ライオンハート・ザ・ブレイブハート　＃3

えみゅう提督 @emyuteitoku

―――――76

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「やったか…終わった、のか」ライオンハートが弱々しく呟く。廃人めいた貌のライオンハートに、元より痩せていた頬をさらにこけさせたリンクスが笑いかける。「ごめん、ちょっと遅れすぎた」「いいんだ、おかえり、リンクス。よく帰ってきた」「ナバルが、起こしてくれたんだ。これ…」77

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リンクスはライオンハートに友の形見を渡す。掌に収まる小さな欠片、消え去ったとばかり思っていた友の亡骸。「おお…オオオオオ…！」ライオンハートの目から堰を切って涙が溢れ出した。彼は握りしめた白い角の欠片に語り掛ける。「おかえり、ナバル…」78

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泣きじゃくるライオンハートの肩にリンクスが手を置く。「ボトムレスから通信だ、他の皆も無事…いや、大破ばっかりだが、皆生きているとさ。今リンクを――」［たわけ！童が泣き止んでからにしろ！将の無様をわざわざ広げるつもりか！］「アイエ！？スミマセン！って誰？！」79

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［聞けぇぃ！我が名はフッド！］フッドがリンクスに仰々しいアイサツを披露している間に、ライオンハートの通信端末が鳴る。『こちらボトムレス！勝ったんだよね！夢じゃないよね？』『こちらアンダーテイカー！…何か、また生き残っちゃった。アルキドクセンも一緒だよ！』80

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通信は続く。『こちら…コールドレイン。ボトムレスから聞いた、終わったんだな』『おーい、繋がってるか？こちらスクトゥム。…疲れた。早めに回収してくれー』一斉送信でノイズだらけの仲間の声を聞いている内に、ライオンハートの涙は止まっていた。「よかった…本当に……皆無事で…」81

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安息を得たライオンハートの腕の中で、チェルノボグが目を開ける。［気が付いたか。喜べチェルノボグ、我らの勝利だ］フッドの声に、チェルノボグは眠たげな眼をぱちくりさせた。「勝った…？そうか…。あ…リンクス、か？」「その三つ編み、チェルノボグ？メンポがないから一瞬誰かと思ったよ」82

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いつかのフッドの城でのやり取りを思い出しチェルノボグは苦笑いする。「滅多に外さないからな、この際よく覚えておいてくれ。…生きて帰って来たんだな。ほら、レオ、リンクスが帰って来たよ、生きてたんだ…レオ？――レオ？！」チェルノボグが悲痛な声を上げる。もう、ライオンハートは――83

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限界は遥か後方、彼は奇跡も運命も置き去りにして駆け抜けた。友達の無事を知った彼を繋ぎ止める物は、何一つ残っていなかった。王は倒れ波間に沈む。 「――！――！！！」 『―――！―――、―――――――――――！』 ［―――…！！―――、―――聞け！これは命令だ！］84

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［死ぬな！お前は死んではならん！ライオンハート！］85