エドワード・スノーデン氏の告発が持つ意味について

表題に関連するツイートをまとめました。スノーデン氏が告発を行った2013年6月から、はや4年が経過しようとしていますが、彼の「民主主義国の市民としての振る舞い」は、日本できちんと理解されていると言えるでしょうか。 集英社新書『スノーデン 日本への警告』の刊行をはじめ、彼の行動や発言に注目が集まっていますが、改めて「彼が何をしたのか」「どんな考えに基づいてあのような行動をとったのか」「彼の行動は、自分の住む社会においてどんな意味を持つのか」を各自が考える材料として、参考にしていただければ幸いです。
5
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

ほぼ1年前に書いた関連のツイート。バートン・ゲルマン著(加藤祐子訳)『策謀家チェイニー』朝日新聞出版からの引用。日本では息子のブッシュが「ヒール役」として語られることが多いが、実際の意思決定ではチェイニーの果たした役割がかなり大きい。 pic.twitter.com/VOOsKHCj5x

2014-07-16 15:52:28
拡大
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

『NSA 国家安全保障局の内幕』第2回も見応えある内容だった。この番組に描かれた話も全体の一部でしかないが、スノーデン氏が決してNSA内部で「異端」や「変わり者」だったわけではなく、それどころか過去に幾度も試みられた内部告発の失敗が、あの事件の伏線だったという点は重要だと思う。

2014-07-17 13:06:29
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

逆に言えば、スノーデン氏が実際に行ったような「途方もないスケールの違法手段」を使わなければ、内部告発は成功する望みが無かったということ。NYTの編集主幹をホワイトハウスに呼びつけて恫喝し、記事を差し止めたりする手法で、NSA幹部や司法省関係者の勇気ある告発は潰され、闇に葬られた。

2014-07-17 13:07:34
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

息子ブッシュ大統領やNSA長官ヘイデン(共に当時)が、NSAの国民監視プログラムについて記者会見で口にした詭弁や嘘は、日本の首相が憲法解釈変更などで現在行っている態度と酷似している。全体の一部を都合良く誇張し、不都合な点には一切触れず、安全保障の論理を恫喝の手段として用いている。

2014-07-17 13:08:47
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

スノーデン氏が大量の機密情報を暴露するという発想を抱いたきっかけは、大統領周辺がどのようにしてNSA幹部や司法省関係者の勇気ある内部告発を潰してきたかを記した、実際の政府内文書を目にした時だったという。現在の日本政府やその関連組織にも、同じ種類の憤りを感じている人はいるだろうか。

2014-07-17 13:09:57
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「スノーデン氏は5月初めWP紙の記者バートン・ゲルマンに『自分が行動の結果としてどういう犠牲を払わなければならないかは理解しているし、この情報が世間に公開されると自分自身が終わりになることもわかっている』と書いた」(WIRED/産経)on-msn.com/1jVIQks

2014-07-18 13:04:00
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

NSAの行動が米国内で問題視されたのは、裁判所の令状を伴わない自国民の個人情報収集(つまり合衆国憲法に違反する行為)であり、NSAが外国で行う外国人の個人情報収集はまったく問題視されない。スノーデン氏は一時期、東京でもNSA関連の仕事をしていたが、これが意味するものは何だろうか。

2014-07-18 13:05:09
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

スノーデン氏と面会した記者が「会話をiPhoneで録音してもいいか?」と聞くと、彼は驚いた表情で「今すぐそれを部屋の外に出してくれ!」と言ったという。そしてパスワードを入力する時は、天井から撮影されないよう頭から毛布を被った。NSAがどんな方法で情報収集しているかを示唆している。

2014-07-18 13:06:26
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

東京出張の際、移動の電車でグレン・グリーンウォルド『暴露 スノーデンが私に託したファイル』の電子版をiPodTouchで読み耽った。とても興味深い。技術的側面は日進月歩なので既に古くなっている可能性もあるが、統治者による市民の通信監視の構図は、時代を超えて不変だと思い知らされる。

2014-07-31 12:49:03
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

大英帝国は郵便の封書を開けて中身を盗み見る技術を洗練させ、ソ連や東ドイツは電話盗聴を重要な事業として行っていた。そして米政府はネット上を行き交うほぼ全ての通信内容を監視下に置いている。いつの時代も「帝国」の統治者は、市民の心情に怯え、何を話し合っているのかを盗み聞きしようとする。

2014-07-31 12:50:13
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

スノーデン氏の情報暴露と亡命事件は、日本では既に忘れ去られた感があるが、今我々が日常的に使うインターネットや諸々のガジェットと密接に関連する諸問題、それを無防備・無警戒に使うことのリスクを教えてくれる側面が多々ある貴重な出来事だと思う。amzn.to/1xCqkOK

2014-07-31 12:51:34
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

今日の午後1時から、NHK-BSで『NSA 国家安全保障局の内幕』が3回まとめて一挙再放送される。スノーデン氏の告発やその関連情報を調べていくと、「特定秘密保護法」の成立を急いだ背景には、電子諜報分野での日本と米英加豪新の協力関係を強化したいという思惑もあるのか、という気がする。

