@IIMA_Hiroaki さんの連続ツイート20170619

興味深い内容だったのでtogetterしました。
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飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

読解問題の解答にご参加くださいませんか。この画像(bit.ly/2tBJmdc)の文章を読み、人物の気持ちとして最も適当なものを、選択肢から選んでください。ちなみに、引っかけではなく、純粋な読解問題です。結果に基づき、後に分析ツイートをするつもりです。

2017-06-18 22:43:00
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

「読解問題」の解答にご協力ありがとうございました。今回「正答」としたのは、2番目の「おだやかな気持ち」です。約8割の人はこれを選んだので、「まあ、しいて3つの中から選ぶとすれば、これじゃないの」と、おおむねご賛同いただけたものと考えています。

2017-06-19 22:50:43
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

今回、なぜこの文章を出題したか。それは、この小説のこの部分が、「登場人物の気持ちを読み取る方法」の授業にそのまま使えるほど、分かりやすい構造を持っていたからです。つまり、典型例ということですね。手初めに、何も説明しないまま、解答にご参加いただいたというわけです。

2017-06-19 22:51:03
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

「どういう気持ちか」が問題となる文章では、読み方の鉄則があります。「気持ちが直接的に示された部分」から見ていくことです。今回の文章は、うずらさん bit.ly/2sFIxDb のご指摘どおり、「さびしさをぬぐってくれた」が「心情を描いた唯一の部分」なのです。

2017-06-19 22:51:35
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

「おだやかな気持ち」という表現では違和感があるとのご意見もありました。もっと踏み込んで「慰藉を感じる気持ち」などとしてもいいでしょう。ここでは、「さびしさがぬぐわれた=ある突出した気持ち(さびしさ)を感じず、おだやかでいられる」と、文章から最低限言えることを示すにとどめます。

2017-06-19 22:52:08
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

全体を乱暴にまとめると「死者の場所と結ばれていると夢想することで、彼のさびしさはぬぐわれた」ということ。全体を貫く心情は「not さびしい」です(原ノイアさん bit.ly/2rGNLyZ の想像される顔のとおり)。選択肢では「おだやかな気持ち」が最も適当です。

2017-06-19 22:52:27
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

「彼はさびしいからこそ夢想した」と考え、「夢想していた時の彼の気持ち」は「さびしい」と答えた人も多かったようです。でも、これは日本語として無理です。キティさん bit.ly/2sqRhee bit.ly/2sFKwHD のまとめのとおりです。

2017-06-19 22:52:46
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

「さびしい」を「寒い」、「夢想」を「暖房」に置き換え、「寒いからこそ暖房した。したがって、暖房していた時の室内は『寒い』」とすると、不自然です。「暖房は寒さを除いてくれた」「夢想はさびしさをぬぐってくれた」と書いてあれば、「(寒さ・さびしさが)おだやか」と見るのが自然です。

2017-06-19 22:53:08
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

「おそろしがる気持ち」を選択した人は、「暗い海」「死者」などからおそろしいイメージを読み取ったのかもしれません。でも、これは「気持ち」とは関係のない語句です。同様に、「親しいひとたち」の「親しい」からおだやかな気持ちを読み取った人もいますが、これも気持ちを表す語句ではありません。

2017-06-19 22:53:31
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

登場人物の気持ちは「作者に聞くしかない」などと片づけられたりしますが、読解というものに対する誤解です。「気持ちが直接的に示された部分」→「動作などで間接的に示された部分」の順に点検し、動かぬ証拠を基に答えればいいのです。まともな問題ならば「証拠」が示されていないことはありません。

2017-06-19 22:53:50
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

「筆者や登場人物の気持ちはどうせ分からないので、読者が好きに解釈していい」となると、自分が書く側に回ったときに困ります。自分の気持ちを伝えようと書いた文章が、読者に好き勝手に解釈されてしまったら……。お互いのことばをよりよく理解しあえるようにするのが、読解力を高める目的です。

2017-06-19 22:54:11
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

もっとも、いくらみんなが読解力の訓練をしても、また、文章の筆者・作者がどれだけ表現に工夫しても、何割かの人には伝わらずに終わります。8割の人に伝われば上等ですが、その場合も、あとの2割が真逆に捉えている恐れもあります。文筆家が「ことばは伝わらない」とうめくのは、そのためです。

2017-06-19 22:54:30
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

彼の気持ちがそれぞれの時点によって違うのでは(さみしい時点もあったのでは)というご指摘がいくつかありました。彼の気持ちは、幼少期から大人の現在まで、一貫しておだやかです。幼少期に形成された死生観のため、母の死(後年という以外は不明)に際してもさびしさがぬぐわれた、ということです。 twitter.com/Necomatter/sta…

2017-06-19 23:29:50
猫又(夏梅堂:なつめだう) @Necomatter

@IIMA_Hiroaki 他の方のリプライを見ても、元の文章の意図は十分に伝わっていると思われます。上手く伝わっていないのは問題文がどの時点の気持ちを問うているかの方ではないでしょうか?

2017-06-19 23:13:08
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

現在まで一貫しておだやか、は不正確でした。引用文のあとで、老年になった国政は〈もう魂の乗る船も死後の世界も信じていない〉〈死んでからどこかに結ばれるなどということがあるだろうか〉と、索莫とした心境になってしまうのです。引用文の範囲にはそうした変化は出てきません。

2017-06-19 23:40:14