クイズ論 @quizlong さんによる高校生クイズ2017「カドリエンナーレ問題」

クイズ論 @quizlong

カドリエンナーレ　その26 　まるで間違えさせるために用意されたかのような設問は、出場者たちはもちろん視聴者にも嫌な後味を残しました。せっかく実力で優勝したチームも妙な気分にさせられたのではないでしょうか。もし、そうなら、この１問のダメージはあまりにも大きかったと言えるでしょう。

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カドリエンナーレ　その27 　私はこの悪問の投入を、あくまでもミステークと見ていて、「開成つぶし」だとは思っていません。でも、そんな見方を許してしまうからこそ、本問を排除できなかった手抜かりは残念でなりません。準備に１年間を費やす超大型企画に別の設問候補がなかったとは思えません。

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カドリエンナーレ　その28 　出場者と視聴者の双方にとって「知る価値」のある設問を提供するという、基本的な役割を怠った結果、不幸な誤答が生まれ、勝負の流れに変化が起きました。「誤答を誘う」のではなく、「正解を導く」という本来の目的を重んじていれば、こんな結果は避けられたでしょう。

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カドリエンナーレ　その29 　たとえバラエティー番組であっても、純粋な高校生に戦いの場を用意している以上、彼らの熱意をはぐらかしたり、熱闘に水を差したりするのは、主宰者にだって許されません。でも、今回のスタッフは参加者にけたぐりを食わせました。故意ではなかったかもしれませんが。

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カドリエンナーレ　その30 　私が気持ち悪く感じるのは、「演出」の役割におごったかのようなテレビ局側の心理です。カドリエンナーレ問題を投じれば、誤答が生まれるというのは、容易に予想がつきます。だから、番組側は誰かがあの局面で間違うことを見込んでいた可能性があります。

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カドリエンナーレ　その31 　カットできない場面で誤答を誘うからには、その誤答シーンが番組的に「おいしい」と、制作サイドは判断していたのでしょう。優勝目前で誤答した高校生が悔しがる姿を映像コンテンツ化したいというたくらみが透けて見えます。これは悪趣味ではないでしょうか。

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カドリエンナーレ　その32 　決勝戦では終盤に「地雷」を埋めておこう。どうせ誰かが間違う。誰の誤答でも、その絵面はおいしい。もしも、うまいこと開成が間違えれば、「エリートの失敗」というおまけがつく。度重なる優勝も邪魔できる。とにかく優勝間際で一波乱欲しい。ここは引っかけ投入だ。

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カドリエンナーレ　その33 　まさかこんなあさましい問題編成会議が開かれたはずはないでしょう。第37回を数える、日本最長の大型クイズ番組なのですから。でも、そういう邪推が働く余地を、今回の決勝戦は残してしまいました。いやらしい「大人の計算」は高校生の真剣勝負に不似合いです。

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カドリエンナーレ　その34 　「テレビ屋」は劇的な展開が好物です。逆に、単調な筋書は大嫌い。早押しクイズ形式の決勝戦は素人目には単に正解が積み上がっていくだけとも映りがちです。バラエティー慣れした制作サイドが「一波乱」をたくらみたくなる気持ちは理解できなくもありません。

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カドリエンナーレ　その35 　仮に演出上の波乱が欲しかったとしても、悪問を投じて誤答を誘うというあざとい手を選ぶのは許されません。すごく意外な設計の新問を出してもいいでしょうし、早押しの常識を超えるルールを編み出してもいいでしょう。プラス方向の工夫はいくらでも可能なはずです。

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カドリエンナーレ　その36 　「たった１問にうるさく言うな」と考える人もいそうです。しかし、その１問で実際に勝負の流れは大きくねじ曲げられました。１問がクイズの勝敗を左右することは珍しくないのです。だから、クイズ作家は真剣に設問を練り上げるわけです。

クイズ論 @quizlong

カドリエンナーレ　その37 　クイズ作家のプロ意識を知る者にとって、これほどの大舞台でこんな悪問が堂々と投入されたのは、驚きを禁じ得ません。まるで、「絶対に間違うような引っかけを用意してくれ。できれば、クイズ屋殺しで」という作問オーダーが下ったかのような想像すら働いてしまいます。

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カドリエンナーレ　その38 　こんな非常識な注文を引き受けるクイズ作家はいないでしょう。クイズ作家の多くは優れたプレーヤーであり、「地雷」の痛みを最もよく知る立場なのですから。そう考えていくと、この設問はクイズ作家の知らないところで仕立てられたのではないかとすら思えます。

クイズ論 @quizlong

カドリエンナーレ　その39 　「大詰めでの誤答＝ドラマチック」といった安っぽい演出を仕掛けたのだとすれば、それは二流の発想です。実際、誤答の後、画面上ではしらけた空気が流れました。浅はかな「演出」を遠ざけるだけの知恵やセンスがなかったのなら、「テレビ屋」としても嘆かわしい話です。

クイズ論 @quizlong

カドリエンナーレ　その40 　大事なことは、こんな悪問が二度と高クイに出現しないことです。これだけ批判を浴びれば、あやまちは繰り返されないと願います。次に「ミステーク」があれば、このツイートを読んだスポンサーのライオンだって黙っていないでしょう。（＝この項永遠に終わりにしたい）