2014-08-17 12:35:57
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「電子諜報分野での協力」と言えば聞こえはいいが、実際にはネット上を行き来する全てのメールやメッセージ、通話などを政府の監視下に置くことを意味する。大手IT/ネット業者とNSAの関係は深く、その図式が日本にも拡大される可能性は低くない。 pic.twitter.com/ffJ4iSd8Zk

2014-08-17 12:37:21
拡大
拡大
拡大
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

『The Guardian』紙のインタヴューによると、エドワード・スノーデン氏は、NSA職員たちが「日常業務の一環」で傍受した一般人のヌード写真を皆で回覧する場面に「何度も遭遇」したという(WIRED)bit.ly/1tjKGxB 違う種類のデータも回覧できる。

2014-09-18 16:57:00
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

今年の年末は劇場で観たい映画が何本かあるが、この作品は日本でも公開されるんだろうか。ローラ・ポイトラス監督のドキュメンタリー『シチズンフォー』citizenfourfilm.com ポイトラス氏は機密文書の暴露を決心したエドワード・スノーデン氏と最初に接触した人物の一人。

2014-11-26 15:35:05
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

題名の「シチズンフォー」とは、スノーデン氏がポイトラス氏と接触した時に使用した偽名だが、「市民四号」という名前は示唆に富んでいると思う。メディアでは「スノーデンは英雄か犯罪者か」的な安易な論調が多いが、私は彼のことを「民主主義国の市民としての務めを果たしただけの一市民」だと思う。

2014-11-26 15:36:27
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

ガーディアン紙が公開した最初のインタビュー動画で、スノーデン氏は米NSAによるプライバシー侵害や流通する電子情報の無断窃取を「糾弾」はしていなかった。彼はただ、「政府の説明とは正反対のことが市民に対して行われています」「これを認めるか否かは皆さんで判断してください」と問うていた。

2014-11-26 15:37:36
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

諸々の情報が示す通り、米NSAは日本人のプライバシーや日本国内を流通する電子情報も標的としているが、彼の行為を「日本の市民への問いかけ」と捉える論説はほとんど見かけない。人生を棒に振る覚悟で「市民としての務め」を果たした彼を、日本人は単に「機密書類を暴露した人」程度に考えている。

2014-11-26 15:38:56
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

民主主義社会は「市民としての責任を負う個人」の集合体だが、自分が市民である自覚がなく、思考や価値判断を所属集団に委ねた人間は、政府の説明とは正反対のことが市民に対して行われていても、その事実を明らかにすることが「市民としての務め」だという認識を持たない。集団の秩序維持を優先する。

2014-11-26 15:40:06
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

北欧や西欧の民主主義国では、スノーデン氏の行動は大きな衝撃を持って受け止められ、政府トップが米政府に抗議する国も存在したが、日本では政府も国民もメディアも、スノーデン氏の行動が何を意味するのか明確に分類できていない。この事件への反応は、民主主義社会の成熟度を浮かび上がらせている。

2014-11-26 15:41:14
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

ベトナム戦争に関して米国民に知らされていない米政府内の極秘文書(ペンタゴン・ペーパーズ)を暴露したダニエル・エルズバーグ氏や、対テロ戦争に関して米国民に知らされていない極秘文書を暴露したエドワード・スノーデン氏も、ランド研究所職員やNSA職員である以前に「自覚的な一市民」だった。

2015-03-31 15:32:57
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

スノーデン氏は「シチズン(市民)フォー」という偽名でジャーナリストに接触したが、日本では単に「機密情報を暴露した犯罪者」として報じられただけで、市民的義務という観点から彼の行動を分析する議論はほとんど無い。彼個人の犯罪という小さい箱の中に論点を押し込め、社会的意義は無視している。

2015-03-31 15:34:22
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「シチズン(市民)フォー」ことスノーデン氏は、英ガーディアン紙のインタビュー動画で「NSAが国民への説明なしに行っている情報収集について、皆さんで判断してください」と述べていた。それを見た市民が判断すべきなのは「彼は瑕疵の無い立派な人間なのか、違うのか」という問題じゃないだろう。

2015-03-31 15:37:54
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

エドワード・スノーデン「不正を働いている政府のために自分の行動を変えるべきではありません」「怖いからといって自分の価値を犠牲にしたら、あなたはその価値についてたいして気にしていないということなのです」(CNN)huff.to/1c6u87l 日本人にも無縁ではない。

2015-04-08 13:17:30
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

スノーデン氏の事件を主題にしたグレン・グリーンウォルド(ジャーナリスト)の著書『暴露』によれば、人々は自分の行動を「監視されていることを知る」だけで心理的に萎縮し、特に違法なことをしていなくても行動を自ら抑制するのだという。警察が「盗聴も監視もします」と公言するだけで効果がある。

2015-04-20 18:18:10