稲川淳二のつぶやき怪談　2017年5月31日投稿分

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（今、何かが見えたぞ！） そこで変な考えが浮かんだんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（閉じた三面鏡の右側を、もう一度開けると、 今見えた何かが映っているんじゃないのか･･･？）

稲川淳二 @Junji_Inagawa

でも、背筋がゾッ、として、 （やめやめ、やめておこう） 再び布団を被って、眠りについたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

でも･･･やっぱり気になって眠れません。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（仕方ない、小便でもしてくるか） 怖いもんだから、襖をパーッ、と開けて、 長い板張りの床の上を、ヒタヒタ、歩いて行ったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

トイレを見つけて、ギギーッ、と木戸を開けたんです。 明かりがついてても、中は薄暗いんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

開けたドアを閉めて、用をたそうとするんだけど、 どうしてもその気になれない。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

酔っていたので、なんだか少し揺れている。 どうしても出ないんです。 それでも、頑張って用をたそうとしていたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

すると、ガラガラ･･･ 誰もいないハズの、風呂場のガラス戸が開いた音なんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（そんなバカな！） （誰かがやってきて、開けてるんだ）

稲川淳二 @Junji_Inagawa

背筋がゾクーッ、として、息を殺して様子を見守ったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

すると････

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ピタッ、ピタッ、ピタッ。 板張りの床の上を歩いている音がしてきた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それも自分の方へ向かってきている！

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（きた、きたぁ、こないでくれぇ） 必死で願ったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

でも、足音はどんどんこっちに向かってきているんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

岡本さんはトイレの中で、木戸を閉めているんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ピタッ、ピタッ、ピタッ。 足音が、確実に木戸の前まできているんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

冷や汗と脂汗が出たまま、身じろぎも出来ないでいる。 するとその足音が、少しずつ遠ざかっていったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そして、足音は消えてたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（ふーっ･･･） こわばった身体から、力が抜けていったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（逃げよう） （もう何があってもここから逃げよう！）

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そう決心したんです。 でも、トイレの木戸を開けて、廊下に出るのも怖い、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

息を殺して、木戸をゆっくりと･･･ 絶対に音が出ないようにしながら、ゆっくりと木戸を開けた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ソーッ、と廊下に出て見たんです。 すると、誰もいないはずの風呂場の扉が開いているんです。