- toyo_gyokuto
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5分ほど遅れてしまいましたが、星の話をいたしますか。…とはいえ、突然思いついたことですからね。何の話をいたしましょう。そうですね、地震ばかりのお話が多いですから、皆さん疲れてると思って話そうと思い立ったわけです。そうですね…。
2011-03-14 19:39:09三月の星というのは冬の星座にくくられまして、とても明るい星が多いのですね。まず、この春の星で一番見つけやすい星の話からいたしましょうか。西がわの空を御覧なさい。三ツ星が仲良くくっついて明るく光っているでしょう。あれがオリオンのベルト。オリオンの腰にあたるところですね。
2011-03-14 19:42:34オリオンは、力強い海の神の息子でございますから、すばらしい力をもつ腕のいい猟師でした。しかしこれが、津波のような乱暴物でして、見かねた大地の女神ガイアが、さそりの毒で殺してしまうのです。
2011-03-14 19:47:06このオリオンは、今は強く光り輝いておりますが、やがて月が進むにつれて東の空のほうからさそり座があとを追いかけてきますので、夏には逃げるように消えているわけですね。
2011-03-14 19:48:43日本神話をまじえますと、このオリオンのベルトは黄金三星、くがにみちぶしといいまして、それぞれ日の神、地の神、月の神が住んでいるともいわれています。
2011-03-14 19:52:07話をオリオンから戻しましょうか…。オリオンの三ツ星のベルトから、北のほうへ少しだけ目をむけますと、オリオンの右肩になっているベテルギウスと呼ばれる赤い星がございます。この星はときに明るくなったり、暗くなったりして観測家たちを楽しませてくれます。
2011-03-14 19:55:21そのベテルギウスから、さらに東のほうへ目をむけてみましょう。ちょうど天の川を越えたところに、こいぬ座のプロキオンと呼ばれる明るい星があるはずです。さらに、南のほうにやりますと、これが全天中もっとも明るい星、おおいぬ座のシリウスです。これら三つをつないだ星が、冬の大三角形です。
2011-03-14 19:58:05シリウスはその輝きから、ギリシア語で「焼き焦がし輝くもの」、セイリオスの名からとられたといわれています。アル君ちでは犬の星と呼ばれ、耀さんの地では天の狼と呼ばれました。
2011-03-14 20:03:27エジプトでは、ナイル川に水を呼ぶ星として、たいへん敬われる星でしたが、私のもとでは、一番に光をたもつ星でありながら、古くは邪悪な星とされていたのですよ。真夏に太陽とともに登る為、この星が太陽に悪意をささやき、はげしい炎暑と熱病をもたらしたとされました。
2011-03-14 20:05:15さて、さらにお話しましょう。今、ちょうど八時を過ぎましたね。空の一番高いところをごらんなさい。プロキオンのすぐ北のほうに、仲良く二つならんでいる星があるはずです。これがカストルとポルックス。天の川にちょうど、足をひたして、話をしあっている形になっていますね。
2011-03-14 20:10:06カストルとポルックスは、双子座の兄カストールと弟ポリュデウケスの頭になる星です。ポリュデケウスは不死身の神としての強い戦士のからだを与えられましたが、不運なことに兄カストールは人間だったのです。
2011-03-14 20:14:56カストールとポリュデウケスはふたりともとても仲が良い兄弟で、さまざまな冒険をともに重ねてきましたが、ある日、これまた双子の英雄、イダスとリュンケウスと戦います。この戦いで、カストールは怪力のイダスに石を投げつけられて死んでしまいます。
2011-03-14 20:19:04不死身のポリュデウケスは石が当たってもなお倒れず、リュンケウスとイダスを倒しますが、兄カストールは帰ってきません。嘆き悲しんだポリュデウケスは、父ゼウス神に頼みます。
2011-03-14 20:22:35「わたくしにとってカストールは、もうひとりの自分にもひとしい、大切なわたくしの兄なのです。カストールが死ぬのでしたら、わたくしにも死をおあたえください。カストールが死んで、わたくしだけが生き続けるなど、あんまりひどいではありませんか」
2011-03-14 20:24:59ポリュデウケスの嘆きを聞いて、大神ゼウスはゆっくり頷きます。「お前が兄カストールを助けようとして、カストールと同じ運命をのぞむのであれば、その長い生涯の半分を地上で暮らし、半分をわたしの天の国で暮らしなさい」
2011-03-14 20:29:40