恋巡り*安

1
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

*恋巡り*安 僕らはいつも、 恋をして、 嫌いになりたくて、 なれなくて、 腹が立って、 切なくなって、 孤独を感じる。 その繰り返しだ。 --- 「…何で分かってくれへんの?」 『それはこっちの台詞だよ!』 「はぁ…もうええわ。」 『もういいって?』

2017-08-30 23:53:49
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

2 「……。」 『何がもういいの!?』 「…もう俺ら、無理なんちゃう?」 『……。』 「こんな会う度に喧嘩してて…これから上手く行くわけないやん。」 『…じゃあ別れるってこと?』 「……せやな。」 『…分かった。』 俺が背を向けて言うと、

2017-08-30 23:54:11
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

3 バタンッ 彼女は荷物をまとめて出て行った。 部屋を去るその後ろ姿は、少し震えているような気がした。 俺は、他人の前では良い人でいられるのに、 彼女の前だと感情を上手くコントロール出来ない。 初めは、素直になれているからなんだって思ってた。

2017-08-30 23:54:30
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

4 でも、だんだんと気持ちがすれ違うようになって。 お互いに好きすぎるが故に、上手く想いが伝わらなくて。 ずっとそばにいようと誓ったのに、 俺たちは、離れてしまった。 --- 彼女と出会う前までは何も感じなかったこの部屋も、今は少し広く感じる。

2017-08-30 23:54:46
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

5 あいつが置いて行った、俺があげたピアスを眺めながら、今までの事を思い出していた。 「…はぁ。」 何ため息ついてんねん。 俺から言うた事やろ。 ふと、出会った時から、どこかへ出かける度に一緒に撮った写真を手に取る。 あいつ、いつも嬉しそうに、何かメモを書いてたっけ。

2017-08-30 23:55:06
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

6 俺もそれを見ながら、ここ楽しかったなぁって笑って… 懐かしさを感じながら、パラパラとページをめくる。 「あっ、」 俺が彼女に告白して、付き合う事になって、直後に撮った写真。 こっちは… 初めての旅行。 喧嘩したけど、その後仲直りして、夜景がめっちゃ綺麗やった。

2017-08-30 23:56:14
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

7 これは… あいつが熱出して、俺が火傷しながらも料理したら、嬉しそうに写メ撮ってたやつや。 味はそんな美味くなかったのに、 『おいしい!』 って、残さず食べてた。 一つ一つの思い出を、ゆっくり指でなぞっていく。 俺の隣にはいつも彼女がいた。 「…っ、」

2017-08-30 23:56:40
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

8 はっと時計を見る。 …まだ間に合う。 あいつの家に行くための電車。 バッ 俺は、いつの間にか駆け出していた。 --- 息を切らしながら、一言だけメールを打つ。 【今から行くから】 会いたい。 プライド?体裁? くそくらえ。 今はただ… 君に会いたい。

2017-08-30 23:57:00
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

9 今言わなきゃ後悔する。 俺は最終電車に飛び乗った。 メールは既読にならないまま。 彼女は、もう俺の事なんか嫌いかもしれない。 でも… --- 「はぁ…はぁ…」 駅から出てすぐの歩道橋を一気に駆け上がる。 少ない街灯できらめくその中に、 あいつが立ってた。

2017-08-30 23:57:31
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

10 「あっ…、えっと」 少しずつ近づいていく。 『……。』 「…こんな時間に一人で危ないやろ。」 言いたかったのはそんな事じゃなくて。 ただ君に… 『会いたかった。』 「…え?」 『…会いたかったよ、章大。』 彼女の目が濡れて、それが溢れてこぼれ落ちる前に、

2017-08-30 23:57:53
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

11 「ごめん…」 強く強く彼女を抱きしめた。 --- 僕らはいつも、 恋をして、 嫌いになりたくて、 腹が立って、 切なくなって、 孤独を感じる。 でも、 それでもまた君に恋してしまうんだ。 これからもずっと。 END pic.twitter.com/ybe8DjrbBp

2017-08-30 23:58:17
拡大