エリミネイト・アナイアレイター ＃３

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「物騒なタマ使うじゃねえか」ジツを込めた拳で一機を突き崩したスーサイドが戻ってきて、DZに言った。「AAAAARGH」燃え、腐食し、崩れゆく横倒しの機体表面で鉄条網がのたうち、なお動かそうとする。ルイナーが上から押さえつけるように当てた掌は、金属を飴めいて潰しながら破壊した。21

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襲撃物は片付いた。どれも無人だ。DZは周囲を見渡す。彼らが今いるのは元々は公園であったと思しき場所だ。鉄条網に蔓草めいて侵食された柱。朽ちたベンチ。DZのクルマは枯れた生垣に半ば衝突しながら止まっている。「台無しだな」とスーサイド。「直すとも」DZは眉ひとつ動かさず言った。 22

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「それよりフィルギア＝サンは？」DZが尋ねた。「どこへ行った」「チッ」スーサイドは頭を掻いた。「アイツは昔からそういうところが……」「タダイマ、タダイマ、ヒヒヒヒ」声がした。無雑作に歩いて戻ってきたフィルギアを、三人は見やった。彼は引きずるように一人の人間を連れてきていた。 23

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「生存者発見……逃げようとするからさ。少し追いかけっこした」フィルギアは言った。「何だ、オイ」スーサイドは訝しんだ。「ガキじゃねえか」「アイエエエエ」然り、青ざめて呻くのは、薄汚れた子供だった。フィルギアはナイフを地面に放り捨てて言った。「襲って来たり、刺そうとしたり、だな」24

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「離せ！離せよ！」「ダメ」フィルギアはもがく子供の襟首を掴み、離さない。子供は噛み付こうとする。「やめろって」フィルギアは薄く笑った。「子供、苦手だ。誰か頼むよ」「……」進み出たのはDZだった。「ボク。大丈夫だよ」彼はサイバーサングラスを透過させ、目線の高さにしゃがんだ。 25

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「僕らは悪い奴らじゃない。助けに来たんだ。閉じ込められた皆んなをね……」DZは子供の肩に手を置いた。「……」子供はパニック状態を脱し、DZを見た。「皆んなを助けに？」「そうだとも」スーサイド達は畏れ入った様子で互いに目を見かわした。 26

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DZは頭上を見上げた。空は縦横に走る鉄条網ドームに遮られ、まだらの光が射し込むばかりだ。「ボク、独りで住んでいるのかい」「……」子供はやや躊躇い、そののち、首を横に振った。「隠れてる。危ないから」「パパやママと？」「皆んな」「そうか。僕ら、アイサツできるかな」「……うん」 27

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【続く】