日向倶楽部世界旅行編第9話「鋼の鈴谷・交差する波たち」

三隈グループ @Mikuma_company

日向倶楽部、この後21:30！ pic.twitter.com/ISXmVyyadF

拡大

三隈グループ @Mikuma_company

【前回までの日向倶楽部】 扶桑です。 ニューギニア島を発った私達の前に、動物使い香取と名乗る謎の練習巡洋艦娘が現れました。強敵だったようですが、最上さんと初霜さんが猿の艦隊と共に襲ってきた彼等を撃退し、私達は次なる目的地バヌアツを目指します。

三隈グループ @Mikuma_company

【前回までの日向倶楽部その2】 太平洋上を走る一つの影、それは水上バイクを跨いだ流浪の艦娘。 緑色の髪と鋼鉄の左腕を持った彼女は、待ち受けていた海賊の一団に取り囲まれていた。 「ヨォ鈴谷、会いたかったぜ。」船から聞こえるその声を、侮蔑の眼差しで彼女は睨む！

三隈グループ @Mikuma_company

日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第9話「鋼の鈴谷・交差する波たち」

三隈グループ @Mikuma_company

〜〜 「ヨォ鈴谷…会いたかったぜ。」 船から聞こえる下品な声に、鈴谷と呼ばれた艦娘は無線を使って応えた 「会いたかったァ？仕事の依頼って言うなら、もう少しちゃんとやってほしいんだけど？」 彼女はそう言いながら周囲を見渡す、四方を囲んだ敵は相当に多い。

三隈グループ @Mikuma_company

「バカ言うんじゃねえ、商売敵のテメェに頼む仕事なんざニッポンの切腹くらいだぜ。」 「へぇ、あんたの介錯をしろって言うなら喜んでやるよ？首は高く売れそうだしねぇ？」 「相変わらず気に入らねえ口だぜ…ゲハハハッ！」 殺意のこもった笑いが船から木霊する。

三隈グループ @Mikuma_company

一方、鈴谷は啖呵を切りつつ状況を確認していた (よりによってこんな場所…向こうも考えて仕掛けてきてるって訳か。) この海域は定期的に船が通る場所ではない、酔狂な旅行者でもいない限り一時間は助けが来ないだろう。 (少しでもお喋りして時間稼ぐしかない、か…)

三隈グループ @Mikuma_company

「しかし、この鈴谷一人のためにここまで用意してくるとは見上げた忠義だねぇハヌル、儒教思想の賜物って訳ェ？」 ハヌル、その名は海賊船の船長を指していた 「それともチャイニーズマフィアかどっかの差し金？正直なところ、下衆なあんた達ならそっちの方が納得出来る。」

三隈グループ @Mikuma_company

鈴谷の言葉をハヌルは鼻で笑う 「ハンッ、饒舌だなぁ鈴谷、だが時間稼ごうってんならやめた方が良いぜ。」 「そこでそう言うこと言うのがバカなんだよ、既にまんまと乗せられてるってワケ。」 一歩も引かぬ挑発！これを聞いたハヌルは大きな声でまたひとしきり笑った。

三隈グループ @Mikuma_company

そして一息ついてから叫んだ 「…そいつを殺せッ！」 その言葉と同時、包囲していた艦娘や水上バイク隊が一斉に鈴谷への攻撃を開始した！ 「殺せ！沈めたって構わねえ！」 「まだやる事が残ってんだよ、死ぬもんか！」 鈴谷はバイクのエンジンを吹かして包囲網の中を走り出した！

三隈グループ @Mikuma_company

「飛べ、瑞雲！」 左腕に着けた甲板から瑞雲を射出！前方の敵艦隊へと向かわせ、先制攻撃を狙う！ 「死ねっ！」 そんな彼女の後方から水上バイク隊によるバズーカ攻撃！しかし回避！余裕！そして 「素人は引っ込みな！」 手持ちのアサルトライフルで反撃！敵のバイクに風穴、撃沈！

三隈グループ @Mikuma_company

だが敵は後方だけではない！ 「取り付いたぞ！撃て！」 両端を挟むようにモーターボートが接近！ 彼らはミニガンで武装している、危険だ！ しかし鈴谷は動じる事なくバイクの出力を上げる！唸る！エンジンが唸る！素晴らしい加速でモーターボート達を引き離す！

三隈グループ @Mikuma_company

「このネクロマンシーに、そんなガラクタでは追いつけないよッ！」 バルルルッ！先程同様モーターボートのエンジンを撃ち抜く！爆散！ 「けっ、今度は上か！」 上空から艦娘の艦載機による攻撃！瑞雲は敵陣にいる、迎え撃つには！ 「やっぱこれだよねェーッ！」 アサルトライフル！

