稲川淳二の『つぶやき怪談』(2017.06.29)

稲川淳二 @Junji_Inagawa

もうそこから、枝分かれしたように道があって、 それがずう----っと、旧吹上トンネルに上がる道になってる。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

もちろん、道の入り口には柵ができて、歩行者と自転車しか中に入れませんよ。 そこを、ずうーっと行って、山沿いにくるっと、曲がってすごい急な角度で登る。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ずうーーーっと。 登っていって、９０度に曲がる。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そうすると、ちょうど切り通しで。 山の間をずっと進んだ正面に、旧吹上トンネルの、出入り口があるんですよねえ----。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ということは、東京側から入る時は、 吹き上げトンネルと、旧吹き上げトンネルの高さの差が少ないのに、 埼玉県側へ行くと、すっごく高さが違っちゃうんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ということは、 どっちかが絶対、坂になってるわけじゃないですか。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ねえ、論理的にいったらそうでしょう？　 どっちかが上り坂か、下り坂になってるわけだ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ところが------、中を歩くと坂になってないんですよ。 これが、どうにも不思議でしてね。 明るいうちに、この旧吹上トンネルと、旧々吹上トンネル、チェックしたんだ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

旧々吹上トンネルの手前に、民家が１戸あるので、 その民家の方にお断りして、挨拶をして、 「撮影しますので、すみません」 って言って、許可をもらったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それで、おかしなことがあったんですよ----。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

まだ太陽の出てるうちにチェックをして、両方見て。 で、旧吹上トンネルの埼玉県側のロケをしたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それで日が落ちたので、一息ついた。 暗くなってから、再びロケに入ったわけですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

旧吹上トンネルを撮った後に、旧々吹上トンネルへ行ったわけですよね。 気持ち悪いですよ、やっぱり。 手掘りのトンネルですからね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ましてやトンネルの手前にあばら家があって、 そこは昔、飲み屋さんだったわけですがねえ----。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

山の中でも、客は結構来てたって言うんですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その飲み屋さんの一家が、惨殺されたんですね。 その家の、まだ、おちびちゃんだった女の子が、 逃げてトンネルの中に入っていったのを、 闇の中で頭をナタで、かち割った、というわけですよ----。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

トンネルの入り口には、フェンスが張ってあるんですが、 それが一部、切られてる。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

切ったのは、連続幼女殺人事件の犯人だった男で、 彼はホラーファンで、昔、ここでおこった惨殺事件の現場を見たくて、 フェンスを切って、中へ入ったわけですがね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それが広がってるんですよ、少し。 「あれ？　前より入り口、広がっちゃったねえ」 と、思って入った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

行くと、途中で、いつもそうなんだけど、景色が違って見えるんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

人間の頭、覚醒させるっていうんですかね、 毎回、入るたび、景色が違って見えるんですよ、あのトンネル。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

どうも、気持ちが悪い----。 で、埼玉県側へ行った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ここにも、フェンスがしてある。 そこには、扉が一応あるんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

埼玉県側は鉄の枠があって、網が張ってある。 でも、それが少し開いてるので、その隙間から出られるんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そこから出て、少し行ったら、木が倒れてる----。 地べたがもう、雨か何かで地割れを起こしてね、流されてるんです。