パッチで妄想【ジョニー編】

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えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想】76 そう言って薄く微笑んだ彼の表情に気が緩み、 「いつから…好きなんですか?」 言うはずで無かった言葉が、こぼれ落ちた。 「え…何言うてるん、自分…」 たちまち凍りつく空気。 少し微笑んでいた彼の表情も冷たく強張っていく。 空気が重く沈み、淀んでいく…

2014-06-23 21:29:07
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想】77 どんなに後悔してみても、放たれた言葉は二度と消えない。 彼を苦しませるつもりでは無かったのに… 「気味悪いとか…オカシイとか…思ってるやろ? 自分でも分かってんねん」 彼が静かに話し出す。 自分自身を嘲るような、半分諦めたような口調だった。

2014-06-23 21:29:18
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【パッチで妄想】78 「仕事でなら、なんぼでも女性に甘い言葉を吐ける。女の子は可愛いと思うし、女性は綺麗だと思う。だけど…心はずっと捕らわれたままで、ちっとも自由にならへん…」 「…」 そうやって、何年も苦しんできたのだろう。 彼の想い人は、彼の大切な仲間でもあるのだから…

2014-06-23 21:29:28
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【パッチで妄想】79 下手なことをすれば、今まで築いてきたものすら崩しかねない。 何度も何度も無駄にあがいて、結局は振り出しに戻って… 「人を好きになるって、そう言うことなのかもしれませんね…」 気付いたら、話し出していた。 「諦めようと思って諦められるならどんなにいい事か…」

2014-06-23 21:29:38
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【パッチで妄想】80 「人を好きになってしまったら、自分の心なのに自分でコントロールできない。苦しくて、哀しくて、淋しくて、辛くて、なのに側にいられるだけで幸せで…届かない想いだと分かっていても、希望を探し求めてあがいて」 「…」 「だけど、私…好きになった亊、後悔してません」

2014-06-23 21:29:48
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【パッチで妄想】81 そして、彼を見つめて、 「あなたが誰を想っているのか知った時は、確かに驚きました。でも、気味悪いともオカシイとも思いませんでした。何故だか、納得してしまったんです。私も、おかしいでしょう?」 「そやな、おかしい人やわ。でも…ありがとう…」

2014-06-23 21:29:56
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【パッチで妄想】82 そう言うと、彼は背を向けてしまった。だから、私には彼がどんな表情をしていたのか分からなかったけど、肩が微かに震えているような気がした… それから、どれくらいの時間が経ったのだろう。 突然、ドアが静かにしかし力強く叩かれた。

2014-06-23 21:30:06
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【パッチで妄想】83 ジョニーさんが入り口に向かうと、 「俺だ」 という声が聞こえる。 開かれたドアから入ってきたのは、マックさんと…ジャッキーさんだった。 スーツのあちこちが汚れたり破れたりしていたけれど、顔にもたくさん殴られた跡があったけれど、何でもない事のように立っていた。

2014-06-23 21:30:14
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【パッチで妄想】84 「ジョニー、ご苦労やった。全て片付けてきたから、あとは、そこのお嬢さんを家に送り届けたら終了や」 「あ…私は一人でも」 「それはアカン。時間も時間やし、まだ完全に安全になったわけやないから。まだ少しゴタゴタしていて、手が空いてんの、こいつしかおれへんけど」

2014-06-23 21:30:22
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【パッチで妄想】85 「だから、俺が行くって。恩人なんやから」 「お前は、さっさと病院に行け。無事な姿見せんと絶対行かん、言うたから連れてきたんや。あんまり面倒かけるな、全く…」 マックさんが困った顔でそう言うのを見ていたら、笑いがこみ上げてきて、止まらなくなった。

2014-06-23 21:30:31
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【パッチで妄想】86 クスクスと笑い続ける私を見て、 「肝が座ってんのか、怖いもの知らずなのか…」 と、マックさんが呆れたように呟いた。 表通りまで出て、タクシーを拾う。 行き先を告げると、車は静かに走り出す。 「あの…」 「何?」 「タクシーだったら一人でも大丈夫なんじゃ…」

2014-06-23 21:30:47
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【パッチで妄想】87 「ええから、大人しく従って。もうすこしやから」 しばらく沈黙が続く。 「無事で…よかったですね」 そう、呟いた私に、 「だから殺しても死なんって言うたやろ? まあ、肋骨あたりはやられてるかも知らんけど。平気そうな顔しとったけど、立ってるのもやっとやと思うで」

2014-06-23 21:30:55
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【パッチで妄想】88 「え⁈」 「みんなに心配かけんように気張っとんのやろうけど、バレバレやな。まあ、あんただけでも騙されたフリしとって」 「…知っててできるほど、器用じゃないです」 「ハハハ」 「笑い事じゃないですよ、本当に。あ、そこでいいです。家、すぐそこですから」

2014-06-23 21:31:02
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【パッチで妄想】89 「ホンマにそこなん?」 「信用ないですね…ここまで来て、今さら嘘はつきません」 「そっか…じゃ、気をつけて」 「ありがとうございました」 「ところで…」 「え?」 「また、店に来る?」 「来ても…いいんですか?」 「あんたが構わないんなら」

2014-06-23 21:31:11
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【パッチで妄想】90 「もう来るなって言われるのかと思いました」 「そんな事あらへん。客に来てもらわんと、俺たちも困るし。それに、あんたが来ると、ジャッキーの機嫌がいい」 あ、そういうこと… 「じゃあ、また行かせてもらいます」 「それじゃ」 彼を乗せたタクシーが遠ざかる。

2014-06-23 21:31:17
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想】91 あの人…私が自分のこと好きなの、忘れてんじゃないかな… これからも、あの二人の掛け合いを複雑な気分で見なきゃいけないのかと思うと、正直、心が痛い… だけど、きっと私は、また行ってしまう。 カウンターの彼の姿を見るために。 人を好きになるのは、本当に大変…

2014-06-23 21:31:25
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