サイコロの出目を等確率として扱うのは暗黙の前提があるから?それとも無情報だから?

関連した2件のアンケート結果とその意図、および反応についてまとめました。
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アンケートその1

Hiroshi Saito @spiral_world

高校数学のサイコロを用いた確率の問題で,各目の出る確率が等確率であると明記されていない場合の考え方は?

2017-08-27 16:49:45
Hiroshi Saito @spiral_world

最終結果出ました。 全3471票 等確率という暗黙の前提が存在するとみなすべき…64% 無情報である以上全て等確率とみなせるので問題ない…15% 勝手に等確率とみなした議論は全て誤りである…21% twitter.com/spiral_world/s…

2017-09-03 16:55:26

アンケートその2

Hiroshi Saito @spiral_world

同じサイコロを2回投げて同じ目が出る確率は? ただし、そのサイコロを投げた時の各目が出る確率の分布は不明であるが、試行毎に確率分布の変動は起きず、なおかつ各試行は独立であるものとする。

2017-08-27 16:51:09
Hiroshi Saito @spiral_world

選択肢の作り方に失敗したことに気づく… できれば、「1/6より大きい」「1/6より小さい」を 「1/6以上」「1/6以下」と読み替えて回答して下さい。

2017-08-27 17:16:25
Hiroshi Saito @spiral_world

こちらも最終結果。 全11323票 1/6…37% 少なくとも1/6より大きい…20% 少なくとも1/6より小さい…16% 1/6より大きいか小さいか不明である…27% (「より大きい」「より小さい」は「以上」「以下」の回答も含む) twitter.com/spiral_world/s…

2017-09-03 16:58:55

アンケートその1についての当方コメント

Hiroshi Saito @spiral_world

twitter.com/spiral_world/s… これについては、何が正解というものではないのですが、2番目を選んだ方には「少なくとも問題なくはないよね」ってのを認識していただきたくて、もう1つのアンケートの問題を提示した次第です。(続く)

2017-08-28 22:34:01
Hiroshi Saito @spiral_world

確率分布不明のサイコロの問題の結果の意味するところを考えれば、確率空間を明らかにせずに「想定可能な状況の中での平均的な状況」というような意味合いで等確率として扱った場合には、同じサイコロを2回振った時点でもれなく議論が破綻することは明らかです。(続く)

2017-08-28 22:34:54
Hiroshi Saito @spiral_world

ここでの「議論が破綻する」とは、高校数学の問題で通常正解とされる答えが正解でなくなるぐらいの意味です。しかし、ネット上での議論を時々眺めると、暗黙の前提を何も想定しなくても、高校数学で学んだ議論が全て成立するという謎の信念を持っておられる方がかなりの割合いるようです。(続く)

2017-08-28 22:35:31
Hiroshi Saito @spiral_world

私が常日頃感じているのは、サイコロやコイン投げの問題で「等確率であることは明らかなことではなく、問題で暗黙のうちに前提とされているお約束である」ということがどこにも明記されておらず、教師もそう教えないというのは、間違った確率観に導くとっても危険な状況だということです。

2017-08-28 22:36:04

アンケートその2についての当方コメント

Hiroshi Saito @spiral_world

twitter.com/spiral_world/s… こちらの問題については、多くの方が書いておられるとおり、コーシー・シュワルツの不等式を使えば直接示すことができますが、ここでは新課程の数学Iで高校生がみんな学ぶデータの分析の知識を使って説明しておきます。(続く)

2017-08-28 22:38:51
Hiroshi Saito @spiral_world

各目の出る確率自体を変量xとして、6つの数からなるxのデータを考えると、xの平均は1/6。ここで、本問で求める確率pはx^2の合計なので、p/6はx^2の平均。xの分散Vは(x^2の平均)-(xの平均の2乗)で求められるのでV=p/6-1/36≧0 (続く)

2017-08-28 22:39:56
Hiroshi Saito @spiral_world

ここから、p≧1/6が導ける。等号が成立するのはV=0すなわち全てのデータの値が一致するときなので、それは全てのサイコロの目が等確率のとき。(続く)

2017-08-28 22:40:37
Hiroshi Saito @spiral_world

なお、その中身は不明だがあくまである確率分布に固定して考える際の確率を扱うならば、確率として取り得る値≧1/6となりますが、どのような確率分布になるかという確率分布のようなものを想定し、サイコロに依存した確率分布のばらつきも想定した確率を考えるならば、等号の入らない答えも可かと。

2017-08-28 22:43:16
Hiroshi Saito @spiral_world

(追記)なので、本当は「少なくとも1/6以上」「少なくとも1/6より大きい」の両方の選択肢を用意して、後者の捉え方をする層がどれくらいいるかも見たかったところです。(両方の層を同時に拾うなら選択肢は前者にすべきでした)

2017-08-29 13:39:49

「1/6以上」か「1/6より大きい」か、について追記

Hiroshi Saito @spiral_world

こちら( twitter.com/spiral_world/s… )のコメントツリーの最後でも触れましたが、この問題は捉え方によっては「少なくとも1/6以上」ではなく「少なくとも1/6より大きい」で正解と考えることもできると考えています。(続く)

2017-09-03 00:48:30
Hiroshi Saito @spiral_world

もう1つのアンケート( twitter.com/spiral_world/s… )の2番目の選択肢とも関連します。(続く)

2017-09-03 00:49:16
Hiroshi Saito @spiral_world

ベイズ推定などでは、確率的な現象の原因部分のファクターの確率分布を扱いますが、より直接的に確率自体の確率分布を扱うこともあります。(参考:コイン投げの例/要Flash gensu.co.jp/saito/puzzle/f… )(続く)

2017-09-03 00:49:49
Hiroshi Saito @spiral_world

今回の問題でも、サイコロの出目の確率分布が不明なので、「確率分布の確率分布」のようなものを想定することができます。より正確に言うと「今回の試行で使われるサイコロがどのような確率分布を持つサイコロであるかということについての確率分布」を考えます。(続く)

2017-09-03 00:50:20
Hiroshi Saito @spiral_world

その「確率分布の確率分布」自体も未知ですが、未知であるが決まった確率分布が存在すると仮定します。さらにそれは「100%の確率で『全ての目が1/6』」ではないものとします。すると実際のサイコロの確率分布を知らない立場から見た確率は「少なくとも1/6より大きい」となるのです。(続く)

2017-09-03 00:51:20
Hiroshi Saito @spiral_world

整理すると、「サイコロの出目の確率分布は未知だが決まっている」と考えるならば「1/6以上」が正解で、「出目の確率分布自体の確率分布は未知だが決まっている(ただし、分散0のような分布ではない)」と考えるならば「1/6より大きい」が正解です。(続く)

2017-09-03 00:51:48