密猟の取締と動物保護で苦しめられる人々『ぼくの村がゾウに襲われるわけ。: 野生動物と共存するってどんなこと?』レビュー

本当に保護が必要なのは何なのか (しかし、アフリカの獣害はスケールがでかい)
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波島想太 @ele_cat_namy

車は動きが早く、ヘッドライトやクラクションでゾウを驚かせることができる。当初は劇的に効果を発揮し、導入前の半分まで被害が減った。パジェロは救急車としても活躍し、妊婦などを車で二時間かかる病院まで運んでくれた。

2017-08-25 14:36:42
波島想太 @ele_cat_namy

だが五年もするとやって来るゾウが200頭とかになり、一台では手に負えなくなった。エンジン音やクラクションにも慣れてしまい、逆に車に向かってくることすらあった。維持費も馬鹿にならない。酷使に故障しても修理もままならなくなった。 続いて試したのは「ハッピーハニーチャレンジ」である。

2017-08-25 14:39:18
波島想太 @ele_cat_namy

ゾウがハチを嫌う習性を利用したもので、畑の回りに養蜂箱を設置してゾウを追い払う。確かにハチが居着いてくれればゾウは近づかないし、取れたハチミツを売ることもできる。だが実際にハチが居着くのは一割以下で、しかも日陰の少ない畑周辺はハチに適した環境ではなかった。維持も手間がかかった。

2017-08-25 14:43:24
波島想太 @ele_cat_namy

今一番ホットなゾウ対策はワイヤーフェンスである。電気柵ですらない普通の鉄線を張り巡らせるだけで、不思議とゾウが入ってこないのである。材料費も安く、本書執筆時点で総延長は42キロにまで延びている。この年はでゾウ被害が激減して大豊作であったため、これまでなかった学校給食まで始まった。

2017-08-25 14:48:31
波島想太 @ele_cat_namy

住民たちは喜んでさらにワイヤーフェンスを延ばすと意気込んでいるが、著者はゾウの知能の高さを懸念する。これが実はさして危険なものではないとゾウに悟られてしまったら、すぐに壊して畑に侵入してくることだろう。ケニアでは電気柵を採用したが、数年後にはゾウに攻略されてしまった。

2017-08-25 14:51:03
波島想太 @ele_cat_namy

2015年にタンザニア政府は「現在の43000頭から、2030年までに10万頭まで増やす」と宣言した。これによって援助は集まるかも知れないが、イコマの人々の暮らしはどうなるのであろうか。

2017-08-25 14:54:06
波島想太 @ele_cat_namy

日本でも獣害は度々話題になる。著者の夫は千葉県鴨川市で農業をやっているが、ここでもいざ収穫の日というところでイノシシに入られて全滅した経験があるという。2015年には日本の狩猟免許を取得した。野生動物との間には正しい距離感というものがある。

2017-08-25 15:05:41
波島想太 @ele_cat_namy

「みなさんが、アフリカや世界の豊かな動物たちを保護したいと考えるとき、動物のことだけでなく、同時に動物のそばに暮らす人びとのことも想像してください。それが動物保護につながっていくのです」と結んでいる。全く同感である。

2017-08-25 15:07:59
波島想太 @ele_cat_namy

(ということで読書実況は以上です。お付き合いいただきありがとうございました!)

2017-08-25 15:08:43
波島想太 @ele_cat_namy

サル数十頭に追いかけられたことあるけどすごい恐怖感だった。こちらに向かってくるゾウ200頭ってどんな圧だろう?

2017-08-25 15:42:22