はんちょ~さんのフォロワー擬人化百合

狂気の産物
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はんちょ〜 @Hantipede

「あぼォォーッッッ!!」KABOOOOOOOOOOOOOOOM!!KRA-TOOOOOOOOOOOOOOM!!「まーた卵が爆発してんよ」「今度はどんなアンジェ概念をぶつけられたんだ?」突如往来で頭部が激しく爆散した、鶏卵頭の成人男性。遠巻きに眺めながら少女達がぼやき気味に呟いた。

2017-11-05 22:58:25
はんちょ〜 @Hantipede

「あー。やっぱダメっぽいっすわこの店。麺ケチりすぎでソースくっそ余るし。シアさん、頼んます」「はいよ。ガガピー」物々しい機械首輪を着けていた方の美少女が、首輪のスイッチを入れる。いやに前時代的な機械音声と共に、如何なる機構なのか茹であがった麺が喉から排出される。「ドーモ、ドーモ」

2017-11-05 23:08:43
はんちょ〜 @Hantipede

「ズルーッ…美味いのが無性に腹立ちますよね」「それはソースの方ですか麺の方ですか駄目仙さん。あ、トッピングに納豆いかがです?」シアの目つきが途端に胡乱な光を帯びる。彼女の前で麺料理を注文したくはなかったのだが、他に良さげな物も無かった。駄目仙人は内心で溜息をつく。「や、結構です」

2017-11-05 23:24:48
はんちょ〜 @Hantipede

「ところでそろそろですかね」「そろそろ来ると思うんですがねー」などと話していると。「ひゃははははははは!見つけたァ!」古い返り血らしきものが付着したままのエプロンを纏った美女が巨大な鉈を片手に通りへ現れた。コワイ!「来た」「早く片してよォくくろさん」「上級鶏卵の死体だァ!!」

2017-11-05 23:32:26
はんちょ〜 @Hantipede

ホラー映画からそのまま出てきたと言われれば信じてしまいそうな風貌。くくろは、この通りの奥にあるモルグの経営者だ。このような急死体の処理は、彼女の管轄である。「ひゃはははは!!」くくろは勢いよく鉈を振り下ろした。鶏卵頭部成人男性の左脚部切断!「汚ぇなァ!」「向こうでやんなよ」苦言!

2017-11-05 23:38:11
はんちょ〜 @Hantipede

鶏卵男性だったものを用いた公開解体ショーを往来のど真ん中で散々おっぴろげたあと、モルグの主はご丁寧に血の一滴すら残さず塵取りに集めて運んで行ってしまった。「うげー。食欲失せましたわ」「いつもはあんなじゃぁないのにねぇ。死体の匂いにゃ敏感なんだからあの人」「まぁ俺らは困らないしね」

2017-11-05 23:45:26
はんちょ〜 @Hantipede

「だってまぁ……」シアはもう一度往来に目を向ける。すると、そこにまるでタイミングを示し合わせたかのように、道路の真ん中にはいつの間にか穴の空いた巨大な紫色の土管が出現していた。縁に刻まれた文字は“CONTINUE”。「フゥッ!!」奇声と共に、何者かが土管から飛び出した。

2017-11-05 23:49:21
はんちょ〜 @Hantipede

紫CONTINUE土管から垂直射出され、着地したのは先ほどの鶏卵男性……?いや違う。同じ鶏卵頭部ではあるが、その肉体は既に煌びやかな西洋風女学生服を纏った高校生くらいの少女のものとなっていた。「おのれ、エリキチの野郎……なかなかパンチのあるモン書くようになったじゃあねえか……」

2017-11-05 23:54:22
はんちょ〜 @Hantipede

「卵はすぐ復活するしね」「アンジェの当たりどころが良いとまたすぐ割れるけど」彼女達が話すまたすぐそばから「うがーッッ!!」鶏卵頭部女子高生が雄叫びを上げる!!鶏卵に亀裂!「ハァーッ、ハァーッ……や、やるじゃねえかエリキチィ……」「さては読み返したな」「そのうちまた割れますよあれ」

2017-11-06 00:00:54
はんちょ〜 @Hantipede

「それよりシアさん、まだソース余ってるんですよ。おかわりくださいよ」「え?さっき食欲失せたって」「卵見てたら気分悪いの吹っ飛びました。おかわり」「しょうがないなぁ。はい……」スイッチ。動作無し。再度スイッチ。動作無し。「あれ?」「んん?もうこむ欠(訳注:小麦粉枯渇の意)?」

2017-11-06 00:06:34
はんちょ〜 @Hantipede

「いえ、まだ原料の貯蓄はあるし、故障っぽいですよ」とシア。「うぇー、めんどいなァー。じゃあまたうちで修理しますか。行きましょ」「トチ狂った機能なクセにいざ使えないとなるとなんだかんだモヤっとしますね……」「ちょっと。要望と原案はシアさんでしょ。俺は取り付けただけですよ」「共犯」

