりあえずブラブラしよか!」
2017-03-28 00:09:0212 『う、うん…!』 のんびり歩き出した章大にーちゃんの後ろについていく。 「あっ、ここ寄ってもえぇ?」 頷いて一緒にお店に入る。 「あっ、こーゆーん必要なんやない?」 とか言って、いつの間にか必要なものが揃ってく感じ。
2017-03-28 00:09:0613 そんなに高いものはなかったけど、全部章大にーちゃんが買ってくれて…しかも持ってくれて。 『ねぇ…せめて自分で持つから…!』 「えーの!別に重ないし!」 『だって両手…、あっ、ごめんなさい!』 そればっかり気にしてたら、また人にぶつかってしまった。
2017-03-28 00:09:1014 「あ、すみませーん!」 章大にーちゃんにまで謝らせた…。 「ごめんなぁ?疲れてもーたぁ?」 なのに、こんなに優しい…。 「ちょっとどっかで休もっか?」 情けなくなって俯いたまま頷く。 「よし、ほんなら、コレ1個持って?」 言われた通り荷物をひとつ持つ。
2017-03-28 00:09:1415 そしたら、荷物を持った反対の手を章大にーちゃんに握られた…。 『へっ?!///』 思わずびっくりして声が出た。 「えぇやん、手ぇくらい(笑)やってフラフラして危ないんやもん。ほら、行こ!あっちにえ~感じの喫茶店あんねん!カフェちゃうで!喫茶店♪(笑)」
2017-03-28 00:09:1816 引かれるままについていく…と、そこには本当に昭和感漂う、まさに喫茶店。 「会社の同僚に教えてもろてんけどな?お得意様の会社もすぐ近くで、仕事中も休憩とか昼メシとかちょくちょく来んねん。ナポリタンとかコーヒー…ケーキもうまいで!」 ちょっと得意気なお顔がかわいい…。
2017-03-28 00:09:2217 お店に入ると、少し色あせた赤いソファーに向かい合って座る。 「どーする?ちょっと早いけど、お昼食べる?」 『うん…食べる!』 「好きなん頼み?」 『章大にーちゃんのオススメ食べる!』 「あ、ナポリタン?うまいで~♪じゃ、それ頼も!」 注文してウキウキして待つ。
2017-03-28 00:09:2618 こーゆーの嬉しいなぁ。 なんか、新しい一面見れてる感じ。 お仕事疲れたら、こーゆーとこで休憩とってるのかぁ…って。 《あれっ!しょーちゃん!》 「えっ!マルやん!」 スーツ姿の男の人が親しさ全開で章大にーちゃんの元へ。 「あっ、さっき言うてた会社の同僚やで?」
2017-03-28 00:09:2919 『こっ、こんにちは!』 《こんにちはぁ♪なんや、しょーちゃん、代休取ってる思たらこーんなかわいらしいお嬢さんとデートかいなぁ!ええぇなぁ!》 かっ、かわいらしい…恐縮です! 「ごめんなぁ、みんなが普通に働いとるとこ(笑)」
2017-03-28 00:09:3320 《あれっ?でもしょーちゃんこの前彼女と別れたって…もぉ新しい彼女できたん!?》 …彼女いたんだ…(泣) 「そーゆーこと彼女の前で言うかね?普通…。」 えっ? 彼女のクダリ、否定しないんですかっ?!(驚) 《はっ!そっ、そーやなっ!ごめん!!》
2017-03-28 00:09:3721 「えぇけど…(笑)」 《いや、ほんまごめん!…こーゆーとこやねんなぁ…俺…いや、ほんまごめん、お詫びにここ、奢るから!》 「えっ!えぇの?」 《えぇよえぇよ!なっ、俺この後約束あるから行くけど、ゆっくりしてって?なっ?》 「おぉ~ほんまぁ~?ありがとーお!」
2017-03-28 00:09:4122 スーツのマルさんはごめんって手を合わせながら店を出て行った。 えっと、待って…なんか、ちょっと頭を整理したい…。 「やぁった、ラッキー♪奢りやって~(笑)」 章大にーちゃんには最近まで彼女がいて…でも別れた…で、あたしの事彼女だと思った事に関して否定はしなかった…。
2017-03-28 00:09:4523 えっとそれは一体…どーゆーおつもりで…?? なんか非常に複雑な心境なんですけど…(泣) 「あっ、きたきた♪」 目の前には美味しそ~なナポリタン! とりあえず…、 『いただきます♡』 「………どおー??」 『…おいしい…!!』 「やろぉぉぉ??」
2017-03-28 00:09:4924 あ~おいしいナポリタンもそうだけど、この嬉しそうな彼の笑顔がもぉ…最高です…! よし…、思い切って彼女のこと聞いてみよう…! 『聞いていい?』 「なぁん~?」 『どうして…彼女と別れた…の…?』 「あ~…なぁんかぁ、ヒール履くと俺よりデカくなんのが嫌やとか…。」
2017-03-28 00:09:5325 はっっっ?!(怒) 「いや、まぁ、それは表面上の理由で、もっと言われへんよーな嫌なとこがあったんやろけどなぁ…でも、そんな背のこととか言われても…付き合い始めた頃にはもぉ成長期終わってたし!(笑)そんならなんで付き合おとか言うねんて、なぁ?(笑)」
2017-03-28 00:09:57