【アイドル・ポリス26】#4

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ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「ドーモ、ルーントリガーです」ルーントリガーは両銃を胸の前でクロスさせアイサツした。「やっぱりあのバンドの生き残りかい。うちのモンが世話になったな」クイックドローは脇に吊ったホルダーからピストルを抜きクルクルと回した。「…貴女達の目的は何?どうして私達を襲ったの?」

2017-08-01 20:10:13
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「理由?私は知らへん。命令に従っただけや。文句はうちのボスに言ってな。…ま、自分はここで死ぬんやけどな!」BLAM!BLAM!クイックドローのピストルが火を噴いた!「イヤーッ!」ルーントリガーは側転回避!「私らは正義!悪人をお縄に着けるんがお仕事や!」驚異的連射速度!ハヤイ!

2017-08-01 20:15:04
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

ルーントリガーは屋根の遮蔽物で銃撃をやり過ごし、相手の僅かなリロードの隙を突いて飛び出した。「イヤーッ!」BLAM!BLAM!BLAM!二挺拳銃が吼える。クイックドローが回避行動を見せた瞬間に接近し、ピストルカラテを叩き込む算段だ。「ぬるいで!」BLAM!BLAM!BLAM!

2017-08-01 20:20:14
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

ゴウランガ!クイックドローの早撃ちが飛来する弾丸全てを弾き飛ばしたではないか!何たる精密射撃!ワザマエ!「ポッと出のアイドルが、まだイクサっちゅーもんを分かっとらんようやな!」クイックドローが腰溜めにピストルを構え左手を翳す。「イヤーッ!」BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!

2017-08-01 20:25:09
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

たちまち銃撃の嵐がルーントリガーに襲い掛かる!射撃と同時にアイドル器用さを発揮し装填!隙を生まぬ!ルーントリガーは撃ち落としにかかるが損なった弾丸が身を掠める!再び物陰に飛び込む!「…ハァーッ…ハァーッ…ゴホゴホッ」シホは銃を握り締めて深呼吸をし、上手く行かずに咽こんだ。

2017-08-01 20:30:14
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

敵の指摘する通り、シホはこれが初めての対アイドル戦となる。まだ己の能力さえ把握していないというのに、どうやって敵の力を測れるというのだろうか。見つめる銃口が小刻みに揺れている。復讐。成し遂げようとした気概はこの程度だったのだろうか。薄暗い無人のステージの光景が脳裏を過る。

2017-08-01 20:35:10
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

祈る様に両手の銃を額に当てる。不意に心が冷めた。シホは駆け出した。「血迷ったか!」BLAM!BLAM!敵の連射が襲いかかる。ルーントリガーは冷静に撃ち返し、致命的な弾丸を弾きそれ以外は巧みに身を躱した。アイドル動体視力とアイドル判断力。冴え渡るニューロン。大腿から出血。調整。

2017-08-01 20:40:03
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

敵が出来ることは自分にも出来る。観察し、模倣し、調整する。己の性能を塗り替えていく。時計の針を合わせて行くように。一秒のズレを調整する。先程の倍を超える銃弾を察知。撃ち落とし躱し、それでもなお迫る弾を銃身で防ぐ。衝撃で歪んだそれを即座に手放し、スカートから新たな銃を引き抜いた。

2017-08-01 20:45:04
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

それはこれまでクローンヤクザから奪い取ってきたコレクションだ。ここに至りリロードする暇はない。撃ち終えたものから次々に放り棄て、絶え間なく銃撃を浴びせ続ける。「何やねんホンマ…!」クイックドローは相手の豹変にたじろいだ。急速接近する機械めいたアイドル。得意の銃が当たらない!

2017-08-01 20:50:10
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

タタミ十枚、五枚、ゴウランガ!三枚の距離!最後の弾丸がルーントリガーの頬を掠め彼方へ飛んで行く。水晶めいた眼がクイックドローを捉えた。恐るべき弾幕を掻い潜り、遂にカラテの領域!「イヤーッ!」クイックドローの右フックがルーントリガーの顔面を打つ!「ンアーッ!?」復讐者が苦悶!

2017-08-01 20:55:06
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

クイックドローの拳には鋼鉄の手錠がナックルダスターめいて握り込まれている!打撃力倍増!「これがワッパカラテや!イヤーッ!」ガシャン!ルーントリガーの右手に手錠が嵌る!ナムサン!片側はクイックトリガーの手に!「喰らえィ!」銃口が突き付けられる。その瞬間ルーントリガーの左手が閃いた。

2017-08-01 21:00:20
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

撫でるように銃に触れる。クイックドローの手の中でピストルがバラバラに分解された。「なっ…」驚愕する彼女の腕に金属音。手錠が嵌っている!「ナンデヤネン!?」その先はルーントリガーの腕!手錠が二人を繋いだ!「ハイクを詠みなさい」突き付けられる銃口。クイックドローは手を上げた。

2017-08-01 21:05:04
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「…タコヤキあげるから堪忍してくれへん?」「慈悲はない」

2017-08-01 21:10:05
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

……『サヨナラ!』モモコは遠く響く断末魔を聴いた気がした。「どうしたんですの?早く連中を追いますわよ!」仲間に催促されパトカーに乗り込む。今はこの現実と向き合わなければならない。暗躍するアイドル。あるいは、いつか見た人影。ふと浮かんだ疑念を振り払い、夜の街へ繰り出した。

2017-08-01 21:15:08
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

シホは去り行くパトカーを見送った。手にした焦げたコートを物色し、一枚のパスカードを発見する。カードには『ナオ・ヨコヤマ』と記入されている。このパスがあれば更にアンナのハッキングが有利になるだろう。決戦は近い。シホはイクサの余韻に浸る暇もなく跳躍し、闇へ飛び込んだ。

2017-08-01 21:20:12