現在の量子力学に観測問題は存在しない

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Masahiro Hotta @hottaqu

各目の出る確率は1/6で、一様分布でしたが、箱をとってサイコロを観測して3の目が出ていれば、確率分布は3の目にだけ集中して他の目は零になります。これが「確率分布の収縮」であり、そして当たり前ですが、この確率変化はニュートン方程式に従いませんよね。 pic.twitter.com/9y9wy0SjSx

2020-10-19 09:49:30
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Masahiro Hotta @hottaqu

「波動関数の連続的な時間発展を記述するシュレディンガー方程式が、観測時に瞬間的に起こる波動関数の収縮を記述できないのが、量子力学の観測問題」と未だ言う方がいたら、「それは古典力学的確率論でも起きて、別に不思議でもないですよね」とその方に教えてあげて下さい。 twitter.com/hottaqu/status…

2021-01-19 12:02:36
Masahiro Hotta @hottaqu

現在では、量子力学に「観測問題」は無いことがハッキリしています。物理学徒は、前世紀の古い書籍に書かれていた「観測問題」に振り回されないで、躊躇わずに正しい量子力学をきちんと学んでいきましょう。

2021-01-19 12:02:53
Masahiro Hotta @hottaqu

ちなみに、対象系だけでなくその観測者もマクロな量子系として扱えます。その観測者の脳が「波動関数の収縮が起きた」と反応する物理(または化学)過程自体は、外部の第2の観測者には、対象系と第1観測者の合成系のシュレディンガー方程式で記述できます。

2021-01-19 12:06:22
Masahiro Hotta @hottaqu

外部の第2の観測者はずっと後になって、第1の観測者に波動関数が収縮した時刻(つまり観測して1つの測定結果を認識した時刻)を訊ねることができます。そして第2の観測者にとってはその時点で、(対象系+第1観測者)の合成系全体の波動関数が収縮を起こすわけです。

2021-01-19 12:07:26
Masahiro Hotta @hottaqu

第1の観測者の脳が対象系の測定結果を認識して対象系の波動関数を収縮させるのにかかる時間の期待値も、第2観測者の立場から計算することが原理的にはできます。それは一般に短いですが、実際の脳の実験結果を考慮すると、普通はミリ秒程度のオーダーの有限の時間だろうと考えられます。

2021-01-19 12:09:04
Masahiro Hotta @hottaqu

大切なことなので繰り返しますが、量子力学には観測問題は全くありません。なお実在を論じる哲学に興味のある一部の方々が、メタ科学としての「観測問題」というものを現在でも論じたりしていますが、それは反証可能性のある科学の問題にはなっておりません。物理学徒は気にしなくて良いと思います。

2021-01-19 12:12:58
Masahiro Hotta @hottaqu

古典力学の物理量xの確率分布の時間発展を記述するフォッカー・プランク方程式は、確率分布の滑らかな時間発展を与えますが、xを測定すればその確率分布は瞬間に変化しますよね。しかしこれを「観測問題だ!」と騒ぐ人はおりません。これと同様に量子力学にも観測問題は存在しないのです。 pic.twitter.com/bjoH8uVXVK

2021-01-26 12:16:17
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Masahiro Hotta @hottaqu

量子力学には観測問題はないと繰り返し強調しています。一方で現在でも観測問題はあるという科学哲学系の方々もいますが、「その定義は?」と聞くと、全部標準的な量子力学で説明が既に付いており、実証科学として真に謎と言える「問題」を提示されたことがありません。もしあれば是非ご提示ください。

2021-01-27 13:23:53
Masahiro Hotta @hottaqu

前世紀に「観測問題」というと、波動関数の収縮を挙げられることが多かったわけですが、それはそもそも問題ですらなかったということは、繰り返しTWしております。 twitter.com/hottaqu/status…

2021-01-27 13:26:04
Masahiro Hotta @hottaqu

コペンハーゲン解釈では意識を持った人間である観測者が仮定されるのが不備だという主張もされることがありますが、それも問題にはなり得ません。自分以外の人間が本当に意識を持っているのか、それともAIなのかを区別する方法がないためです。つまり実証科学の俎上に載らず、単なる不良設定問題です。

2021-01-27 13:29:23
Masahiro Hotta @hottaqu

またもし仮にAIや測定器が意識をもって、波動関数の収縮を起こすとしても、外部観測者にとっての量子力学では、意識がないと仮定して計算した場合と同じ結果を与えます。量子力学は人間を優遇しているわけでもないのです。これについては下記もご参考にしてください。 togetter.com/li/758266

2021-01-27 13:31:46
Masahiro Hotta @hottaqu

またコペンハーゲン解釈では、いつ観測が起きて波動関数が収縮するのか、またその収縮にかかる時間を計算できないという批判もされることがありますが、それも間違っています。

