安子×村上-OG

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キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

1 浮き足立ってザワザワとした校舎。 たくさんの笑顔が溢れる中をゆっくりと歩く。 ほんの数ヶ月前まで毎日通ってたはずなのになんだか懐かしい。 非日常にはしゃぐ後輩達を見て可愛いと思うのと同時に少し寂しくもなる。 突然襲われる既視感。 過去と今を行ったり来たりする。

2016-04-02 12:01:18
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

2 ここはもう私の場所じゃないんだなあ。 そんなことしみじみ思いながら、懐かしいあの扉をそっと開けた。 入口から見えにくい一番遠くに置かれたいつもの椅子に座る後ろ姿。 『せんせ』 その背中が小さくビクッと跳ねたのを見た。 『やっぱここいた』 「…びっくりさせんなや」

2016-04-02 12:01:33
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

3 その手には慌てて揉み消したであろう煙草が。 まるで先生に見つかった生徒みたい。 苦笑しながらゆっくりこっちを向いたその目が落ちそうなくらい大きく見開いた。 「お前…」 そう呟いたきり絶句して。 ふふん。 久しぶりに一泡吹かせることが出来て何か満足。

2016-04-02 12:01:48
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

4 ケラケラ笑いながらクルッと回って見せた。 『似合う?』 スカートがフワッと浮いて落ちる。 こんな短かったっけ? 足がスースーする。 「似合うって…つい最近まで着てたやんけ」 『そうだけどさ』 やっぱ太ったかなあ? なんか小さい気がする。

2016-04-02 12:02:03
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

5 少しずり上がった上着の裾を引っ張った。 「どしたんそれ?」 『後輩が手伝ってって言うから持ってきた』 「そんなん言うてへんかったやん」 『驚かそうと思ったんですー』 「だからて制服てお前…」 『びっくりした?』 「や…」 『…ふんだ』 びっくりしすぎて固まってたくせに。

2016-04-02 12:02:20
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

6 唇尖らせて先生のとこまで歩く。 じっと見つめてそらされない視線。 ちょっと恥ずかしい。 「…手伝いてなんかまた商売でもしたんか?」 『そんなことしてないもん』 「お前が何もせんと手伝いとかするはずないやろ」 『そんなことないもん』 「…報酬は?」 『…これ』

2016-04-02 12:02:35
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

7 ガサりと両手の袋を掲げる。 色んな屋台の食べ物。 私が売り子に立つと客の入りが違うんだって。 まあ当然だよね? 手招いてにっこり笑うだけでみんなイチコロ。 通じなかったのは目の前の先生くらい。 「またチケットやら売り捌いとるんかと思たわ」 『そんなことしてないもん』

2016-04-02 12:02:45
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

8 ちゃんとOGとして学祭楽しんでるもん。 そう、今日は学園祭。 卒業して初めて足を踏み入れた校舎は何も変わってないのにここには私も皆もいなくて、ふとした瞬間に自分がどこにいるのかわからなくなる。 この教室で制服で先生と向かい合ってると、更に。

2016-04-02 12:03:39
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

9 自然と足はこの教室に向かった。 変わらない風景と先生の姿。 卒業してからもずっと一緒にいるのに何だか懐かしくて泣きたくなる。 別に制服じゃなくても良かったんだ。 ただ何となくあの頃を思い出しただけ。 …色々あったな。

2016-04-02 12:04:01
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

10 「どした?」 『ん?何でも』 「ほ…ん、…で?何か用でもあったんか?」 『これ一緒に食べようと思って』 「…まあええけど。ようここにおるってわかったな」 『ここにいる気がしたの』 フッて照れたように笑ったその顔が可愛くて胸がキュンとする。

2016-04-02 12:04:16
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

11 向かいのいつもの席に座ると、目の前に紅茶の缶が置かれた。 私がいつも飲んでたやつ。 『え?』 見ると勝ち誇ったような顔で。 「来る気しててん」 ふたりで顔見合わせて笑った。

2016-04-02 12:04:25
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

12 『あっ!』 「何や」 『それ私食べようと思ってたのに!』 「…」 『あっ!それ残してたやつ!』 「…」 『あっ!』 「…好きにせえ」 呆れたように言って、缶コーヒーを一気に飲み干した。 他愛もない話をしながら目の前の食べ物を平らげていく。

2016-04-03 14:31:49
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

13 普段なら絶対買わないような、素人が作った不格好なこんなのでも、お祭りの屋台とかで見るとなんか食べたくなるんだよね。 「太るで」 ニヤニヤしながらこっち見る先生。 う、気にしてるのに…。 いいもん、明日からダイエットするもん。 最後のたこ焼きを口に入れた。

