稲川淳二の『つぶやき怪談』(2017.09.28)

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稲川淳二 @Junji_Inagawa

そんなことから、撮影には、向く場所なんですよ。 外の音は聞こえてこないし、相当な高さもあるし。

2017-09-28 22:08:30
稲川淳二 @Junji_Inagawa

雨が降っても、屋根があるから、 穴が明いてりゃあ濡れますけど、そうじゃなければ濡れることもないし。 そこそこ明かりも取れるので、 特にアクションシーンに使われてたんです、その場所。

2017-09-28 22:09:00
稲川淳二 @Junji_Inagawa

で、そこで、ロケをしてたんですが-----。

2017-09-28 22:09:38
稲川淳二 @Junji_Inagawa

監督が、 「真俯瞰を撮りたい」 と、言ったんですよ。

2017-09-28 22:10:13
稲川淳二 @Junji_Inagawa

真俯瞰ということは、上から真下を撮るわけです。

2017-09-28 22:10:50
稲川淳二 @Junji_Inagawa

結構迫力あるじゃないですか、 地面まで二十メートルぐらいあるんだから。

2017-09-28 22:11:21
稲川淳二 @Junji_Inagawa

その時にね、助監督のサードがいて。 助監督っていうのはセカンド、サードってあって、 サードっていうと、下っ端になっちゃう。

2017-09-28 22:12:01
稲川淳二 @Junji_Inagawa

その助監督のサードに、監督が 「ちょっと屋根に上がって見てこい、 それで足場のいいところでカメラを固定するから、場所を見つけてこい」

2017-09-28 22:12:31
稲川淳二 @Junji_Inagawa

撮影現場って、興奮しますからね。 「ハイ!」 ってんで、サードの彼、上がってったわけだ。

2017-09-28 22:13:34
稲川淳二 @Junji_Inagawa

途中まで上がれる段がある。 そこから上というのは、鉄骨を組んであるので、 それをよじ登る形で、上がっていく。

2017-09-28 22:14:14
稲川淳二 @Junji_Inagawa

彼が上がって、場所を決めたらば足場をつくって、 カメラを上げるという話だった。 時間がないですから、その間も、撮影は続いてる。

2017-09-28 22:15:06
稲川淳二 @Junji_Inagawa

彼は、上がって行った。 その下には、セットの一部が置いてある。

2017-09-28 22:15:37
稲川淳二 @Junji_Inagawa

彼、どんどんどんどん、上がっていってそこから、 ついに屋根の中央へ向かっていった。 屋根にあいた穴ぼこから、 チラチラとサードの彼が、動いてゆくのが見える。

2017-09-28 22:16:15
稲川淳二 @Junji_Inagawa

下でだれかが、 「おう、あぶねえから気をつけろよ」 と、声をかける。

2017-09-28 22:16:58
稲川淳二 @Junji_Inagawa

「はあい」 と、彼が答える。

2017-09-28 22:17:35
稲川淳二 @Junji_Inagawa

「無理しないでいいからな」 って、 「行けるところまでで、いいからな」 って。

2017-09-28 22:18:22
稲川淳二 @Junji_Inagawa

「はあい」 って、答えるんですよ。

2017-09-28 22:19:00
稲川淳二 @Junji_Inagawa

そうして、だんだん、だんだん、 天辺の、一番高いところへ向かって行ったわけですよ。

2017-09-28 22:19:29
稲川淳二 @Junji_Inagawa

これを撮りたいって、監督が言えば、 そうしなくちゃいけないわけですから。 ずうっ----と、来たんだ。

2017-09-28 22:20:29
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ちょうど、とがったような天辺ですよ。 そこのところ、ずうっ----と来た。

2017-09-28 22:20:59
稲川淳二 @Junji_Inagawa

メキッメキッと、音がしている。 南風にさらされ、海からの潮風を受けてますから、 屋根は、だいぶもろくなってる。

2017-09-28 22:21:34
稲川淳二 @Junji_Inagawa

みんなが 「あぶねえな」 って、言いながら見上げてた。

2017-09-28 22:22:06
稲川淳二 @Junji_Inagawa

鉄骨は、ほとんど腐ってますからね。

2017-09-28 22:22:48
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