オメガ緋山とアルファ白石と冴島の話
ずっとベータだと思って生活してきた緋山と、医者の家系でだいだい地位を築いてきたアルファの白石と冴島が幼なじみであるとよい。緋山がベータだと信じられていた理由は検査でもベータだと判断され、発情期と思われるものもなかったから。でも発情期は訪れていて、微量のフェロモンは流れていた
2017-06-12 21:06:01なんだかんだ白石と冴島の2人はいつも緋山の近くにいるから、緋山が体調を崩してもすぐに気がついたり、緋山に近付く悪い虫を追っ払ったりとかしていて。「緋山からいい匂いするな」なんて思って、シャンプー変えた?なんて聞いても「いや?変えてないけど」なんて言われて
2017-06-12 21:08:57「あれ?たしかに違う匂いというか…甘いようなそんな…」白石はそう思って首をかしげるんだけど、実はその甘い匂いは、緋山が発しているフェロモンだった。甘い匂いがする、そんな程度の微量のフェロモンだから、アルファ性の冴島と白石も緋山のことを突然襲ったりなんてすることがなかった
2017-06-12 21:11:48でも高校2年のとき、日常ががらりと変わる。 「緋山さんのことは好きなんだけど、冴島さんのことも好きなんだよね」緋山が熱を出して学校を休んだ日の帰り道、白石が口を開く。真顔でそんなことを言う白石の顔を見て、冴島はぎょっとして目をそらす。「突然なに?」「いや、なんていうかさ」
2017-06-12 21:16:02「冴島さんのことも好きなんだけど……緋山さんへの好きがなんか最近違う感じがしてね」「はぁ…」冴島は予想もしていなかった白石の言葉に唇を噛む。「……早く、緋山さんのお見舞いに行きますよ」「あ、うん」自分も白石と同じ気持ちを抱いている――そう伝えようとしてやめて、冴島は歩き出した。
2017-06-12 21:20:11緋山のもとへ見舞に来た白石と冴島は、部屋に入って足を止める。部屋中に充満した、頭がくらくらとするくらいに甘ったるい匂い。そう、それは白石が嗅いだことのある匂いで。意識をどこかへ持っていかれそうになりながら、よろよろと緋山の寝ているベッドへと近づけば近づくほど、匂いは強くなる。
2017-06-12 21:23:11「…ひ…緋山さん……」緋山のことを呼びながらかぶっていた布団をはぎとって、白石は動けなくなった。いや、汗の伝う首筋、上気した頬、熱に浮かされ潤んだ瞳、艶っぽい口元から漏れる吐息。緋山のその全てに、白石は釘付けになっていた。静かな部屋に、白石の喉を鳴らしたゴクリという音が響く
2017-06-12 21:27:32「白石さん?」冴島の声に、白石はハッとする。今にも湧きあがり、口の端からたれそうになる涎を勢いよく飲み込んで、冴島に向き直る。「ごめん、大丈夫」しかしそう言う白石の息はあがり、瞳はとろんとしている。「これは、まずい…」――襲ってしまう――
2017-06-12 21:31:40そう直感した冴島は、今にも緋山に襲い掛かってしまいそうな自分を抑えながら、自分を抑えるのでやっとな白石を引きずって、部屋を出た。部屋の扉を閉め、扉に背を預けながら荒くなった息を整え、考えを巡らす。「これじゃまるで緋山さんは……オメガじゃないか!」
2017-06-12 21:35:16ベータだと信じていて、それでも自分はアルファの白石と冴島のすぐ隣に立つことは簡単ではなくて3人で一緒にいながら劣等感を感じていた緋山が、自分はその更に下のオメガだということが分かってしまい、自暴自棄になるそんな話も好きなのでします
2017-06-12 21:40:48「あたしはっ!あんたたちと一緒のところには立てないの!あたしだけ!あたしだけだよ!?生まれながらアルファで恵まれてきたあんたたち2人とは違うの!!ベータならまだ頑張れば、あんたたちと同じところに立つことも、死に物狂いで頑張れば、できたかもしれないのに…なんであたしなの!!」
2017-06-12 21:43:35「あんたたちだって…本当は内心で笑ってるんでしょ…?発情期なんてそんなものが定期的にきて、動物のように手当たり次第にアルファを誘う、そんなオメガ性のあたしのことを!!」 緋山の部屋で話しているときに、泣きながら枕とかその場にあった時計とかを白石と冴島に投げつける緋山。
2017-06-12 21:47:02「緋山さんっ!」「離してよ白石!アルファのあんたたちになんて、あたしの気持ちなんて分からないでしょ!!?……お願い……お願いだから……あたしのことを…そんなかわいそうなものを見るような目で見ないで……」
2017-06-12 21:49:23「お願い……」と泣きながら訴える緋山を力強く抱きしめる白石。「離して…」「……」「しらいし……お願い…」「緋山さん」 暴れて白石の背中を叩く緋山を抱きしめ、白石は大きく深呼吸をして意を決したように口を開く。 「緋山さん、番になろう」
2017-06-12 21:52:39「……なに?同情?」震える唇を薄く開き、緋山はそれだけをしぼりだす。「ううん、違う」「じゃあなに?遊び?」「緋山さん、好きなの」「……は?」「ずっと、ずっと好きだったから」
2017-06-12 21:56:11「……なにそれ…」「ずっと、緋山さんへの好き、って気持ちが、冴島さんへの好きと違うのは分かってたの…。これは、友達としての好きじゃない。恋愛感情だって今、はっきりと分かる」 白石の言葉に緋山が少しずつ落ち着いてきたのか、白石のことを叩く手はいつの間にかおろされていた。
2017-06-12 21:59:25「緋山さん。ずっと好きでした。私と、番になってください」「……しらいし……ほんとに……?」「うん、本当だよ」「しらいし…」「いやいやいやいや!ちょっと待ってください!」 冴島が緋山と白石を引き離し叫ぶ。 「勝手に2人で話を進めないでください!」
2017-06-12 22:02:18「緋山さん」「さえじま…?」「私も、緋山さんのことが好きです。白石なんて放っておいて、私と番になってください」「ええっ!!?」「さ、ささささ冴島さん!!!??」
2017-06-12 22:04:34「白石さんにばかりいい格好なんてさせませんよ。あなたが言わなければ、私も言わないところでした、そこは感謝します。…ですが、緋山さんのことは渡しませんよ」 緋山の返答を聞かないまま、冴島は白石に向き直り、宣戦布告をするのだった。
2017-06-12 22:06:43正直ラストの展開としてはそのまま番としての契約はしないまま、緋山にとっての運命の相手が現れてしまうまでは、と緋山の意思を尊重しながら3人つかず離れずの関係を維持していくんだけど、「やっぱり私は緋山さんと一緒にいたい、これから先も。隣にいて」と懇願する白石に影響されて
2017-06-12 22:10:43白石か冴島かどちらかをまだ選べずにいる緋山のことを考え、行為の最中に「せーの!」で白石と冴島が緋山のうなじに噛みつけばいいと思う。「どちらが番になっても恨みっこなしだよ」というていで。でもそこで奇跡が起きて、白石と冴島の2人ともが緋山と番になっていた、というご都合ハッピーエンド
2017-06-12 22:13:44昼間仕事中に考えていたもう1つのルートとしては、緋山と白石の性はそのまま、冴島がベータ、っていうやつ。立場としてアルファには勝てないベータだけど、それでも緋山を連れていかれてしまうのは嫌であの手この手と奮闘するベータ性冴島の話
2017-06-12 22:21:28