ニンジャスレイヤー:ネヴァーダイズ 【8:オヒガン・シナプシス】 #2(ザ・ヴァーティゴ=サンのツイート補完)
DOOOM!DOOOM!DOOOOM!暗黒の洋上!停止したモーターオムラ!それを包囲した満身創痍のキョウリョク・カンケイ艦隊から、情け容赦無い至近距離艦砲射撃が続く!DOOOOM!ZGRA-TOOOM!着弾!左肩が爆発し、腕が海に沈む!頭部は既に無い!腹部、胸部からも炎上!爆発!
2016-08-02 16:59:51ゴウオオーン!鋼鉄の巨獣の遠吠えめいた排気音だけが、洋上に響き渡る。胸部、球状コックピット内でもそこかしこでUNIX小爆発が起こり、天井から垂れ下がった切断ケーブル類がバチバチとアークの火花を飛ばす。『機体損傷率50%を遥かに超過な』システム音声が響く。ユンコの瞳に光は……無い。
2016-08-02 17:03:52ナムアミダブツ!このままオムラの遺産全ては、スズキ・マトリックス理論の結晶とともに、黒い海の藻屑と消えてしまうのであろうか!?ゴウンゴウンゴウン……モーターオムラを永遠に葬り去り、ツキジを攻撃すべく、キョウリョク・カンケイ艦隊が砲塔を旋回させ、最後の斉射準備に入った!その時!
2016-08-02 17:10:16(Wasshoi!Wasshoi!Wasshoi!……Wasshoi!)ドクロめいた月はネオサイタマの騒乱を見下ろし、「インガオホー」と呟ZGGGGGGTOOOOOOOM!KRA-TOOOOOOOM!KABOOOOOOOM!DOOOOOM!DOOOOOM!DOOOOOOOOM!
2016-08-02 17:11:12月面で凄まじい爆発!アマクダリIRCが乱れ、砲撃プロセスが停止した!一方、モーターオムラの胸の中では、モーター回路が灼けつくような猛回転を開始!100101011∴EROS∴10001∴THANATOS∴11000101∴SUZUKI MATRIX∴00101011!再び、蘇る!
2016-08-02 17:15:21キュイイイイイ!甲高い回転音が鳴り、ユンコの左のサイバネアイが赤く輝く!001100101111……!ユンコはコトダマ空間を飛翔し、七つのトリイゲートを抜ける!背部ユニット、開き、排熱!回転!生命の熱に満ち溢れ、叫ぶ!「ARRRRRRRRRRGH!」右目にはマイコ回路の光が灯る!
2016-08-02 17:20:38「ARRRGH!」ユンコは獣じみて咆哮し、火花散らす操縦レバーを握る!艦隊を睨む!『……オムラ製品コードを持つ選ばれし戦士よ!全てを破壊し湾岸を焦土に変えよ!破壊と殺戮のためだけに作られた真の…!』「ファック!ノー!」KRAAASH!ユンコはサブモニタの狂気的ムービーを鉄拳粉砕!
2016-08-02 17:27:18「ボディを作った奴がそんなに偉いかッ!」ユンコは滅びゆく鋼鉄雷神の制御システムと精神を危険なほど深く同調させながら、叫んだ!どんな機能をもって作られたかが問題なのではない!たとえこの体が、殺戮と破壊の寵児として作られたのだとしても!「モーターオムラ!一緒にやるぞ!まだ戦えるッ!」
2016-08-02 17:37:14ゴウアオオオーーーーン!背部パワーユニット、再稼働!圧縮排気!ゴウランガ!半壊し、爆発寸前の機体が、再び動き出した!『オムラ!』最後の電磁バリア発動!「ARRRRRRGH!」ZZZZZZT!KBAM!KBAMKBAMKBAM!至近砲撃を行っていたオナタカミ無人艦が連鎖爆発!轟沈!
2016-08-02 17:44:56残す敵は一隻!旗艦キョウリョク・カンケイのみ!モーターオムラは軋みながら、黒焦げの無人艦隊と爆炎を掻き分け、もうひとつのオムラの遺産へと迫る!「ARRRRRRRRRRRGH!」対するキョウリョク・カンケイ、IRCの乱れより復帰!生き残った全砲門をモーターオムラ胴体に向け……斉射!
2016-08-02 17:49:44DOOM!DOOM!DOOOM!猛爆発の炎が、洋上をあかあかと照らす!無数の人間を殺し、街を消し炭に変えるはずだった炎が!それを押し返すように突き出される、巨大な炸薬ピストンパンチ!ZGGGGG!両者を包む凄まじい爆発!KRA-TOOOOOOM!DOOOOOM!DOOOOOOM!
