
「助けてください。私、明日死ぬしかないんでしょうか」という電話を上司命令でガチャ切りして後悔した新卒の備忘録
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dramawrite
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この話には身バレしないためのフェイク、誇張があります。ご了承ください。 ですが、当時、聞いて、感じて、憤ったこの気持ちは本物です。 それを了承した方だけ付き合っていただけたら幸いです。
2017-05-11 17:28:55
ア〇ィーレ法律事務所とか一時期よくCMで「過払い金ありますか」とかのCMがあったかと思います。一時期、僕は法律事務所のコールセンターのアウトバウンド(問い合わせ後のコールバック)を行う業務を行っていました。
2017-05-11 17:29:06
顧客がネットで問い合わせる→折り返し電話→顧客の生計をヒヤリング→債務整理の可否判断→可能の場合(というか問い合わせる顧客は大体可能)書類を郵送して債務整理開始 という業務フローの前半を担う末端の仕事。
2017-05-11 17:29:11
電話をかけてくる顧客はみんな借金で困っている人。色んな人がいました。買い物中毒で、借金を増やしすぎた主婦。ギャンブル依存症で金を擦ったお兄さん。詐欺にあって200万円借金を負ったおじさん。
2017-05-11 17:29:16
全員が、例外なく人に相談しづらい暗い側面を持っていた。でもどの人も声は普通の人で、世の中借金で困ってる人結構いるんだななんて感心してました。
2017-05-11 17:29:21
電話を誰も取らない中、つい電話を取ってしまった。電話の主は女性。 年齢は60代くらい。「電話掛かってたんですけど誰ですか」なんて、不機嫌な声で言う。
2017-05-11 17:29:32
要件を伝える。すると、お母さんの態度が急変した。「え!?あ、はい!」なんて飛び上がるような声上げてさ。いきなり物腰が変わるからこっちまでびっくりしたよ。
2017-05-11 17:29:43
お母さんから「電話料金が掛かるので折り返し電話いただいてもよろしいでしょうか」と言われてしまった。ホントはこちらから言うべきなんだけど、何か藁にもすがるような声に圧倒されてしまった。
2017-05-11 17:29:47
身の上話を何度も交わす。「情けないんですけどね」なんて前置きを何度も聞いた。 借金を負った経緯。自分の子供の事。お母さんは、事業に失敗したところで病気になって働けなくなり、生活費で借金がドンドン膨れていったらしい。
2017-05-11 17:30:02
中々本題に入れなかった。お母さんは、本当に切羽詰まってて、「自分のことを聞いてほしい」という熱が一気に放出されてる感じだった。
2017-05-11 17:30:07
自分が借りたお金をどこで借りたのか分からなくなってしまったと。 手元のキャッシュカードをバラバラにして捨ててしまったと。 怖くなってしまって、ついやってしまったと泣いてきたんです。
2017-05-11 17:30:16
僕が法律事務所で働いて初めてのケースでした。 言葉に詰まって対応に困るとお母さんが追い打ちをかけるように 「助けてください。私、もう明日死ぬしかないんでしょうか」 だなんて言うもんだから余計パニックになってしまった。
2017-05-11 17:30:21
だから、電話を保留にして上司に対応をお願いしたんです。 上司は、帰り支度が済んでいて、あとは事務所を出てカギを閉めるだけ。 「なんで電話取るんだよ」なんて事情を知らない上司に小言を言われつつ
2017-05-11 17:30:27
僕は申し訳なさそうにするフリをして 「すみません、ちょっと分からないことがあってお伺いしたいのですが」 だなんて頭下げて事情を説明した。 今思えば、あの時すごく惨めだったな俺。
2017-05-11 17:30:34
さすがに食い下がりました。 「それはちょっと待ってくださいよ」って どうにかできることぐらい自分でもなんとなく分かってた。 「助けてください」 なんて言ってるのにその対応は無いだろうって。
2017-05-11 17:30:46