白緋冴オメガバースパロ

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リン @flo329_07

アルファ同士の間に生まれた冴島は、兄、姉共にアルファでいたのに、自分だけベータで、両親からひどく落胆された過去をもつ。 突然目の前に現れて、緋山を攫って行ってしまいそうな白石の胸ぐら掴んで「あなたには分からないでしょ?ベータだと分かった途端に、興味を失われた人間の気持ち」

2017-06-13 12:38:33
リン @flo329_07

「興味を失ったときの両親の顔を、私はたぶん、一生忘れられない。傷として残るの。何度、自分がベータであることを恨んだことか。でも、緋山さんだけは違った。私を認めてくれた。温かかったの」

2017-06-13 12:42:03
リン @flo329_07

「アルファのあなたに、緋山さんは渡せない。ベータはアルファには敵わないけど、それでも、抵抗くらいしてみせますから。これ以上、アルファに奪われたくないの」

2017-06-13 12:45:01
リン @flo329_07

アルファに奪われたもの、それは冴島の両親から“愛される”、ということ。それなのに更に、緋山から向けられる好意を奪われてたまるか。冴島はそう強く心の中で吐き捨て、白石をきっと睨みつける。白石はベータに”胸倉を掴まれ”、”睨まれて”、あろうことか獲物を渡さないと言われた、

2017-06-13 21:10:01
リン @flo329_07

アルファ性の自分にとってはどれも初めてのことで、思わず口角が上がってしまう。「……なにがおかしいんです」「えっ、いや、おかしくはないですよ」「笑ってるくせに」「興味深い、そう思って」 冴島は白石の言葉を聞いて、眉間の皺を深くする。 「あなたにも、興味が出てきました」

2017-06-13 21:13:59
リン @flo329_07

「あなたが緋山さんを私から遠ざけようと、手に入れて見せますよ」 胸倉を掴んでいた冴島の手を引きはがし、白石は背を向けて歩き出す。「精々がんばってください、緋山さんの騎士さま」

2017-06-13 21:17:14
リン @flo329_07

去っていく白石の背中を見送って、冴島は引きはがされた先ほど白石の胸ぐらを掴んでいた右手へと視線を向ける。びりびりと痺れている。白石に引きはがされた、それだけのことであるというのに。冴島は改めてアルファとベータの個体差を理解した。

2017-06-13 21:20:50
リン @flo329_07

ベータである自分は、オメガである緋山とは番になれない。それでも、緋山の籠になることはできる。いずれ運命の相手と出会ったら、緋山はそちらに惹かれていってしまうだろう。それはオメガである以上、本能には抗えず仕方のないことだ、それは分かっている。それでもだから、その日が来てしまうまで。

2017-06-13 21:27:14
リン @flo329_07

私は緋山の籠となろう。捕らえて、自分の意思で飛び立つその日まで、私のもとから離れていかないように。

2017-06-13 21:30:01
リン @flo329_07

そんなことを考えながら、緋山の家へと足を進める。「会いたい。今すぐに会いたい。会って、不安をかき消してもらいたい」ゆっくり歩き出したつもりが、いつの間にか早足になり、走り出していた。

2017-06-13 21:39:13
リン @flo329_07

自分がアルファであったなら、ってずっと考えてしまうベータ冴島さん。それでもアルファだったら緋山と出会えてなかった、だけど、緋山のことをここぞというときに守ってあげられない、番になることもできない。って考えて、白石と出会った日から、緋山が去って行ってしまう夢を見て泣いてしまう冴島

2017-06-13 21:44:19
リン @flo329_07

緋山と会うときは、そんな自分の抱えた不安を悟られないようにできるだけいつもどおりで過ごそうと努めるんだけど、緋山には気づかれてしまって。「冴島、なにかあった?」「…なにもないですよ」「嘘。眉間の皺、濃くなってるよ」「……なんであなたはそう…」「冴島のことだから分かるよ!」