2016-08-02 17:54:05「アッ」ツキジと接する湾岸労働者地区の高台。サイバー双眼鏡を覗く一人の肉体労働者が、その壮絶な光景を見て、思わず息を飲んだ。艦砲射撃に先立ち避難勧告が出され、人の数は少ない。流れ弾の一発が、あわやストリートに直撃しかけた。だがそれでもここを離れられぬ者たちがいる。彼はその一人だ。
2016-08-02 17:58:42あれは幻影か。それとも。オムラは、オムラは死んだ。終わったはずなのに!祈るように覗く。双眼鏡の向こうで、爆炎が……晴れた。沈みゆく巨大双胴空母。力尽きたように仰け反り、後方へと倒れゆく巨大戦闘兵器。両者、相撃つ!鋼鉄の雷神が、倒れ、沈んだ!KRA-TOOOM!凄まじい爆発と水柱!
2016-08-02 18:06:23だが、終わりではなかった。「アアアアアアアア!」ガクガクと双眼鏡を持つ手が震えた。爆炎を抜け、上空へと螺旋飛翔する影が見えた。旋回するアーマードレスの三点ブースターは、オーボンの夜の空に、ほんの一瞬、ハナビじみたオムラ紋を刻んだのだ。脱力し、両膝をつく男の頬を、一筋の涙が伝った。
2016-08-02 18:11:24「イヤーッ!」「アバーッ!」アマクダリ・ニンジャのレッドスナッズは、入室エントリーと同時に手近のコードロジストを斬り殺した。「手こずらせやがって!」彼は両手甲から飛び出した小型ブレードを打ち合わせ、UNIX作戦室を睨み渡した。「アイエエエ!」崩れ立つ人員、トランス状態のハッカー!
2016-08-02 18:17:42「どうなってやがる。どうなってやがる!」レッドスナッズは狂乱的にメンポ呼吸孔から涎と泡を吐き出し、瞳孔の極度収縮した目を血走らせた。「アルゴスどうなってやがる。アマクダリどうなってやがる。人生どうなってやがる!AAAAARGH!」「イヤーッ!」その右肩に後ろから掌がめり込んだ。
2016-08-02 18:19:41「え」レッドスナッズは振り向こうとしたが、右肩から腰にかけてメキメキと破壊しながら降りる掌によって、彼はもはや肉塊めいて床に潰れた。「サヨナラ!」爆発四散したレッドスナッズの痕を蹴り散らかし、ルイナーは作戦室を見た。「こいつだけだな……グワーッ!」槍の穂先が背中から脇腹へ抜けた。
2016-08-02 18:22:47「イチノタチ!」アマクダリのヴェルヴェットスピアが槍の柄を捻り込む。「グワーッ!」「死ねーッ!」しかし彼の首に鎖が巻きつき、締め上げる!「グワーッ!」後ろからヴェルヴェットスピアを締め上げ、廊下へ引きずり出すのはスーサイド。鎖は白く光り、もがく力を奪い去る。首骨折!「サヨナラ!」
2016-08-02 18:25:22「クソが……何匹残ってやがるんだ」スーサイドは腕のスナップで鎖を再び拳に巻きつけ、飛び出した。雪崩めいて襲い来たアマクダリ・ニンジャとペイガンに、彼らは最後の死力を尽くしてあたった。ナンシーからの通信は絶えて久しい。突然のペイガンの連鎖爆発四散は、しばしの猶予をもたらしたが……。
2016-08-02 18:30:38「ザッケンナコラー市民!」「スッゾオラー市民!」ハイデッカーが後から後から入り込んでくる。縦横に走り回る鉄条網は逃げ惑う人々を檻めいて隔て、怒気溢れる金色の目が侵入者を見据える中、ジェノサイドは一方だけ残った鎖バズソーを振るい続けた。「遠さねえッつってんだろうが!」
2016-08-02 18:34:25「押し潰せ!もはや敵は手負いだ……」ダイヒョウが周囲にハイデッカーの陣を張らせた。フロア内のクローンヤクザ脳者はモラル・ジツの影響を受け、自我を持たぬ者達にあるまじき残虐性と闘争心をブーストされている。「蹂躙せよ!」「スッゾオラー市民!」「ザッケンナコラー市民!」巨大ヤジリ陣形!
2016-08-02 18:39:23ジェノサイドの緑の目に苦悩めいた影がよぎった。バズソーを振り戻し、殺したとして、到底この巨大ヤジリ陣形のハイデッカーを皆殺しにはできまい。スーサイドらはやや遠い地点を守っている。殲滅が始まるか……!「しゃがめェ!ゾンビー野郎!」アナイアレイターが吠えた。
2016-08-02 18:41:49ジェノサイドは振り返り、慌てて倒れ込みながら呟いた。「何だ……そりゃあ」市民を隔てていた鉄条網がゾゾゾと音を立ててアナイアレイターのもとへ帰っていく。アナイアレイターの片腕の先へ。彼の手のひらの上には……ゴウランガ……あまりにも巨大な、一枚のスリケンがあった。「スリケン・ジツだ」
2016-08-02 18:48:36「な……」ダイヒョウは言葉を失った。「イイイイイイヤアアアーッ!」アナイアレイターは鉄条網を還元して生成した異常巨大鏖殺フマー・スリケンを……投げた!「「「「「アバーッ!」」」」」ストライク!ハイデッカーが一人残らず首を刎ねられ死亡!一人残らずだ!なんたるストライクか!
2016-08-02 18:53:49