「集団の秩序を守る力」について~障害児集団と健常児集団の比較を基に~

アナログゲームを使って障害児のコミュニケーション療育を行っている松本が、健常児集団と向き合ったときに感じたことをまとめました。http://www.gameryouiku.com/
発達障害 心理
gameryouiku 3228view 5コメント
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  • 松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku 2017-07-16 10:15:09
    多様性のある組織に欠かせない寛容さをどう培っていくかを考えていく上で、今僕が日々やっているアナログゲーム療育とその理論的バックボーンになっているピアジェの知見がとても役立つので少し紹介したいと思います。
  • 松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku 2017-07-16 10:19:21
    先日小学校低学年の健常児集団を相手にアナログゲームやったんですが、その時感じたのは、発達障害児の集団と比べて「集団の秩序を維持する力」がすごく強いということです。たとえばやり方がわからない子がいれば教えてあげたり、間違いがあればその場で指摘したりするというやりとりがすごく多い。
  • 松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku 2017-07-16 10:23:55
    ただし健常児集団の場合、集団の秩序を維持するために異分子を排除する力もすごく強い。ゲームのルール始め秩序を壊すことへの強力なペナルティが存在したり、うるさかったり不愉快なことを言う子を躊躇なく排除する。そのペナルティや排除が怖いので秩序が維持されている面がある。
  • 松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku 2017-07-16 10:27:26
    発達障害児の集団を見ている私からみれば、健常児の小学生集団というのはどこか独裁国家的、ブラック企業的な所がある。ものすごく統制が取れていて、物事は大変スムーズに進むんだけど、目的に向かう過程で、個々人の都合が黙殺されており、そのことに当人たちは気付いていないという怖さがある。
  • 松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku 2017-07-16 10:32:53
    これだけだと「健常児集団怖いね~、定型発達症候群だね~」という表層的な皮肉になって終わりかねませんが、ここにピアジェの知見が出てきます。ピアジェはスイスに伝統的に伝わるおはじきゲームにおける子どもの観察で、子どもの集団秩序への考え方が年齢ごとに発達していくことを明らかにしました
  • 松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku 2017-07-16 10:35:31
    ピアジェが指摘した、ルール理解についての発達は3段階あり、大まかにいうと、幼児「ルールは絶対だと思っているが、自分がそれを理解できないので守れない」 学童「ルールを絶対的に守ろうとする」 中学生以上「ルールは相対的なもので当事者間の合意があれば変更できる」という形で発達していく。
  • 松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku 2017-07-16 10:41:41
    だから、小学生集団が独裁国家的ブラック企業的になってしまうのはその年代の認知能力の限界であって、逆に言えば中学生以上ではそれが克服され「全体の秩序が守れたとしてもAくんが排除されてしまってよいのか」とか「Aくんが参加できる工夫は何か」といった話ができるようになるのかもしれない。
  • 松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku 2017-07-17 10:51:02
    小学生集団がその年代の認知能力の限界として、独裁国家的・ブラック企業的側面を持ってしまうことについて指摘した昨日の一連のツイートについて、「ここで言われている小学生レベルの大人が一杯いるけど・・・」という感想を持った方が多いようだ。
  • 松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku 2017-07-17 10:58:52
    この一連の発達過程については、主に「ピアジェの教育学」「教育の未来」(どちらもピアジェ著)を参考にした。本の題名からもわかるように、ピアジェは集団の秩序形成・維持に関する能力の発達に教育が必要だと考えており、放って置いても勝手に伸びていくと考えていない。 twitter.com/gameryouiku/st…
  • 松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku 2017-07-17 11:00:37
    面白いなと思うのは、ピアジェはこうした集団秩序形成に関する子ども発達について道徳教育と国際教育の文脈で語っていることだ。
  • 松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku 2017-07-17 11:07:18
    ピアジェ曰く、道徳には2つある。1つは、大人や年長者に対する子どもの一方的尊敬(服従)を前提に一方的に教えれられる他律的な道徳。もう1つは、子ども同士の相互尊敬を前提に、協力と自治によって培われる自律的な道徳である。
  • 松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku 2017-07-17 11:14:12
    無論ピアジェが重視するのは後者の相互尊敬をベースに自治と協力で成り立つ自律的な道徳で、成熟した大人の道徳は相互的尊敬と協力に基いているのに、それを子どもに教えるとなると一方的尊敬に基いた強制的なものになってしまうのはどうしてか、と鋭く批判している。
  • 松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku 2017-07-17 11:25:54
    相互尊敬に基づく自治と協力の道徳を教育するにあたってはそのテーマは問われない、ピアジェは言う。道徳教育といえば、大人が子どもに特定の価値観を押し付けるものとして毛嫌いする人が多いが、価値観を問わず自治と協力を促すのもまた道徳教育であると考えれば、新しい方向性が見えてこないか。
  • 松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku 2017-07-17 11:28:06
    ピアジェは、道徳の発達と知性の発達は並行すると考える。相互尊敬や協力・自治を実現するためには、相手の立場に立って考えたり全体を客観的に俯瞰することが必要になる。それができるための方法として、ルールを伴う集団遊びやグループ学習を提案している。
  • 松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku 2017-07-17 11:40:17
    ピアジェは一連の見解を道徳教育から展開して国際教育の文脈で語る。ピアジェの活動するスイスのジュネーブには国連本部があり、彼はそこで国際教育の講演を行った。国際教育というのは自治と協力の教育であり、例えば「国連本部がいつジュネーブに出来たのか」を教えるようなものではないと。
  • 松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku 2017-07-17 11:43:55
    こうしたピアジェの一連の主張について、国際教育を多様性の教育と読み替えれば、現代においても全く意味を失っていないことがわかるだろう。「発達障害を理解しよう」「LGBTを理解しよう」といって大人が子どもに一方的に教えるだけの他律的な道徳観では、片手落ちなのだ。

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