「規準」を外す

学校教育を受けていると、物の見方が硬直化してしまう。しかしほんの少し工夫することで一気に改善することも可能。
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shinshinohara @ShinShinohara

学生さんとしゃべっていると面白い。「先生もこうなるはずだと仰っていましたし、それを裏付ける論文も出ているんです。」しかし目の前のデータはそれを裏付けるものではなく、当惑している様子。もしかしたら通説を覆す発見かも知れないのに、目の前の現実より先人の言葉に縛られているのが面白い。

2017-06-01 20:50:27
shinshinohara @ShinShinohara

そういう学生さんに、私は次のような話をする。 ある母親が、中学生の息子に「公園の曲がりくねった木、あれをまっすぐ見るにはどうしたらいい?」と謎をかけた。 その木はどこから眺めても曲がりくねってる。1週間考えて中学生は降参。母親の答えは「そのまま眺めればいい」。

2017-06-01 20:59:13
shinshinohara @ShinShinohara

私の解釈はこう。「まっすぐ」という言葉を聞くと、人間は「まっすぐ」という規準にとらわれてしまう。すると木は「曲がっている」としか見えなくなり、それ以上の情報が見えなくなる。「まっすぐ」というフィルターが見え方をひどく狭くしてしまうのだ。

2017-06-01 21:12:36
shinshinohara @ShinShinohara

しかしいったん「まっすぐ」という規準を脇におき、木を虚心坦懐に眺めたら。木から立ち上る香気、木漏れ日、葉のさざめく音、年月を感じさせる風格、大地に根を張る力強さ、樹皮の武骨さ。様々な情報が飛び込んでくる。規準というフィルターを外すと、途端に膨大な情報が手に入る。

2017-06-01 21:33:07
shinshinohara @ShinShinohara

真っ直ぐ見る、という言葉は、素直に眺める、という意味だったのだろう。禅問答のようなこの話は、老荘思想の大家で知られる福永光司さんのエピソード。 この話をすると、学生さんが「その視点でいけば、目の前のこのデータからは、こんなことが見えてきますね」と様々なことに気がつき始めた。

2017-06-01 21:37:14
shinshinohara @ShinShinohara

ちょっとしたエピソードを紹介するだけで、学生さんは劇的に変わる。どこで引っ掛かっているのかを見極め、そこから脱出するヒントを与えると、途端に壁を克服する。こういう瞬間がたまらなく面白い。

2017-06-01 21:39:06