2017-11-06 00:14:04
はんちょ〜 @Hantipede

「さァーてと」数本の歪形状針金ツールを指と指の間に挟むようにして持ち、駄目仙人はニヤリと笑う。部屋は薄暗く、窓から差し込む昼の日中の陽光を、彼女の巨大丸眼鏡がギラリと怪しく反射する。「お待ちかねの喉イジイジタイムの時間ですな」「はよしてくださいよ」「んもう、すぐそういうこと言う」

2017-11-06 00:20:19
はんちょ〜 @Hantipede

「シアさーん、自分の立場わかっとりますー?貴女は今ねー、寝台に寝かされてー、四肢を固定されて!私の前にまな板の上のマグロめいて!自らの運命を神妙に待つしかないというかァ」「そういうノリはいいですから。早く!私のこのパーフェクトな製麺機能付き首輪変声機ちゃんを!」「ええいうるさい」

2017-11-06 00:25:56
はんちょ〜 @Hantipede

「あ、んぅッ」不意に喉奥にツールを突っ込まれ、シアが少し呻いた。「ったくもう、そのトンチキ極まる美的センスに付き合ってやっとるのはどこの誰だと」「きュうにつっこマないでクださいよォ……」そのまま喋るシアの声音は、ツマミ式の音量調節ネジめいて七色に移り変わる。「へいへい」

2017-11-06 00:32:00
はんちょ〜 @Hantipede

「お、これかな?ちょっと強くしますよ」駄目仙人が力を入れてツールを喉へ捩じ込む。「ぃゅッ……やァぁっ……」「……妙な声出さんでくださいよシアさん、なんか変な気分になってくる」そう言って駄目仙人が小さく舌なめずりしたのは、口元に流れてきた自分の汗を舐め取るためか、それとも。

2017-11-06 00:39:38
はんちょ〜 @Hantipede

……1分後。一旦眼鏡を外して額の汗を白衣の袖で拭い、駄目仙人はまた眼鏡をかけ直す。「…さて。これでどうでしょうかの」磔のままのシアの喉へと手を伸ばす。「ピガガー」ツルツルツルツル。「大成功ー」間延びした声と共に緩く拍手し、彼女はシアの拘束を外してやる。「お疲れさんでござーました」

2017-11-06 00:47:21
はんちょ〜 @Hantipede

拘束されていた細い手首や足首を擦りながら、シアは疑り深げに駄目仙人を見る。「前から思ってましたけどこの拘束具って……万一そうなるような可能性があるような危険なモノってことなんですか?」「んやー?俺の趣味ですよ」駄目仙人はへらへらと答えた。「……今度は別の意味で不安になりましたよ」

2017-11-06 00:51:42
はんちょ〜 @Hantipede

「やー、だってシアさんも自覚あるでしょうけど俺らの関係相当変態的ですよー?白衣の美女技術者が、喉を改造された美少女を寝台に寝かせて薄暗い部屋ン中でカチャカチャとー。同性同士ながら些かやましい気持ちも湧いてきますって」「湧きませんよ。手術、ありがとうございました。ではまた明日……」

2017-11-06 00:57:20
はんちょ〜 @Hantipede

ギギ、バタン。立て付けの悪い木製ドアの向こうへ、シアは帰って行ってしまった。「行っちゃった。あの素っ気なーい態度。まったく誰が理想の喉をくれてやったと……」ニヤニヤ笑いながら、駄目仙人は眼鏡を外し、置いた。「ウェー…」そのまま死体のようにだらりと椅子の背凭れに体重を預けて脱力。

2017-11-06 01:02:52
はんちょ〜 @Hantipede

「パーフェクト、か」駄目仙人はシアの言葉を思い出した。パーフェクトな製麺機能付き変声……思い出すだけで頭の痛くなってくるようなワードだが、被術者当人がそう思ってくれているのだと思うと無性に嬉しくなった。「おかしな女だけど、可愛いのが始末におえない」彼女は噴き出したように笑った。

2017-11-06 01:07:51
はんちょ〜 @Hantipede

とんだ笑い話。そのおかしな女を、密かに好きになってしまった女もいるのだから尚更だ。あれのセンスを真に分かってやれるのは、その願いを叶えてやった自分だけだ。そんな独善的な感情も、ちょっとした手術代として抱かせてもらうくらいなら、罰も当たらなかろう。 また明日、ともそう言ってくれた。

2017-11-06 01:11:52
はんちょ〜 @Hantipede

「……あの人が可愛いのが悪りーんです」拗ねたように独りごちると、駄目仙人はなんだか座っていられなくなって立ち上がる。「ああ、くそ。そういや今日って何日だ。今月の新刊出てたっけ…」ガサガサと散らかった部屋をひっくり返し、レズビアン向けピンナップ雑誌を探した。この街の日は、まだ高い。

2017-11-06 01:15:42