2017-06-13 21:50:09
リン @flo329_07

緋山さんはいつもそうだ。こうやって私の心を簡単に揺さぶって離さない。そのたびにどうしても強く思ってしまうのだ、どうして私はアルファではないのだろう、と。ベータである自分は番になれないどころか、子どもを作ることさえできない。既成事実さえ作ることができたなら…そう思うことも少なくない

2017-06-13 21:54:44
リン @flo329_07

冴島は思わず緋山を引き寄せて、額にキスを落とす。「さっ…ささささえじまっ!?」「ああ、すみません。思わず」「思わず!?……冴島…いったい何があったの…?」 照れる様子がかわいいな、と思いながら、緋山の言葉には無言を返す。まだ、話せない。

2017-06-13 22:03:37
リン @flo329_07

まだ、もう少し、もう少しだけ。白石と緋山が出逢わないこの時間に、もう少しだけいさせてほしい。 「緋山さん、好きです」 「んぇ!?……あたしも、好きだよ」 冴島の頬を、涙が伝う。その涙の理由は、緋山の言葉が嬉しくてか、それとも、これから先、2人で歩く未来を描けなくなったからか。

2017-06-13 22:09:20
リン @flo329_07

緋山は医者になりたかったけど、オメガであることが発覚したせいで医大に進学できなくなってしまって。泣きながら、同じ医者を目指す白石と冴島の2人に「あたしの夢も、託すから。お願い、あたしの夢も一緒に叶えてあげて」と懇願する緋山

2017-06-13 22:14:56
リン @flo329_07

大学進学とかそこらへんから、オメガとベータ・アルファで差がすごく大きく出てきたら。オメガは進学することができず、就職できても下位ランクの企業。医者とか政治家とか弁護士とか警察とか、そうゆうのは大半がアルファで占められていて、ベータはその中の2,3割しかいないとかそんな感じ

2017-06-13 22:21:24
リン @flo329_07

で、一緒の大学にも行かれず、自分の知らないところで緋山に発情期が3か月に1度訪れることを考えたらいてもたってもいられず、「番になろう!」って冴島と緋山の2人に言う白石

2017-06-13 22:24:34
リン @flo329_07

「緋山さんが私たちの知らないところで知らないアルファの人と出会ったりするのやだぁ~~~」 「泣かないでくださいみっともない。……まぁ、気持ちは分からなくもないですけど」

2017-06-13 22:26:36
リン @flo329_07

「いや待って、あたしまだどっちと番になりたいとか全然考えてなくて」 「えええええ私とじゃ嫌なの緋山さん」 「まさか他にいるんですか!?」 「そうじゃなくてあの…むしろ……2人とも好きだから選べない…というか…その…」

2017-06-13 22:29:38
リン @flo329_07

「「くっそかわいすぎかよふざけないで」」 「ええっ!?」 「分かった。じゃあこうしよう。せーの、で緋山さんのうなじを噛むの。どっちが緋山さんの番になっても恨みっこなし。緋山さんに選ばれた、ってことで」 「はぁ!?白石あんたなに言って―――」 「分かりました」 「冴島ぁ!?」

2017-06-13 22:33:10
リン @flo329_07

アルファの女はおせっせするときいわゆる両性具有なので、緋山が白石と冴島に突っ込まれる側ですね。よろしくお願いします

2017-06-13 22:36:32

ベータ冴島とオメガ緋山とアルファ白石の話

リン @flo329_07

「緋山さん、外に出るときはあまり、私から離れないようにしてください」「はぁ?」学校帰り、冴島の突然の言葉に緋山は、先ほどコンビニで買ったアイスを口に含みながら怪訝そうな顔をする。「どうした冴島、熱でもあんの?」「いえ、ありません」「じゃあ何か悪いものでも食べた?」

2017-08-01 21:46:19
リン @flo329_07

「いいえ」戸惑う緋山の問いに、冴島は眉一つ動かさずに答える。あー…と声を漏らしながら緋山は頭を掻いた。さっぱり分からん。「分からなくてもいいので、離れないでほしいんです」緋山の心の声を読んだかのような言葉に、肩を震わせる他にない。いつも気難しそうな表情をしているが、今日は尚更だ。

2017-08-01 21:49:41