2021-01-27 13:35:54
Masahiro Hotta @hottaqu

まず「いつ」波動関数が収縮するのかは、まず観測者を指定する必要があります。それはフォンノイマン鎖の話になります。所謂ハイゼンベルグ切断の時刻以降では、マクロな多数の観測者たちや測定器の重ね合わせ状態が生じるだけで、それを観測する観測者ははいくらでも後に置くことができます。 pic.twitter.com/EonGIwFgqH

2021-01-27 13:39:18
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Masahiro Hotta @hottaqu

また初期時刻から波動関数が収縮する時刻までにかかる時間間隔の量子的な期待値や確率分布を計算することが、コペンハーゲン解釈で原理的に可能です。 pic.twitter.com/0NHhVB6er3

2021-01-27 13:40:54
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Masahiro Hotta @hottaqu

つまり波動関数の収縮を意識する第1観測者と対象系とシグナルのマクロな合成系を外部で観測できる第2の観測者を設定して、この合成系全体のシュレディンガー方程式を解析すれば、第1観測者の脳が波動関数の収縮を意識した時刻の確率分布を計算できるわけです。 pic.twitter.com/WycTpyzzSh

2021-01-27 13:43:17
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Masahiro Hotta @hottaqu

例えば、ここでの簡単化されたモデルでもそれは見て取れます。量子系としての第1観測者がいつシグナルを確認した(波動関数が収縮した)かが、この合成系の量子状態から計算できるわけです。 pic.twitter.com/6HnmNcfizF

2021-01-27 13:44:59
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Masahiro Hotta @hottaqu

十分に時間が経った後に、第2観測者が第1観測者にいつ波動関数が収縮したのかを聞くということを繰り返せば、収縮時刻の確率分布と期待値も原理的には実験でも計測できるわけです。 pic.twitter.com/S7IAwHc5xx

2021-01-27 13:49:00
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Masahiro Hotta @hottaqu

このようにコペンハーゲン解釈の標準的な量子力学には、観測問題は全く存在しないのです。もし実証科学として考えられる観測問題があるのならば、教えてもらえると嬉しく思います。科学哲学系の方々、いかがでしょうか?

2021-01-27 13:50:19
Masahiro Hotta @hottaqu

追加:標準的なコペンハーゲン解釈の量子力学だと観測者がいなかったビッグバンの頃の量子性はどう説明するのかという質問がありましたが問題ありません。ビッグバンがあったという史実は宇宙背景輻射という量子的歴史書に書き込まれているだけで、その歴史書を現在の観測者が読み解いているだけです。

2021-01-27 14:17:56
Masahiro Hotta @hottaqu

観測者も地球も存在しなかった頃の時代の量子的現象が研究できるのも、量子情報としてなんらかの量子系に書き込まれて保存されていたためです。その歴史書としての量子系を今の我々が様々な測定装置で調べて解析をするのですから、その過程はコペンハーゲン解釈の量子力学できちんと記述できます。

2021-01-27 14:18:12
Masahiro Hotta @hottaqu

前世紀には観測問題を論じる人が多かったのですが、標準的な量子力学にはそのような観測問題はなかったことが現在では分かっております。例えば以下のように理解されています。

2021-01-31 12:19:18
Masahiro Hotta @hottaqu

(1)波動関数の収縮について: 量子力学は情報理論の一種であり、波動関数は古典力学の粒子のような実在ではなく、情報の集まりに過ぎません。測定によって対象系の知識が増えることで、対象系の物理量の確率分布の集まりである波動関数も更新されるのが波動関数の収縮です。 twitter.com/hottaqu/status…

2021-01-31 12:22:57
Masahiro Hotta @hottaqu

「系を観測をすると、その波動関数(または状態ベクトル)は収縮し、その変化はシュレディンガー方程式に従わない」と聞いて、前世紀の「観測問題」に目覚めてしまって、「波動関数とは?収縮とは?」と懊悩してしまっている物理学徒は、まず箱の中の古典的なサイコロの目の確率を考察してみて下さい。 pic.twitter.com/8cXonRhgoG

2020-10-19 09:46:22
Masahiro Hotta @hottaqu

(2)意識を持った人間が仮定されるのは不備?:それも問題になりません。まず自分以外の人間が本当に意識を持っているのか、それとも単なる機械のAIなのかを区別する方法がないためです。これは実証科学の俎上に載らず、単なる不良設定問題です。量子力学固有の話ではなく、それは科学全般の話です。

2021-01-31 12:25:23
Masahiro Hotta @hottaqu

もし仮にAIや測定器が意識をもって、波動関数の収縮を起こすとしても、それらが意識がないと仮定して計算した場合と量子力学は同じ結果を与えます。また人間の場合でも同様です。つまり量子力学は特に人間だけを優遇しません。これについては下記もご参考にしてください。togetter.com/li/758266

2021-01-31 12:28:34