三隈グループ @Mikuma_company

空に向かって弾丸を撃ちまくる！当たる！落ちる！当たる！そして落ちる！狙い澄ました乱射！防空巡洋艦娘顔負けの対空射撃で攻撃を凌ぐ！ 「弾切れか、買えてないからさ！」 ライフルをしまい艤装の対空機銃で更に応戦、激しい空からの攻撃を無傷で回避しきった！エクセレント！！

三隈グループ @Mikuma_company

それでも敵はまだ来る！ 「撃て！撃て！」 「弱いくせにさぁ！」 懐から取り出した拳銃で更に来る水上バイク隊に応戦、敵の弾丸は水面を叩くが鈴谷の弾丸は敵を撃ち抜く！ (主砲は艦娘相手、ここは普通の武器だけ使うんだよ鈴谷！) 片手でリロードし更に撃つ、無傷だが苦しい戦い！

三隈グループ @Mikuma_company

一方の海賊船では 「ハヌル様、バイク隊は全滅しました！」 「奴らで倒せるとは思っていない、軽巡駆逐は突撃、空母と戦艦は後方から援護しろ！」 船からハヌルが指示を出すと、艦娘六名からなる水雷戦隊、十名からなる戦艦娘、航空母艦娘部隊が鈴谷に狙いを定める！

三隈グループ @Mikuma_company

「水雷戦隊突撃！目標は一人！」 「了解！」 軽巡洋艦娘と駆逐艦娘が攻撃を開始 「味方ごと撃ち抜いて構わないという指示だ、撃て！」 そこへ戦艦娘が弾丸を撃ち込み 「敵の対空はお粗末だ、やれ！」 航空母艦娘が攻撃隊を送り込む！ 三重にして怒涛の総攻撃！

三隈グループ @Mikuma_company

怒涛の三段攻撃が鈴谷に迫る！ 「一人の艦娘に寄ってたかってさ、そういう所が小悪党なんだよ！」 主砲で水雷戦隊に応戦、バイクを操って砲撃をかいくぐり、艤装の対空機銃で攻撃機から身を守る！ 「ぐあーっ！」 向かって来た駆逐艦娘を主砲で黙らせる、まずは一人！

三隈グループ @Mikuma_company

だが敵もやられているだけではない！ 「ッ！しまった！」 敵の放った魚雷の一つが彼女の水上バイクに炸裂！バイクは大破炎上、鈴谷は素早く離脱する！ 「やってくれるじゃん、鈴谷のネクロマンシーをさぁ！」 バイクを失い、今度は艦娘として自ら水上を駆け始める！

三隈グループ @Mikuma_company

「奴は無防備だ、撃て！」 構える水雷戦隊！ 「無防備？目ェ悪いんじゃないのォーッ！？」 それを撃つ鈴谷！数の不利を物ともせずに敵を減らして行く！ 「ショシュン、ヒンフウ、トウフウがやられました！」 「シント、攻撃出来ません！」 次々と舞い込む報告にハヌルは歯を軋ませる

三隈グループ @Mikuma_company

「シビ、ニョーゲツは奴を足止め！他の水雷屋共は退け！…伊勢！日向！」 「何？船長さん。」 伊勢と呼ばれた女の声が船室に響く 「お前たちは前に出ろ、接近戦はできるんだろう？奴を叩き斬れ！」 「りょーかいっ、行くよ日向！」 「うむ。」 鈴谷の元に二名の艦娘が向かう！

三隈グループ @Mikuma_company

「ハヌル様、よろしいのですか？」 「連中の事は気に入らないが仕方ない、とにかく今は鈴谷を始末する！」 ハヌルは正面に広がる海とそこで奮戦する鈴谷、そしてそこへと向かう艦娘の一人「伊勢」を苦々しく思いながら見つめた。 「チッ、奴は何者なんだ…！」 〜〜

三隈グループ @Mikuma_company

〜〜 その頃、ヒューガリアンでは 「扶桑さん、一体どうしたんです？」 「はい、先程この近くで救難信号を受信しました、水難事故の場合皆さんの力が必要になりますから、念の為準備をお願いします。」 「分かりました。」 という事があり、一同は進路を僅かに変更した。 〜〜

三隈グループ @Mikuma_company

〜〜 水雷戦隊を壊滅させた鈴谷は、崩れた包囲網を抜けての逃走を試みていた。 (敵は総崩れ、逃げるなら今しかない！) しかしそんな彼女の進路を塞ぐように、十数機の瑞雲が襲いかかってきた！ 「逃す気は無いって訳か…やってやろうじゃん！」 鈴谷は自らの左手、義手に手をかけた！

三隈グループ @Mikuma_company

「アームズチェンジ！AAアーム！」 そして彼女がこう叫ぶと！なんと！義手から艦娘の対空機銃がガチャガチャと生えて来た！ 「オラオラオラオラァーッ！！」 艤装の対空機銃と義手の対空機銃、二重の熾烈な対空砲火で迎撃！ 濃密な弾幕と質量に瑞雲達はボコボコと落ちて行く！