2016-04-03 14:31:53
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

14 「そういやお前のツレらはどしたん?来ーへんの?」 『あー何か後で来るって言ってた』 「流石に大学行ってまでお手て繋いで一緒ではないわけや」 『そういうわけじゃないけどさ』 みんな他に一緒にいたい相手もいるし。 でも学校ではずっと一緒にいるな。 そこんとこは変わってない。

2016-04-03 14:32:13
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

15 先生は? 今ここで何して過ごしてるの? 「ん?」 『や…、何か変わんないなーって思って』 「何が?」 『何か』 訳わからん、みたいな顔で私を見る先生。 何となくわかってるんだ、この胸のモヤモヤの理由。 『先生はずっとここにいるの?』 「あ?何やさっきから」

2016-04-03 14:32:18
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

16 また煙草に火をつける。 『…違反』 「…今更やん」 『悪い大人』 「お互い様やろ」 そう煙吐いて笑う。 『…今の悪い子は誰?』 「あん?」 『いっつも呼び出してる子、いるの?』 「…」 目細めてじっと見て。 「…ふっ」 呆れたように笑った。

2016-04-03 14:32:21
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

17 「まあどうしようもないやつはおるっちゃおるけどな」 『…』 今どんな顔してるんだろう、私。 怒ってる? 泣きそう? 不安? 私の知ってる場所で私の知らない先生がいるのが怖い。 村子の彼氏、渋谷さんから聞いたことがある。 昔はモテて女に不自由してた感じはなかったって。

2016-04-03 14:32:25
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

18 今は知らんけどって言ってたけど、私みたいな生徒が他にいたっておかしくない。 今までも、これからも。 人を好きになるって、面倒で重くて苦しい。 「でもまあお前みたいなんはそうそうおらんで」 『…』 「あれから比べたら可愛いもんや」

2016-04-03 14:32:28
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

19 『…ここに座ってる子いるの?』 「ああ?」 まだなんかあるん?みたいな表情。 わかってるけど、でも止まんない。 「…」 『…』 「…おるけど大体1回か2回終わりや」 『…』 「ずっとそこ座ってたんお前くらいのもんや」 『…』 「…」 『…ッ、たっ!?』 デコピン!?

2016-04-03 14:32:32
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

20 おでこ抑えて顔上げたらニヤニヤしながら覗き込んでる先生がいて。 「なんちゅう顔してんねんお前」 『だっ、!…て、…』 思わず出した大声がすぐに小さくなる。 …だって不安なんだもん。 なんでこうしてこうやって一緒にいれるのかもよくわかんないくらいなのに。

2016-04-03 14:32:36
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

21 もしかしたら同じように他の生徒と…って考えたっておかしくないじゃん。 先生のことになると途端に自信のなくなるんだ、私。 俯いた私の向こうで溜息の音がした。 呆れてる? …怖いんだもん…しょうがないじゃん。

2016-04-03 14:32:40
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

22 「…まあ、わからんでもないけど」 『え?』 「ま、お互い様やろ」 え?どういうこと? 「俺の目の届かんとこで何してるかわからへんやん、お前かて」 『え!?そんなっ…!』 「どっちかって前科あるんお前の方やんか」 『うっ…』 それを言われると…痛い。

2016-04-03 14:32:43
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

23 何も言えなくなってしまった私を見てまた笑った。 「で?」 『え?』 「お前はいつまでそこ座っとるん?」 え?何?どういうこと? もう出ていけって、そういうこと? 「こっち」 ポカンとする私をちょいちょい手招きする先生。 訳もわからず先生の前に立った。

2016-04-03 14:32:48
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

24 『…?』 「そこちゃうくて…」 『えっ?…きゃっ!?』 いきなり腕を引かれて先生の膝の上に倒れ込んだ。 「もうお前の席はここやろ?」 ここって、…? 『あ、…』 優しく抱きしめられて、ブワッて涙が溢れた。

2016-04-03 14:32:51
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

25 「前も今もお前しか見てへんわ」 『ッ…!』 「そうでもなけりゃ適当な理由つけてしょっちゅう呼び出すかいな」 『うそ、ぉ…っ』 「ま、内申響かん程度にな」 背中をポンポン叩きながら宥めてくれる先生。 でもその言葉と優しい手にもっと涙が零れて。

2016-04-03 14:32:55
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